文化祭を終えて後夜祭に行こうとしたら学年一の美少女に告白されました。
文化祭が終わり、片付けをしていた時。
『そろそろ後夜祭が始まりまーす!グラウンドに集まってくださーい!』
と、校内放送が流れると片付けしている手を止め、みんなグラウンドに向かい始める。
「めんどくさ……」
そうポツリと言いながら、俺は渋々グラウンドに向かった。その途中。
「あ!北川いた!」
と、誰かが俺にそう言った。俺は怪訝な顔をしながら、その声の方に向いた。そこには、同クラの女子数人がいた。
「北川、ちょっとお願いがあるんだけど」
「何?」
「今、花恋のこと探してるんだけどさ、北川にも探してほしいんだ」
「は?何で俺?」
『花恋』という名前を聞くだけでドキッとする。花恋……滝沢花恋という女子は、俺と同クラの女子で、おしとやかな美少女だ。
俺はその女子に恋……している。けど、滝沢さんとは話したことがなく、いつも遠くから見てるだけ。なぜなら滝沢さんは学年一の美少女だからだ。陰キャの俺なんかが、そんな美少女と話せるわけがない。というか、話してはいけないような気がする。
「てか、スマホは?連絡した?」
「それが、謎に繋がんなくて。とにかく、私達はグラウンド探してくるから、北川はもう一回教室見てきてくれる?」
「分かった」
何か違和感を感じつつ、とりあえず俺は、教室の方に向かった。
「普通にいるし……」
教室に行くと、滝沢さんは一人で文化祭の片付けをしていた。俺に気づくと、滝沢さんはびくんっと体を跳ねさせ「きっ、北川君!?」と、驚いた。
「滝沢さん、平賀たちが探してたけど」
「え?紗理那たちが?でも、紗理那にここで待っててって──……あっ、そう言うことか……」
と、滝沢さんは言いながら、大きな溜め息を吐いた。夕日が滝沢さんの顔に当り、そのせいか頬が赤く見える。
「あの、北川君……」
「な、何?」
滝沢さんはもじもじしながら、何か言いたそうにしていた。そして。
「私っ……北川君のことが、好きっ!なんです」
「あ、そうなんだ。滝沢さんが俺のこと……って、へ!?」
俺は驚き思わず声をあげ、慌てて口を手で押さえた。
「何で?陰キャの俺に?」
「……前に、公園で猫とお話ししてたでしょ?その時から私、北川君のこといいなって思ってて……」
「そうなんだ……あの、俺もその、滝沢さんのこと、ずっと前から好きです」
そう言うと滝沢さんは嬉しそうに照れ笑った。
「今度一緒に、その猫に会いに行こっか」
俺がそう言うと滝沢さんは、こくんと微笑みながら頷いてくれた。