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12話 魔法 

 粗悪な装備を作ってから二日後。

 ボクたちはまだエルフの里に着いていない。

 この五日間は、道中の魔物を避けるなり倒すなりして森を進み続ける日々を送っている。


 目に見えた成果は無いが、

 ボクとアトラス君のレベルは更に上がった。


 ソリス LV8

 種族:邪妖精(ゴブリン)

 ステータス

 HP:37/37

 MP:11/11

 攻撃:18

 防御:17

 魔力:9

 速度:22

 スキル


 アトラス LV9

 種族:邪妖精(ゴブリン)

 ステータス

 HP:56/56

 MP:8/8

 攻撃:39

 防御:38

 魔力:14

 速度:35

 スキル


 もうすぐアトラス君はレベル10だ。

 レベル10になったら進化ができるらしい。

 アトラス君が進化したらどうなってしまうのか。


 正直、わくわくしてるボクもいる。

 ただ、最近は目に見えてレベルアップが遅い。

 ホブゴブリンに追いつかれる前に進化できるかは、恐らく半分半分ってところだろう。 


 ボクの方はまあ……………。

 うん、ホブゴブリンになれたら考えよう。


 今はカンナギに魔法を教えてもらっていた。


「じゃあ早速魔法を教えようと思う」

「先生! 待ってました!」

「せ、先生……何だか照れるな」


 ……美少女のテレ顔って破壊力やばい。

 ゴブリンが攫ってしまう理由も分かるよ!


「こほん。……魔法は思ってるより簡単。

 だけど、まずは魔法に対しての理解を深めてもらうため簡単な説明をしていく」

「魔法の説明かあ……り、理解できるかな」


 と、及び腰のアトラス君。


「安心して。そんなに難しくない」

「それなら良かった……」


 カンナギの言葉に彼は安堵の息を吐く。


「ボクも分からないところがあるだろうし、一緒にカンナギから学んでいこう」


 まぁ初っ端から理解できないことはあるまい。

 魔法といっても結局は、ステータスとスキルの組み合わせでしか無いはずだ。


 そしてカンナギのプチ魔法講座が始まった。


「魔法は魔法力を使って発動する。

 その威力は自身の魔力によって決まるの」


 MP消費で魔法発動。

 魔法の威力は魔力によって委ねられる。

 これはステータスを見れば何となく理解できた。


「魔法力……?」と、早速アトラス君。

「ステータスにあるMPってやつさ」

「ああ、ごめん。

 言い慣れている方の言葉で説明しちゃった。

 何も言ってないのにソリスはよく理解できたね」


 でへへ、褒められた。


「話を戻すよ。

 魔法は魔力と魔法力が大事。

 でも、魔素はもっと重要になってくる」


 魔素? 聞いたことの無い単語が来たぞ。


「魔素ってどんなものなの?」

「私たちの眼には見えないモノ。

 大気中や生物の身体にいるみたいだけど……正直、私も詳しいことは分からないんだ」


 ほぇー……粒子みたいなものなのかな。

 異世界だし謎粒子があっても不思議じゃない。


「ただ、生物の望む姿に形を変える、と聞く」

「の、望む姿……? って程度はどのくらいなの」


 ボクの質問に、うーんとカンナギは唸って、


「魔法はイメージが大事になると言われてる。

 イメージを強く持つことで魔素が反応して、炎や風に関する現象を自由に引き起こせる。

 これでなんとなくは、理解して貰えると思う」


 うーん……この。

 流石はファンタジーとしか言えない。

 まぁステータスがある時点で現実味は無いのだが。


「魔物の進化にも関わってるそうだよ。

 魔物が望んだ姿に進化できるのも同じ原理みたい」

「ふふ……魔素……進化……イメージ……」


 やばい! ゲシュタルト崩壊してるぞ!


 アトラス君は既にパンク気味だった。

 そんな彼を見てカンナギは少し慌てるように、


「と、ともかく。

 魔法を使うにはイメージが重要で、その要因になっているのが魔素。

 これさえ覚えてくれればいい」


 そう言ってカンナギは、自身の掌を差し出した。


「これで説明は終わり。

 次は実際に魔法が使えるか確かめよう。

 まずはアトラス、私の掌に自分の手を重ねて」


 はぁ!? おいズルいぞ!


「こ、これで大丈夫?」

「平気。

 今から魔素を流し込むから感じ取ってみて。

 魔素を感じ取れれば魔法を使う才能があるから」


 と、何やら互いに手を握った状態で静止する。


 ……宇宙人を呼び寄せてるみたいだな。

 それか未知の惑星との交信を図ってるかのどっちか。


 やがてカンナギは静かに口を開いて、


「どう? 感じ取れた?」

「ごめん……ダメみたいだ。何も感じない」


 アトラス君はガックリと肩を落とした。

 どうやら魔素を感じ取ることはできなかったようだ。


「謝る必要も、悲観する必要も無い。才能がある生物の方が圧倒的に少ないんだからね」


 流石は先生。

 失敗後のフォローも欠かさない。


「じゃあ次はソリス」

「はい!」


 ボクは意気揚々とカンナギと手を繋いだ。


「そ、ソリス……手を置くだけでいいかも」


 するとカンナギは恐々と手を離してしまう。

 怖がるというより、完全にドン引きしていた。


 あ…………ゴブリン風情が何やってんだろう。

 一応ボクも女だから大丈夫だと思ってたけど、緑の化物に手を握られるなんて普通は嫌だ。


「い、嫌ってわけじゃない。

 その……生理的に無理なだけ」

「そっちの方がよっぽど傷つくよ!?」


 全然オブラートに包めてない!


「も、もう。いいでしょ早くやろう」


 あたふたとカンナギはボクの手を取った。

 どさくさに紛れて握ってるケドいいのかな。


「ほら、魔素を流すから」


 おっとと。

 もうおふざけの時間は終わりだ。

 ボクも魔法は使いたいからね。集中しないと。


「…………」「…………」


 ボクとカンナギは半瞑想状態に入った。


 普段は外に向いている意識を身体の内に向ける。

 中々に面白い。

 心臓の鼓動、筋肉の収縮、血液の流れ。

 様々な働きがボクの身体の中で絡み合っている。


 その中で。

 ボクは今までに感じ得ない何かを感じ取った。


「……どう?」


 と、カンナギが半目を開けてそう訊ねてくる。


「分かった……かも」

「ホント? それは凄い」


 カンナギが軽く目を見開いた。

 むふふ、もっと褒めてくれてもいいんだけどな!


「さ、流石はソリスだ……」


 botみたいに呟くアトラス君は放っておく。


「まあ、もしあれが魔素ならの話だケドね」

「試してみよう」


 そう言ってカンナギは手頃な石を地面に置いた。


「これに魔法を撃ってみて。

 イメージできるものなら何でもいい」

「ちょっと待ってね……」


 ボクは頭の中でイメージをこねくり回す。

 炎、水、土なんかの様々なイメージができたけど、それを押しのけて頭に浮かぶのは風の魔法。


 実物を見てないのと見てるのじゃ全然違う。

 ボクは風の魔法をイメージすることにした。


「むん!」


 ボクは掌から風が出てくるのをイメージしながら声を出した。

 すると、身体の中にある何かが流動的に動いている感覚に襲われる。


 な、なんか気持ち悪い……。

 身体の中で生き物が蠢いているみたいだ。


 そして、風の魔法は放たれた。


「おおっ」


 風の魔法は一直線に石に向かっていく。

 砕けはしなかったものの、少しだけ削れた。


「本当に魔法だ。ソリスには才能があるかも」

「えっへへ」


 カンナギに褒められると嬉しいな!


 そうしてボクは風の魔法を習得した。


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