不未助、異世界転生する
神様の話をまとめるとこうであった。
私が異世界転生する際にチート能力が授けられるのはこれから私が相手するであろう魔王軍なる存在がチート能力なしでは相手することが出来ないほどの強さがあるためとのことだった。
そして、異世界転生する際に私に授ける予定であるチート能力だけでは今回神様の代わりに戦わなければならない相手である魔王軍には少々物足りなさを感じるそうだ。
それだけでも絶望的な情報なのに、神様によると、今回魔王軍のバックに神がついていることは分かっているが、その神がどれほどまでの力を保有しているのかは神様の力をもってしても未知数とのことだった。
神様によると、完全にその存在を把握することができていない魔王軍のバックについている神は強力な存在である可能性が高いらしく、自分のように相手方も異世界から私のような勇者と呼ばれる者たちを召喚している可能性もあるそうだ。
なので、神様は異世界に転生する際に与えられたチート能力に甘えることなく、しっかりと鍛錬や魔術の勉強に取り組み、来たる魔王軍との戦闘に備えるようにとのことだった。
えっ?
異世界転生する際にもらえるチート能力って、世界を脅かすような敵相手でも絶対的な力で捩じ伏せられるほどの強さじゃないの?
まあ、創作物の世界のように現実は甘くないと言うことは納得できるし、創作物のように異世界チート無双なんてことは出来ないのは諦められるが、凄く偉い神様から直々に与えられた加護や祝福を持ってしてもやり合うのには少々物足りなさを感じさせるほどの力を持っている魔王軍は普通にダメだろ。
チート能力ありきでまともな戦いができるほどの強さって、魔王軍はどんだけ強いんだよ。
それに、魔王軍のバックについている神は神様でも把握しきれないほどの力を持っているそうだし、神様みたいに異世界から勇者を召喚する可能性もあるとのことだし、魔王軍サイドの強さが異常なんだけど。
ただでさえ、チート能力ありきの強さなのに異世界の勇者がいる可能性もあるって、魔王軍サイドだけオーバーパワーすぎじゃない?
そんなに強かったら異世界の人たちじゃ全く相手にならないんじゃないのか?
もしかしたら、俺が異世界転生する前に魔王軍の手によって世界が滅ぼされているなんてことが普通に起こり得るんじゃないのか?
そんな風に俺が魔王軍の強さを聞いて絶望していると、
『そんなに心配しなくても魔王軍は現地点では存在すらしていないから大丈夫だ。魔王軍が結成させるのは早くてもお前が異世界転生してから20年後だからな。お前が転生して成人するまでは安心してくれ。それに、異世界の奴らの中には普通に魔王軍に太刀打ち出来るほどの強さを持っている者たちも存在しているぞ。だから、魔王軍が結成される前に仲間集めを行えば良い。あと、お前に与える予定の加護や祝福もお前がサボらずに鍛え続ければ、普通に異世界でもトップクラスの強さになれるから、魔王軍に勝てるかは本当にお前の努力次第だ。それと、相手の出方次第もあるが、こちらもお前以外の勇者を召喚する予定でもあるから、他の勇者たちとも手を取り合って頑張ってくれ』
神様が新たな情報を俺に教えてくれた。
神様の話によると、魔王軍が結成されるのは最低でも俺が転生してから20年後らしく、転生したら世界が滅びてましたみたいなことは起こらないらしい。
そして、異世界にも魔王軍とまともに戦えるような人材が普通に存在しているらしく、魔王軍との戦いが心配ならそんな人材を仲間に引き入れれば良いとのことだ。
他にも神様から授けられる加護や祝福は俺がサボらずに鍛え続ければ、今から転生する異世界でもトップクラスの強さを手に入れることが出来るほどの強さを秘めているらしく、その話を聞いた俺は絶対に能力はサボらずに鍛え続けようと胸に誓った。
最後にこれは確定情報ではないが、相手の出方次第では俺以外の勇者も転生させる可能性があるらしいので、その場合はその勇者たちの手を取り合い、力を合わせて魔王軍を倒すようにとのことだった。
なんだか、ここまでの話を聞くと、自分でも頑張れば、魔王軍を倒せそうな気がしてきた。
まだ自信はあんまりないが、自分のできる限りのことは頑張ってみようかな。
そんな風に俺が異世界転生への決意を固めつつにいると、
『もうそろそろこの世界の限界も来そうだし、悪いが今からお前のことを異世界に転生させるぞ。あと、お前のために今から向かう異世界であるミハイラルで使用できる全ての魔術が記された魔導書とお前でも習得できそうな武術が記された武術書をお前のアイテムボックスの中に入れとくから、それを使って勉強してくれ。それじゃあ、良い知らせが聞けることを楽しみに待ってるぞ〜』
神様が今いる世界の限界が来そうだから、今から俺のことを異世界に転生させるとのことだった。
そして、神様は俺のアイテムボックスに魔導書と武術書を入れておくので、異世界転生した後にその二つの書物を使って勉強するようにとのことだった。
以上のことを神様が俺に伝えると同時に先ほどまで暗闇で何もなかった世界に亀裂がどんどん入っていき、世界が砕け散ると同時に俺は深い眠りにつくように意識がなくなったのだった。
これ不未助の語尾がどんどん変わっていってるのは精神年齢がだんだん若がっているためです。なので、途中から彼の一人称が私から俺に変わりました。それと彼が大人になるまでの間は普通の異世界転生ものらしい話にしようと思ってます。初っ端から飛ばし過ぎるのは良くないので。簡単な内容としましては学校に通うなどですかね。なので、タイトル回収はまだまだ先になりそうです。私の作品を読んでくれている方なら分かると思いますが、不定期投稿なので、是非ともブックマークをしておいてください。あと評価などもしてもらえるとありがたいです