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3話 新しい仕事場

「今日からここがお前の仕事場だ」


 連れてこられたのは洞窟の奥の部屋。

 扉の向こうからは、物音ひとつしない。


「話は通してある。頑張れよ」

「ありがとうございますうー」


 ……よし。

 職場の人間関係は最初が肝心だ。

 人間関係が良ければ仕事も円滑になる。


「テンション高めで元気な挨拶を!だ!」


 もじもじしていても仕方ない。

 ボクは目の前の扉に軽くノックをした。


「…………」


 しーん。


「あ、あれ?」


 待ってみても応答は無かった。

 少なくとも場所は間違っていないはずだ。

 もう一度、今度は強めに何回かノックしてみる。


 すると、


「……入ってどうぞ」


 きた……!

 ボクは扉に手を掛ける。

 よーし! 元気よくいくぜ!


「こんにちは! 今日からお世話になります!」


 ギロリ×4


 ひえっ。

 な、なんでボク睨まれてるの?


「……なに?」


 隈だらけのゴブリンが声を掛けてきた。


「その洋服部門の監督からここに行けって」

「……ああ。貴方が新任の子ね。案内するわ」

「あ、ありがとうございまㇲ」


 部屋の中は木彫りのテーブルが4つあった。

 みんな一心不乱にテーブルに向かっている。

 気になって何をしているのかなと覗くと、動物?の皮に炭で落書きをしていた。


「……」


 に、睨まれちゃった。

 仕事中に邪魔したボクが悪いな今のは……。


「貴方の席はここ」

「ど、どうも。それで仕事内容は……」

「……少し待ってて。今持って来るから」


 そう言って、数十秒後には戻って来た。

 どさり。

 大量の動物の皮と炭をボクのテーブルに置く。


「この炭を使って皮に、各部門どれくらいの成果が上がったかを記録していくの」


 ボクは説明を聞いて思い当たるものがあった。

 なるほどー、ゴブリンも帳簿を付けているんだ。


「じゃ、お願いね」

「はい! ってええ!? 終わり!?」


 ボク、ゴブリンの文字分かんないんだけど!

 この世界言語は統一されているっぽいけど、文字は種族によって異なるみたい。


「なにか文句でも?」


 有無を言わさぬ厳しい視線。


「うっ」


 ……そ、そんな目で見ないでよう。


「私は忙しいの。自分の事は自分でやれ」

「……はい」


 ボクは渋々頷いて自分のテーブルに座った。

 仕方ない……新人は上司に従うしかないのである。

 世知辛いぜ……。


「うう……まずは規則性から見つけるかあ」


 と、意気込んだはいいものの。


(うん! 全然わからん!)


 結局、一日費やしても意味不明だった。

 周りの人に質問してもガン無視されるし……。


 考え得る最悪な職場だよ!マジで!

 これなら暗殺協会の方がまだマシに思える。


 憂鬱だあ。

 けど、三本角君のためにも頑張らないとな。


「ぐぬぬ……!」


 二日目の今日も今日とて分からんままだけど。

 すると、


「ね、文字教えてあげようか」

「キツイよね。うちらも同じだった」


 昨日はガン無視を決め込んでいた二匹のゴブリンがボクに話しかけてきた。


「いいんですか!」


 神かよ!

 どんな心変わりかはこの際どうでもいい!

 今は状況を打破できる一手が欲しかったんだ。


「いいよいいよ」

「そうそう。同じ職場のよしみだし」

「ちょっと……」


 と、


「あなたたち自分の仕事終わってないでしょ」


 初日に案内してくれたゴブリンが注意する。


「別に数十分くらい変わらないですよ」

「そーそー。それくらいの時間なら、ねえ?」


 ……あんまり仲良くないのかな?

 4人しか居ないのに派閥争いが起こってるのか。


「……そう。二人共ノルマには気を付けることね」


 はーいと二匹のゴブリンは気の抜けた返事をした。

 そして、


「んじゃ、可愛い後輩に教えるとしますか」

「ちゃんと聞きなよ。一回しか言わないからな」

「はい! お願いします!」


 バッチコーイ!

 どんな難題でも諦めずに解いてみせるぜ!



 ……三十分後。


「あ、なるほど。この文字が関連してるんだ」

「う、うん」

「え……もう覚えたの」


 これまたあっさりとゴブリン文字は解読できた。

 正直、日本語よりも簡単というか単純だ。

 象形文字+数字(1~5)でゴブリン文字は形成される。

 象形文字がどの母音を表しているのかさえ覚えれば、雪だるま式に理解できた。


「これで何とかなりそうだよ!

 先輩方、ありがとうございました!」


 よーし! これから頑張るぞ!

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