表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ブラウン管テレビ

作者: 結城トウジ

「なろうラジオ大賞2」応募作品です。


①作品タイトルに以下のワードを入れる。


 ブラック企業 / 必殺技 / 忍者 / おにぎり / ドラゴン /

 文学少女 / 名探偵 / ボロアパート / 大魔王 / 聖女 /

 サラリーマン / 幕末 / ブラウン管 / 伝説 / 農民 /

 おねぇ / 入道雲 / 暇つぶし / 偽物 / 牛乳 /

 コントロール / 森の /


②オリジナル作品であること


③1000文字以下の作品であること

「なぁ、ブラウン管って知ってるか?」


 男子高校生二人が、休み時間中に机を挟んで雑談をしている。


「テレビのことだろ」

「おっ、よく知ってたねぇ。もう液晶に変わって大分経つっていうのに。偉いねぇ」

「馬鹿にしてんのか。それくらいの知識は俺だって持ってんの」

「じゃあ、なんでブラウン管っていうか知ってるか?」

「知るか、そんなもん」

「まぁまぁ、当てずっぽうでいいから言ってみ? 君のその小さい脳の、え~っと、ぜ、前頭葉かなんかを働かせてみ」

「知らねぇよ、ブラウンさんが作ったんだろ」

「えっ!?」

「えっ、なんだよ? 当たったのか?」

「ぶ、ぶ~っ! はずれ! いや~惜しい! 実に惜しい!」

「じゃあ正解は?」

「せ、正解は……ぶっ、ブラウン……茶色の部品を使っているからでした!」

「本当かよ、怪しいな。どこらへんに惜しい要素があんだよ」

「もうそんなことどうでもいいわ!」

「お前が言いだしたんだろうが」

「僕が言いたいのはそんなことじゃないの。ブラウン管っていうと、みんなテレビのことを想像するでしょ?」

「まぁ、そうだな」

「私はそれに異議を申し立てるものなり」

「誰だお前」

「ブラウン管って聞いて、テレビのことを想像するのはおかしいんじゃないですか? って言ってるんです」

「なんで敬語なんだよ」

「だって考えてみ。ブラウン管はテレビの一部でしかないんだから。例えば、車のことをエンジンって言う奴いないでしょ? エンジン乗っていこーぜとか、言わないわけ」

「あぁ、そういうことね」


 そういうと男子は、引き出しの中から教科書を取り出して、次の授業に備えだした。


「ちょっと待て。話はまだ終わってないぞ」

「なんだよもう」

「車のことをホイールって言う奴はいないわけ。ホイール乗っていこーぜとか言ったら、なんだこいつ、頭おかしいんじゃねぇの、と思われるわけ」

「わかったっつーの」

「タイヤ乗っていこーぜとか言ったら、なんだこのわんぱく小僧は、とか思われるわけ」

「しつけーなもう」

「チャリンコのことを、ケッタマシーンとか言わないわけ」

「待て、そりゃ言うだろうが」

「つまり、なにが言いたいかっていうと、僕のことを、眼鏡を掛けているからって眼鏡って呼ばないで欲しいってこと」

「……あぁ、そういうこと」

「天パだからって、僕のことを天パって呼ばないで欲しいってこと。眼鏡も天パも、それは僕の一部でしかないのだから」


 逆向きに座った男子は、悲しげな表情をしながら背を向けた。


ブラウン管は、ブラウンさんが発明しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ