表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【新商品】冒険者用安全ヘルメット ヘッドライト魔道具つき 9,800G(税込み)

作者: えどまき

※前半は創作ネタで、後半がまじめなエッセイ本文となっております。


 冒険者の皆様、こんにちは! おなじみ『ボッタクリ商店』です!

 価値ある商品をお得な価格でご紹介する、アイテムショッピングの時間がやってまいりました!


 本日ご紹介する商品は、こちら!


【冒険者用安全ヘルメット】

・DEF+10

・フリーサイズ

・構造

  外殻:ミスリル配合積層スチール

  内装:発泡スライムロール

  ハンモック:クラーケン繊維

  あごひも:オーク皮

・標準規格オプションマウント付き

・冒険者ギルド安全基準認証取得


 堅牢性、耐衝撃性に優れ、軽さと通気性をも兼ね備えており、防御力に不安のある後衛職の方に最適です。また、土木建築、鉱山、造船海運等の現場でもお使いいただけます。


 外殻には異世界からの勇者ユージ・ハザマ氏考案の、特殊な成型加工を施してあります。

 こちらをご覧ください。見てのとおり、強い衝撃がかかった場合には、外殻が衝撃を吸収して自壊し、頭部への衝撃をシャットアウトします。


 そして、ここの標準規格オプションマウントにはランタンや、ライト魔道具、丑の刻参り用ろうそくなどが装備できます。


 では、実際に使用された方々の声をお聞きください。


「戦闘中、頭に矢が当たったけれど、このヘルメットのおかげで命拾いしました」(神官)

「ダンジョンのトラップで落石があったけど、無事でした」(魔法使い)

「乗馬の練習中に落馬しましたが、これのおかげで頭を打たずに済みました」(騎士見習い)

「下手なフルヘルムより頑丈だし、通気性がいいんで、ハゲの心配もなくなったわい」(戦士)


※個人の感想です。効果には個人差があります。


 いかがでしょうか?

 このヘルメットにヘッドライト魔道具、補修用内装パッドをお付けして、メーカー小売希望価格25,000ゴールドのところ、なんと! 9,800ゴールド(税込み)! 9,800ゴールドでお売りします!


 ご注文は冒険者ギルド、または商業ギルド窓口まで!


 では、本日はこの辺で。またお会いしましょう!


♪ふぉー・ざ・ぐろぉりぃ! びぃーっぐ・ぐろぉ~~りぃっ!!



―――――――――――――――――――――――――――――



 ……という妄想を、正月早々からずっと抱えておりました。

 なぜにこんなことを思いつくに至ったかですが、最近、いくつかの転移・転生モノの小説を読んでて、本筋とはまったく関係ない部分で気になる点がありまして。

 それが何かと言えば、


「この主人公や仲間たち、こんな危ない場所でこんなに危ない作業してるのに、ヘルメットなしで大丈夫なの? ヤバくない?」


 というところなのです。いわゆる、「そんな装備で大丈夫か?」ですな。


 胴体や手足の装備は万全なのに、頭だけ無防備なキャラというのはわりと多いと思います。

 前衛キャラだとわりかしきちんとヘルメットを装備してることもありますが、後衛の、特に美少女キャラだったりすると、きちんと頭防具を被ってるケースはあまり見た覚えがないです。せいぜい魔術師系か狩人系のキャラが帽子を被ってるくらいでしょうか。

 頭を保護する習慣がないのか、それとも髪を隠すのはイヤという見栄え重視なのか、ひょっとして蒸れると脱毛が怖いのかはわかりませんが。書籍化してイラストがついたりすると、ヘルメット被ったヒロインというのは絵面が微妙だったりしますかね。

 あと、宗教的とか役割区分(クラス)的な理由で、頭装備に制限があったりするかもしれませんが。


 でも、危険地帯で頭を無防備にさらすのは、不安にならないんでしょか。



 いやはやほんと、それぞれの物語の本筋からはどーでもいい話で恐縮なんですが。わたしは根が人一倍臆病なため、余計なところまで想像してしまうのです。


「もしも、本筋にはまったく無関係な些細な事故で、頭を打って『完』となってしまったら」


 ……なんて思ってしまうのですよ。たとえ、作者さんがそんなこと微塵も考えていなかったとしてもです。愛着の沸いたキャラならなおのこと。

 これがもう、いったん気になりだしたら止まらない感じでして。


 ゲームだとたいていは頭装備が普通に用意されてますが、ゲームに影響を受けたであろう『なろう系小説』の多くがあまり頭装備にこだわっていない、というのは不思議ではあります。

 装備欄に枠があって、そこにセットできるアイテムがあったら、普通埋めませんかねえ。




 冒険者に危険は付き物ではあります。読んで字のごとく、『険を冒す者』ですから。

 危険とは戦闘だけには限りません。ダンジョンのトラップもあります。

 あるいは、ファンタジーであっても現実世界と同様に、河川の氾濫や土石流といった災害や、洞窟・鉱山や崖からの落石、家屋の倒壊、倉庫での荷崩れといった事故もあります。そういった危険というのはわりと身近に、普通に転がっています。


 ヘルメットくらいではどうにもならない事態というのも多々ありますが、ヘルメットの有無が生死を分けるような場合も少なからずあります。転倒した際に頭を打ったとか、落下物が頭にクリティカルヒットしたといった事故で亡くなられる方も現実に存在しています。

 そういうのを念頭に置いておいてしまうと、頭が無防備なキャラというのは、それだけで読んでてヒヤヒヤしてしまうのです。



 作品によっては、VITだとかDEFといったステータスがバカ高くて、拳銃弾程度は生身ではじき返すような設定のキャラだとか、あるいは防御用の魔法アイテムを装備してるだとか、常時障壁魔法を使っているとかあります。そういう場合なら、ヘルメットは不要なのかもしれませんけれど。


 しかし、そうでなかった場合、頭部は十分に急所になりえます。他の部位が無事だったとしてもです。

 たとえ後から魔法で脳の障害まで治せてしまうとしても、それに頼るのは極めてリスクの高いものとなります。

 というか、四肢欠損くらいまでならともかく、脳みそがこぼれちゃってるような状況は、普通は即死判定です。数多ある聖女さまの物語でも、死んでしまった人を蘇らせるのは不可能とするものがほとんです。中には、神サマレベルに達したチートでどうにかしてしまうお話もあるにはありますが、ファンタジーだからといってそれは安易すぎるかなという印象は否めません。



 頭というか、脳は人体の中で一番重要な器官です。頭蓋骨はともかく、その中身は脆いもので、ちょっとした衝撃で命を落としてしまうことも少なくはありません。

 応急処置で人工呼吸や心臓マッサージをするのは、ひとえに脳へ血液と酸素を送るためです。

 また、現代日本においても、『労働安全衛生法』で安全帽の着用などを含めた安全措置についての規定があります。これは、危険を避けるうえで必要だと考えられているからです。

 中世あたりでは、魂は心臓に宿り、心臓こそが最重要、という考えもあったようですけどね。しかし、異世界転生モノ小説で現代知識があるキャラなら、そういう考えにはならないんじゃないでしょうか。


 純粋異世界ファンタジーなら、『安全第一』という考え方が浸透してなくても仕方ないかもしれません。しかし、現代日本からの転移者・転生者なら、安全帽くらい被ったらどうなんだと思うわけであります。



――とはいっても、現代でも、中東やアフガンの米軍兵士やPMCがヘルメットを被らずに、バンダナや帽子だけで行動している映像も時折目にしますけどね。あれは、ヘルメットでさえもあまり当てにできない環境だからだったりするんでしょかね。

 フィクションでは、ドクター・ジョーンズもカウボーイハットだったりしますし。




 さて、ヘルメットといえば戦闘用のほか、現代では産業用やレジャー用など幅広い用途で使われています。

 戦闘用ヘルメットは三千年以上前の青銅器時代にはすでに存在していたようですが、では戦闘用以外のヘルメットはいつ頃出てきたのでしょう。そこが気になって、Wikipedia(英語版)他いろいろググってみました。


 非戦闘用でもレザーキャップなどは昔から使われていたようですが、『帽子』の範疇じゃなく、防御力を高めた『ヘルメット』と呼べるものが使われるようになったのは、わりと近代になってからのことのようです。

 炭鉱夫用の硬いヘルメットが出てきたのは二十世紀に入ってからで、それ以前は布と皮でできた帽子を被っていたそうです。

 消防士用だと十九世紀にナポレオンの指示でフランス軍の消防部隊が組織されたときに、その部隊が真鍮製のヘルメットを着用していたそうです。

 この辺りが、非戦闘用ヘルメットの源流になるのかなと思います。


 そう考えると、中世ナーロッパ的世界でなら、知識チートとして安全ヘルメットが受け入れられる余地は十分あるんじゃないでしょうかね。




 ……なんて、だいたい現時点で思ってること、考えてることをあらかた()()()たところで、このエッセイを閉じたいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ