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最底辺の這い上がり  作者: 白黒めんま


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四話 新たな出会いchapter01

「──な、なんだ!?」



ヴァンパイアを倒した直後。

虚空に残されていた数字が、光を放った。


まさか、まだ敵が出てくるのか!?

ないだろうとは思うが、この空間なら何が起きてもおかしくはない。

警戒するに越したことはないだろう。


突然の出来事に狼狽えつつも周囲を睥睨していると、輝いていた数字が砕けて、どこからともなく鳥居が現れた。


この空間に入る時に使った小さな赤い鳥居ではなく、大きな緑色の鳥居だ。


直感的に、元の場所に帰れるかも知れないと思った。


だが、僕は門を潜るのを躊躇った。


どこに繋がっているか分からないからだ。


元の場所に帰れる可能性はある。

だが、それと同じくらい他の場所に繋がっている可能性もあるのだ。


そこが、ここと同じような場所に続いているのであれば……。



「ここにいた方がまだマシ……」



──かも知れない。


相変わらず飢えは辛い。

それでも、ここなら戦わなくていい。


戦いは当分ごめんだ。


だが、だからといって一生ここにいるなんて耐えられるとは思えない。

確実に気が狂う。



──どうする?



潜るか。潜らないか。


しかしどうやら、迷っている場合ではなさそうだ。

白い空間に亀裂が走った。

嫌な音が、遅れて耳に届く。


亀裂は徐々に広がっていき、やがて風化するように剥がれ落ちていった。


崩壊を始めたのだ。

選択肢はなかった。



「クソッタレ!」



僕は意を決して鳥居の中へと飛び込んだ。








瞼を開けた瞬間、意識が現実に引き戻された。


ここは……どこだ……?


周囲を見渡すと、どことなく見覚えのある風景が目に映る。


──鬱蒼とした森の中。


そうだ、僕はダンジョンに来たのだ。


しかし何故こんなところで寝ていたのだろう……?

いや、そもそも僕は何をしにダンジョンに来たんだ?


なんだか、随分と長い間ここにいたような気がするのだけど、どうにも思い出せなかった。

一体、僕の身に何が起きているのだろうか。



「──痛っ……!」



思い出そうとした瞬間、頭の奥がひどく痛んだ。

思考が、そこで途切れる。


……ん?


ふと、やけに涼しいことに気が付いた。

まるで、何も着ていないかのような感覚。



「うわっ! なんだこの格好は!?」



視線を落とすと、何故かパンツとシャツだけになってしまっていた。

僕は確かに制服を着ていたはずだ。


一体どこに消えてしまったのだろう。

追い剥ぎにでもあったかのようだ。


しかも、消えたのは制服だけじゃなかった。

全身にこれでもかと付いていた脂肪が全てこそげ落ちている。


あれ? これ本当に僕の身体だよな? いつの間に痩せたの?

マジで何があったんだ。

何も思い出せないのがもどかしい。


ひょっとしてモンスターにでも襲われたのだろうか。

そのショックで一時的に記憶を失っている。


可能性としては一番ありえる話だが、それならどこも怪我していないのはどういうわけなのだろう。

それに、そうなるとパンツとシャツが無事な理由も激痩せした理由も謎のまま。


………………ダメだ。記憶がぼんやりと曖昧で、いくら考えても分からない。



「帰ろう……」



ここに来た目的が分からない以上、長居は無用だ。


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