第四話 世界
ーこの小説はすべてフィクションです!実際に存する人や団体、地名、宗教などとは全然関係ありません。
ー君は、私が認めたから。ー
とは言ったが、私の認めなどがなんの効力があるか。
いや、確かにある。なくても私が作ってやればいい。
「じゃー。それでは」
寂寞を壊し、私は彼と手を離れた。暖かい白色の扉を前にして、彼に言った。
「では、また明日ね!」
活気があふれる声で彼と離れる。目の前には清い大空が見えてくる。私はもう一度彼と目を合わせた後、時間に合わせて会議の場へ足を運び始めた。
会議の場には色々な国の人々がすでに集まっている。前になん度も見たことある顔がほとんどだった。そのほとんどの人々は、私が姿を現れた時からずっと不機嫌な表情をしている。そのうちのなん人かは露骨的に私を睨んでいる人もあった。私はその中を静かにと歩いた。もうこんなつまらない会議など、すでに慣れていた。
私の席の前に立って、真っ白い制服を一度整える。肩から垂れてくる金色のベルトが、明るく輝いている。そのまま私は自分の手で椅子を引く。大人しく椅子に座って、周りを見回してみる。
丸いテーブルの周りに色々な国の君主や王子、あるいは外交大使などの人々が座っている。私の向かい側には、帝国の皇帝が座る椅子が黙々と立っている。その上に大きな金色の帝国の旗が壁にかけられて輝く。すぐに皇帝が会議室に入ってくる。もうみんなが集まったので、本格的に会議が始まる。
皇帝は女の皇位継承を禁止した帝国皇位継承法の改定を提案した。どんな感情も含まれていない声で、ただ私の手で書かれた文書の文字を、そのまま読み続けているだけ。あきあきする演説が終わって、挙手で一次投票が開始された。私はその意味のない仕方を見つめているだけ。今の私としては、それしかできない。ただ見ているだけ。
集まった二十個の国々の中で、賛成はただの七人。その他には一人を抜きにして、すべて反対だった。あの一人は棄権。形式的だが、皇帝を選出できる七つの選帝国の中には、三人が賛成、三人は反対。あの一人が棄権者だ。
その結果を見て、だれも討論を始めましょうなんかは言わなかったのに、自分たちきり激論を始めていた。だれかは 「女が王位を継ぐのもできないのに、皇位を継ぐのはあり得ない!」と声をあげる。それに対して、だれかは 「帝位を継ぐことができるかどうかは血の問題じゃ! 性別の問題じゃない!」 と声をあげる。なんかみんな正義をために戦っているふりをしているが、私にはあの人々の黒い裏の声が全部聞こえている。
「あの女が皇位を継承できなくなれば、私が継承できるんだぞ!」とか、
「お前の国が皇位を継ぐことなんか見放すわけには行けないんだぞ!」と、
みんな自分の利益を考えて叫び続けているだけ。その騒がしい光景で、私はちょっと疲れて行く。やがて、そのまま顔をそらして大きいため息を吐き出してしまう。
みんな、その私の声で激論を止めてこっちに視線を集まってくる。みんな、あんまり機嫌悪い顔だけだ。賛成の側には強いて笑顔を作ろうとする人もたびたび見えたが、反対側にはやっぱ、露骨的に不快感を現して睨んでくる人がほとんどだ。今、自分の立場も考えず、図々しくため息を吐き出すあんな女に、なにを継がせるというのか、って聞いている表情だ。私は心の底からは慌ててしまう。いったいどうすればいいのか、後に考えてみても、解決策は出てこない。無能な皇帝はなにもしなくて、ただぼんやりとしている。
「私たちはすでに、お帝様と、条件を問わず、お姫様の皇位継承権を認め、全力でその約束を守ることを誓いました。」
その中、ある男が声を出した。暗い黒色の旗を使う辺境の新興国の国王だった。あの男は止まらずに口を動かせた。
「私が知る限りには、大きな金や領地を条件として、すでにお姫様の皇位継承を認めることを約束した諸国が少ないと聞きましたが、私が勘違いしたんでしょうか?」
鋭いあの男の言葉に、みんなは口を閉じるしかなかった。私は心の底で「どうせ、はじめから後で全部壊される約束でもない約束だったんだろう。」と思ったが、それを口にすることはしなかった。
それに続けて、皇帝が言葉を加える。
「あのさー、まだ必ずあの娘に皇位を継がせるというのではないからさー。ただ可能性を開けるだけだから、みんな協力してくれ。」
その誠意ない言葉に続けた二次投票では、賛成十二人、反対五人、棄権三人で、やっと法を変えることになった。法が変わったとしても、それはただ文字だけがかわっただけだが。それだけでも、意味があるかな。
その会議はうやむやに終わろうとしている。その前に、私はやっと手を挙げた。そして、だれの許可も得ずに、椅子から立ち上がった。みんなが私を向いて、また視線を集まってくる。瞬間、すごく体が怯えてくる。そんなに震えるはずだったのに、いったいどこから出た勇気なのか。けれど、なぜか止められなかった。
「皇室の名にふさわしいよう、今よりしっかりします。」
適当に言葉を終えて、みんなに挨拶をし、このまま会議室を一人で出てしまう。なんか恥ずかしい。なんか格好いいな様子を見せたかったのに、それが言葉によく出てこなかった。赤くなって行く顔を下げたまま、逃げるように会議室から遠ざかっていく。
いつの間に夜がなったのか、大空にはまん丸い月が暗闇の中で明るく輝いていた。本当に綺麗な月だった。あのお月様のように、私もいつかは堂々と暗い世界を照らせるのだろうか。誰一人もいない迷路の中を歩いている。いつも歩いていた道だったが、なんかいつものようではない気がする。ジャメ・ビュというのはそんな感じだろうか。
この城はただ防御、それ一つだけをため築かれた、と聞いた。そのために城の内を迷路ように複雑な構造に築かれた、と。お陰で今までは敵の攻撃などには陥落されたことはなかったようだ。
だが、今は油断できない。城はもうすでに内から分かれている。敵が城の内にある限り、いつに陥落されてもおかしくない。綺麗なあのお月様と、私、そして彼との日常を守るためには、いつもある状況に対して備えなければならない。
一人ぼっちでそんなに考え込んでいた私を、背中から聞こえるだれかのかすかな声が呼び出した。
「あの、お姫様!」
その元気そうな声に、私も足を止めてしまう。
「ご失礼いたします。」
特に欠けるところない容姿の男。あの黒い旗の国の国王だった。もう成年になる子供もあるし、年はかなり取ったはずだが、顔だけはまだ元気そうな青年の顔だ。
「今日、とても素敵でした。それだけ伝えたかったんです。」
私がなにを悩んでいるのか正確にわかっている。でも、妻のある男は私の趣向ではない。それに、すでに彼氏もあるし。ちょっと見えない壁を建ててあの男を見る。
「なんか私的なことで尋ねたのではないです。ただ僕は公的に、一つの国の国王として、お姫様を応援しているんだけです。」
笑顔を作って、なんか「ありがとうございます!」と言えなければならなさそうだったが、なんか他人の前では笑顔がよく作られない。今日は特に、作りたくない。
それなので、なにも返事はしなくてただ無心に首を縦に振るだけ。あまり長く、相手にしてあげたくない。その声から、なんか嫌気が感じてくる。味方がない新興国の国王が、弱いお姫様の歓心を買おうとしているようしか見えない。私はただあの男から視線を避ける。
「では、困ったことがあったらいつも呼んでください。」
あの男はその言葉を残して、すぐに背を向いてそのまま道を引き返していく。
そのまま、私も私の道を歩こうとしていた。その時、あの彼方から走ってくる人の影が目に映した。その顔は全然見えなかったのに、自然に笑えるようになる。私の真っ直ぐで足を止めて、抱きしめようとしたように、両腕広げる彼の笑顔。彼が躊躇っていた間に、私が先に彼の胸に顔を埋める。
ちょっとだけ慌てていた彼の顔を見上げる。かわいいな、って思って、右手を伸ばし、頭をやわらかく撫でてくれた。彼は幸せそうな顔をしている。その姿に、私は迷わずに抱かれてくる。今日の出来事はすべて忘れてしまうほど、暖かい夜の時間だった。
今度には、彼が私の背をやわらかく撫でながら、ゆっくり一言をささやく。
ー今日、とても疲れましたんでしょう? 遅れてごめんなさい。ー
ー足りない私の作品を読んでくださいましてまことにありがとうございます!もっといい作品を書けるように頑張ります!
ー連載は基本的に毎週日曜日に、一章ずつ投稿する予定です!