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最底辺の這い上がり  作者: 白黒めんま


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13/24

chapter03

勉強をする時、僕はあえて少しだけ空腹の状態で勉強に臨む。

その方が集中出来るからだ。


しかし、逼迫した飢えというのは想像以上に辛く、苦しい。

判断力は鈍り、思考は散漫になる。


身体は思うように動かない。

それでも、戦わざるを得なかった。


戦わなければ死ぬだけなのだから。


何度も潰され、何度も切られ、千切られ、嬲られ、裂かれ、齧られ、噛み砕かれ──そうして殺された。


ウルフの群れ。

オーガ。

ゴーレム。

天狗。

猫又。

河童。

メドゥーサ。

ポイズンスライムの群れ。

キラーラビットの群れ。

ワイバーン。


中には、妖刀なんて変わり種もいた。


妖刀との戦いもある意味では忘れられないものであったが、何よりも忘れてはならないのが、最初に僕を殺したモンスター。

ミノタウロス。


他にも色々いたと思うが、もう覚えていない。

忘れてしまうほどに何度も殺された。


そして、殺した。

あるいは壊した。


されど、今に至ってもまだ──殺せずにいるモンスターがいる。


ヴァンパイアだ。

あれから何度か相見えているが未だ殺せていない。


殺せていないだけならまだいい。

しかし、僅かな勝機さえ見えないのが致命的だった。


何度殺しても、どんな殺し方をしても奴は死ななかった。

驚異的な、あるいは脅威的な回復速度で、致命傷さえも回復してみせる。


殺しても死なないなんて、まるで僕と同じじゃないか。


もっとも僕の場合は確実に死を体験しているので、ヴァンパイアのそれとは似て異なるものだけれど。



【35/36】



カウントは残り1。


後、一歩。しかしその一歩がもどかしい程に遠い。



「そろそろか……」



天狗。ゴーレム。ミノタウロスと続き、次で四連戦目。

好調だが、飢餓感はかなり酷い。


それでも、臆していないのだから僕にしては前向きだ。

この空間で過ごした時間が、繰り返す生と死が、僕の性格を変えたのだろう。


気弱で臆病なかつての僕は、もうどこにもいなかった。



瞬間、虚空が輝きを放つ。


現れたのは、漆黒のドレスに身を包んだ赤髪の女であった。


金の双眸。

鼻筋はすっと通り、仄かに色付く唇は引き締まっている。


しなやかな四肢は、透き通るように白かった。


誰もが振り返る美女。


人間となんら遜色のない外見をしている。

人間であれば、二十歳くらいの歳の頃であろうか。


初めて見た時には、思わず見蕩れてしまったほどに美しい。


しかし、その外見に騙されちゃならない。


こいつは正真正銘のモンスターなのだから。

Sランクモンスターのヴァンパイアなのだから。



「さて、存分に殺し合おうじゃないか。ヴァンパイア」



お前を殺して、僕はここを出る。


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