表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブメイズ(LoveMaze)   作者: 西野雪絵
第一章 迷路(Labyrinthe)
2/49

第ニ話 いっしょー

ーこの小説はすべてフィクションです!実際に存する人や団体、地名、宗教などとは全然関係ありません。

「きいている?」


 私は一瞬、顔を上げて彼女に向く。彼女は明るい星のように輝く金色の瞳で私を見ている。ツヤツヤとしている金色の髪もやわらかく流れる星の川のように長く垂れている。その下には、白くてみすぼらしいワンピースが彼女をやわらかく包んでいる。たぶん、普通の人のように見えるため着たんだろう。けど、こんなにみすぼらしい衣服を着ていても、彼女は相変わらず輝いている。全然普通の人には見えない。薄いワンピースのやわらかさは触れなくても見るだけで伝えてくる。その美しい姿に、私はどうしても目を離れなかった。


「なんだよ、その不敬な眼差しは。」


 からかうような微笑みと共に私を向いて言ってくる。私は彼女のその目に追いつめられて、急に視線を窓の彼方へ逸らした。すると、ふふっと明るく笑う彼女の声が聞こえてくる。



「聞いていなかったんでしょ?」


 私がその質問に答える暇もなく、すぐ彼女が言葉を続けてくる。


「なんか考えすぎているんじゃん?」


 また顔を戻して彼女と向き合うと、彼女が明るく微笑んでいる。私が見てくるのを待ってたような気がする。


「考えはお姫様が私より多いはずなのに……申し訳ございません。」


 私はまた顔を下げた。彼女も体まで下げて私に目を合わせてくる。


「落ち込んじゃダメ。」


 心配と悪戯が半分ずつ(まぎ)れている瞳。私をじっと見つめている。私はその(いと)おしい瞳に負けて、顔をあげた。


「丁寧に呼ばなくてもいいって、前に言ったんだろう? 」

「…」


「そして、あたしはね! たっだのお姫様じゃなくて、もう皇位を継承する者なんだから! だから、しっかりしろ!」


 ニコニコ笑いながら、そんな言葉をよくしゃべってくる。そんなに怒り声をあげながらも、明るい微笑みは全然消えない。そんな彼女の姿は、二人っきりにいる時だけに見える姿だった。そんな彼女の姿が、二人が一緒にいる今こそが、一番優しくて幸せな時間だと、もう確信していた。



 彼女とちゃんと目を合わせた私は、また 「申し訳ございません」と、謝るだけ。なにが(あやま)ちなのか、なんのために謝っているのかも知らずに。だが、その声には理屈のないにぎやかが含まれている。

彼女はまた笑い顔をしつつ、私に暖かい声で言葉を渡してくる。


「あたしの美しさに()れたんでしょ?」


 彼女が図々しくそんなことを言ってくるが、すべて事実だったので、なにも返事できない。


「それは仕方がないことだから、許してあげる。」


 その姿まで、とても美しかった。



 私はどうしてここまできたのか。私は貴族でも、聖職者などでもなかった。ただの普通の人。迷路の城の町はずれに、いよいよ生きていた一人ぼっちの平民だった。なのに、なんか生産性がある仕事をしなくてもそんなに生き続けている。

彼女がもう諦めたように口を閉めて、私の頭を()でてくれる。その影響なのか、過ぎ去った記憶が一つずつ蘇ってくる。あの時、彼女と初めて出会った、その時だった。



 私は、彼女がなにものかもわからず、ただ純粋(じゅんすい)な気持ちで、迷路の中で迷っている彼女に手を伸ばした。あの時、どうしてそれができたのかはわからない。そんな弱虫の私が、その時にはなぜそんなに堂々と入られたのか。そんなに向こう見ずな勇気を持って動けたんだろうか。全然覚えない。確かなものは、あの時から、彼女の目に入った私は、そのように生きていられるようになった。



 だが、その時から、いろいろ困ったことが増えた。それから彼女に引っ張られた。例えば、皇城や帝国会議室などの。彼女はずっと私をそんな所にも連れて行った。よく言えば、毎日がダイナミックだった。実は、ずっと彼女に引かれて、危ない隠れん坊の連続だったが。



 もちろん、彼女も周りの視線を気にしたので、公式的な行事の日まで私を連れて行ったりしたのではなかった。でも、平凡なただ民である私を、そんな神聖な場所と言われる所に連れて行くなんて、あんまり負担すぎだった。


 彼女は、自分が全部責任を持つとは言ったが、私なんかにはあまり危なすぎる日々だった。でも、彼女と一緒にいれば、私もなんとか笑顔を浮かべるようになる。彼女も私と一緒にいれば、なぜかいつも笑顔になっていた。



 そのまま私たちは人の目を避けて、皇城や軍営、彼女が通った皇立学校などに行ったりした。私はただ彼女に引っ張られていた。彼女の力は拒否できないほど強かった。もちろん、そんな時間を拒否したかったのでもなかった。心から拒否できないようにさせるこそが、彼女の本の力なんだろう。



 そのように色々なところを行ったりすると、必ず一度は皇城の人々や近衛兵に見つかれてしまう。そんな時になると、彼女はいつもやわらかくて固いその右手伸ばす。その手で私の左手を強く握りしめて、


「絶対、離さないで!」って叫んで、そのまま迷路の中を走り出した。私はなにもできなくて、ただ彼女に引かれていた。



 でも結局、足を止められて、捕まられた時には、彼女はいつもこんな言葉を近衛兵に叫んだ。


「私と一生を一緒にする人ですー。」



「だから、離れ!」

ー足りない私の作品を読んでくださいましてまことにありがとうございます!もっといい作品を書けるように頑張ります!

ー連載は基本的に毎週日曜日に、一章ずつ投稿する予定です!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ