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最底辺の這い上がり  作者: 白黒めんま


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五話 変化する日常chapter01

──翌朝。


起き上がるだけで軋むベッドに、そろそろ買い替え時だなと思いながら、凝り固まった身体をゆっくりと伸ばした。


今日も朝が来てしまった。

それが休日の朝ならばいいが、残念ながら今日は平日。

学校に行かなければならない。


学校に行けば、待っているのはありふれた、しかし酷いいじめ。

行きたくないが、行かなければ退学になってしまう。


我らが龍ヶ崎高等学校には、留年という制度が存在しない。

単位を一つでも落とせば、その瞬間に退学が決まる。


その為、年間数人の生徒が必ず学校を去っていくのだが……。

苦労して入学した高校なのだ。

出来るならきちんと卒業したい。


卒業さえ出来れば、その後の進路は思うがまま。

龍ヶ崎の卒業生ならば引く手数多だ。

人生を逆転することはいくらでも出来る。


憂鬱であっても、行く以外の選択肢はない。


それでも今日は、不思議と恐怖心だけがなかった。

昨日までは酷いイジメだと思っていたが、今は大したことがないと思えてしまう。


昨日から、僕はどうしてしまったのだろう。

悪い変化ではないと思うが、何故こうなったのか分からない。


身支度を整えて学校に向かう。


制服は失くなってしまったので、しばらくはジャージで登校するしかない。

幸い、この学校ではジャージ登校も認められている。


大きめのサイズを買っておいて良かった。

でなければ、私服で登校する羽目になっていただろうから。


私服だと、成績優秀者ならまだしも僕では注意されるだろう。

学校に入れてもらえない可能性もある。

あるいは、僕のことなんて誰も気にしないかも知れないけれど。


学校には徒歩で向かう。

以前は自転車で通っていたのだが、あいつらに壊されてしまったのだ。

修理も不可能な程に。


買い直すお金もない為、仕方なく一時間も歩いて通っていた。


正直、朝から一時間も歩くのはデブの僕にはしんどいものがあったけれど、しかし痩せた今の僕にはさほど苦ではない。

むしろ、清々しいくらいだ。


それにしても、今日はやけに周囲の視線を感じる。

——気のせい、ではない。


なにせ、視線を感じる方に目を向けると、必ず目が合うのだから。

だが、目が合うや否やすぐに逸らされてしまう。


ひょっとして、前髪を切ったせいだろうか。

昨日、あの趣味の悪い男に間違われたのがどうしても気になって、顔を覆っていた鬱陶しい髪を切ったのだ。


痩せた今ならば、顔を晒け出してもそこまで醜くはないだろう──と。


しかし、こうして奇異の視線を向けられている。


驚きと、戸惑いと、そしてどこか値踏みするような目。


痩せたくらいで、何かが変わるほど世の中は甘くないらしい。


やはり髪を切ったのは失敗だったかも知れない。

伸びるまでは、我慢するしかないだろう。


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