表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

6話 ご褒美2

 ボクは兵士に連れられて洞窟を歩いていた。

 経験の儀式とやらは、玉座で行うものらしい。

 てか、このコミュニティに王様なんていたんだね。

 ちょっとびっくり。


 それと、道中に前見つけた牢屋があった。

 中を覗き見ると、美しい少女が座っていた。

 どうやらまだ、エルフは献上されていないらしい。


 ふむふむ……この道が牢屋に続く道なのか。

 ヨシ! 今度帳簿を届けるときは迷わないぞぉ!


「着いたぞ」


 洞窟の奥深くに荘厳な扉があった。

 見るからに贅を尽くした作りで、この中にいる者の権力をヒシヒシと感じさせられる。


 兵士ゴブリンは扉を軽く開いて、


「連れて来ました」

「お勤めご苦労。下がっていい」


 部屋の中には3匹のゴブリンがいた。

 魔法使いのようなローブを羽織ったゴブリン、騎士の甲冑を着たゴブリン、手に持つ巨大な杖と同じくらい大きなゴブリンが佇んでいる。


 その3匹は揃ってボクみたいな普通のゴブリンと違って身体が大きかった。

 多分、人間と同じくらい大きいかも。

 恐らくホブゴブリンに進化しているのだろう。


 なら順番に、ホブゴブリンメイジ、ホブゴブリンナイト、ゴブリンキングってところかな!


「そこのゴブリン。こっちにきなさい」


 ナイトから手招きされてボクは扉から離れる。

 すると、ナイトがつらつらと早口で説明し始めた。


「これから経験の儀式を始める。

 経験の儀式とは内にある魂の格を上げるための儀式」


 な、なんか語りだした。

 つーか、魂の格ってなんだよ!説明求む!

 まあ、どうせ大したことじゃないんだろうケドさ!


「狩猟部門の奴らは毎日戦闘に明け暮れているが、君のような生産部門はそうもいかない。

 だからこそ経験の儀式を行うのだ」


 ナイトは更に自身の胸の辺りを叩きながら、


「我々は魂の格を上げることでより強くなれる。

 お前を呼んだ理由はそれだ。

 優秀な人材を死なせないようにするためにな」


 あ、なるほど。

 ようやく理解できた。

 魂の格ってのはレベルのことだ。

 強くなれるってのはステータスが上がると同義。

 じゃあつまり、君にレベルアップさせてあげる、と。

 そういうことを彼は言っt


「………」


 ………………ん……ちょっと待てよ。

 ………てことは………おいおい……遂にキタのか!?

 念願のレベルアップ!


「では早速、経験の儀式を執り行う」


 HP6という呪縛からの解っっ放っっだっっー!

 ひゃっほうマジかよ!

 全然大したことありましたごめんなさい!


 と、


「この魔物を殺すことで儀式は終了となる」


 気付くと、眼前に瀕死の魔物が横たわっていた。

 ナイトが連れてきたのだろう。

 ボクはナイフを押し付けるようにして渡された。


「殺し方は分かるか?」


 誰にものを聞いているんだ。

 ボクはその道のプロだったんだぞ!


「平気です」


 久々の殺しにカチッとスイッチが入った。


「……かなりの血がまき散ると思うが気にするな。

 経験の儀式を行うものは皆、そうなって驚くんだ」


 たしかに。ボクも最初はそうだったな。

 なんて思いながら、


「ーーー!」


 びくん!


 声にならない絶叫。

 魔物は一瞬だけ身体を痙攣させて絶命した。


 血は飛び散っていない。

 ナイフにべっとりと付着しているくらいだ。


 ボクはよっこいしょと顔を上げて、


「これで魂の格、上がりましたかね」


 暗殺もとい殺しは静かで小規模に。

 ナイトが少し驚いたような表情を浮かべていた。


「あ、ああ……心配はいらない。すぐに実感する」


 なんでそんな顔してるんだろ。

 まあ、大丈夫みたいだからいっか。

 後でステータスを確認してみることにしよう。


「……君」

「なんですか?」

「……いや、気にしないでくれ」


 なんだよ。気になるなあ。

 ボクは唇を尖らせながら扉に手を掛ける。


「若人よ。これからも努力せよ」


 と、最後にゴブリンキングが喋った。

 喋れたんだ……。



 ◇◇◇



 ボクはホクホク顔で職場に戻っていた。


 むふふ、レベルが2つも上がっちゃった。

 HPも6から20になったし。

 もしかして今のボク……最強なのでは?


 そんなことを考えてたら部屋の前に着く。

 ボクは扉を開けようとして、踏みとどまった。


「アナタたち……流石に無計画すぎよ」

「部外者は黙っててくれません?」

「そうそう。コケにされて許せないんだから」


 ……おん?

 普段は静かなのに今日は騒がしい。

 何を話しているんだろう。

 あ、ひょっとしてボクへのお祝いかな?


「邪魔したらアンタも殺すから」

「告げ口とかホント止めてくださいねー」

「っ……」


 ……違うか。

 というか物騒な会話してるなあ。

 殺すとか、なんとか。

 ムカつくゴブリンと喧嘩でもしたんだろうか。


「んじゃ、あの生意気な後輩は殺すってことで」

「決まりねー。とりあえず、毒草持って来るわー」


 …………マジ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ