第十二話 見せたいもの
ーこの小説はすべてフィクションです!実際に存する人や団体、地名、宗教などとは全然関係ありません。
太陽も焼け落ちていっても、私は全然なにもできない。
なんだろうか。見せたいものって。なんだろうか。このたえらない感情は。
もう月が暗闇の夜を照らしていても、全然眠れない。だけど、時間だけは止まらずに経っていって、今日が昨日になっても、また彼女と会うことだけ思っている。目の前にも、あの時の彼女だけがずっと過ぎっていく。全身には、あの時の温もりがまだ私を包んでいる。
全然眠れないで、そのまま夜が明けてしまう。
待ちに待った末に、扉を叩く音が聞こえてくる。その音と共に、私の体も朝風のように震える。一瞬に顔を上げ、扉に向かって走り出す。重く踏み出す足は軽く飛び出す。ゆっくり進めるこの瞬間は、いつよりもはやく流れている。
やっと扉を開ける。すると、私の左側にある灰色の壁に体をもたせかけた彼女が、致命的な笑顔をし、私にその顔を向けている。
「おはよー。」
彼女の言葉は短く。そして、私の左手を荒く取ってくる。目に入ってくるのは、その美しい姿を包んでいるのは純白のワンピース。軽い感じで彼女がよく着るものだ。
そのためにあっちこっち汚れきたところも目に入ってくる。長い間を着てきたので、洗濯でも落ちらない染みがありそうだ。でも、こんな汚れたワンピースすらも、彼女が着たら一幅の絵となる。
「なに?」
その背中に隠した朝日。すべての光を受け止めているその美しい姿。その神秘なすがたのせいか、世界を乱す悪魔のように見える。でも、いつも勝利の女神は悪魔の味方だ。もしかして、悪魔、その自体なのかも。
「おはようございまぁ……」
彼女の軽い唇が私の口を止める。目を一瞬たけど、閉じてしまう。目を開けてみると、彼女が私を向いて明るく微笑んでいる。
「朝挨拶」
短くて単なる彼女の言葉。その短すぎる言葉にも、私の心は大きく振動される。眠っているわけでもないのに、まるで夢を見ているような景色。どうすれば、私の人生なんて、初めから全部夢だったかも知らない。でも、ここにいる私は確かに感じている。彼女といるこの瞬間を。
「まだ準備できていない?」
彼女がやっと完璧な文章を口にする。そんな彼女は、かわいい目を適当に開けたまま、私へ視線を集めている。たびは愛でたい瞳で、たびたびには熱い眼差しで、続々変わったり戻ったりしている。
「いつも準備はできております」
私は震える言葉を明るく変えて、彼女の方へ届ける。それに彼女は、やわらかい瞳で微笑むことで返事してくる。彼女と堅くつないだ左手から、またやわらかい感触が感じられる。彼女がもう一度その左手を握り締めた。私はそれに応じて、私も彼女の手を強く握った。永遠に断ち切れないこと手を。
私たち二人はのんびりと迷路の道を歩いていく。元々から人々が少ない道だが、私たちが出ると、なんとなくもっと人気がなくなる気がする。すべて彼女の光に隠されて、見えなくなるのかも知らない。まだ太陽はいよいよ昇っている途中だったし、灰色の冷たい迷路の中を照らしているのは彼女一人だけだった。
歩き続けて、また壁が出ってくる。左右に回ってまた歩き続けても、ずっと壁が私たちの前を止めてくる。おかげでこの城は凄く大きな感じがする。実には、そんなに大きいじゃないのに。元々から、そう感じられる構造を目がけて築いたもの。確かに、敵ははやく進撃できないんだろう。それは味方にも適用されることだと思うんだけど。
しかし、私にはこの長い城の道が、このように彼女と手をつないでいる時間を、長く延ばしてくれるような気がする。普段の日には全然役に立たないで、ただ冷たい城だけだと思っていた。それでも、そんな利点がある。時間を長く延ばしてくれる。時間が歪曲されている。
「君、全然眠らなかったみたいね」
急に届いてくる彼女の声に目を覚める。当たり前だが、すぐに答えは出てこない。なんと答えばいいのか、そんなことは全然考えず、彼女の美しさにまた感嘆するばっかり。
「私、そんなに会いたかった?」
急に私を突っ込んでくるその鋭い質問。顔を彼女のもとにこっそり回すと、致命的に微笑んでいる彼女。私がその言葉に答えられなくなって、ただ黙っていくと、
「やっぱそうだったな!」
と、一人で決めつけてしまう。まぁ、まったく事実だけど。
悠々と経っていく時間の中で、私たちはもはや目的地に至ったようだ。ここはなんかどこよりも暗い感じが強く、神秘な気も感じてくる。黒色に近いダーク・グレー色の鉄製の壁が、私たちの前に黙々と建ってある。
なんか私は理解できない文字で書いているロックのようなものも、その門の前に見えてくる。
私はその巨大な鉄門の前で、ぼうっとしている。彼女は私の右側を軽く触れ、ロックへ向いて近づく。その細くて綺麗な手が伸び、なにかをぴょんぴょんと押し始める。
やがて、巨大な鉄門が大きな振動と共に動き始める。新しい世界への道が開けるように、あの鉄門は神々しく開けられてきた。その後、鉄門の後ろに、暗い空間がその姿を現す。暗闇の中には、かすかな光が見えるらしい。
彼女が先にその暗い空間へ足を踏み出す。彼女がその空間の内でなにかを押すと、すぐに暗い空間の中が明るく変わる。彼女はまもなくまたその空間を出て戻ってくる。狭い通路の果てに、明るい光が輝く。
そのかすかな光から目を離し、視線を下げると、私の前に戻った彼女と目があってくる。
「じゃー。行こう。」
彼女は私の左てにその右手を伸ばしてくる。私は迷わず、その手を握る。そのまま彼女に引かれて前の空間に足を踏み入れていく。ちょっとだけの狭い通路を過ごすと、前には広くて明るい空間が目の前に現れる。その姿は、まるで別の次元に入ってしまったように、色々珍しいことがたくさん散らばっていた。
中央の天井にはシャンデリアようなものがその空間を照らしている。目を下げ、遠くにある銀色の壁へ視線を運ぶ。なんか凄いみたいな長い鉄の棒ようなもの。たぶん、銃と呼ばれているものと似たようだ。
だが、私が知っている銃と呼ばれているのとはちょっと違う。それが二つくらいあの銀色の壁に格好よくかかってある。その下には色々な色の袋が散らかれている。グレープ色のワインを入れそうな酒樽もいくつか見える。その以外にも、色々な変な紙の山も、白色のカンバスや、私としては理解できない高級品ようなものなどもあっちこっちに散らばっていく。
そんなものと共に明るいながらも冷たい。この都市に相応しいながらも、違和感が感じれる空間。ここにいる限りはなんか時間を超越する気もして、異世界にきている気もする。
その理由ははっきりわからない。ただ雰囲気がそうだ。散らばれているなにも、この世界にいるらしいものだけでも、なんか異質感が感じてくる。
いったいなんなのか、この空間は。皇室の秘密倉庫でもなるのか。そうならば、いったいなんで私なんかにそんなところを見せてくるのか。
やがて、彼女はあそこの銀色の壁にかかっていた銃のようなものを、その小さい手に持ってくる。その長く伸びている鉄材の部分が照明に打たれて、眩しく輝き、私の目を刺してくる。私が一瞬、その光に刺されて目を閉じてしまう。その後、目を開けると、彼女が目の前で微笑んでいる。
「びっくりしたかな、そんなところん連れてきて」
「……いいえ、特になんでも……」
私はまだぼんやりとしているまま。目が覚められない夢を見ている気持ち。
「ここって、私が幼い頃から好きだった場所。私だけの秘密場所と言うかな」
私の方へ一度目を回して、彼女が独り言のような言葉を一つ吐き出す。
「まぁー、正確には、帝国の物であるけどね。」
「たびたび家出したらここに来たりしたんだ。でも、ここは皇帝というやつも知っているところだし……。」
彼女が言葉尻を濁す。たぶん、その世に皇帝についてそんなに荒く語れる人は彼女だけだろう。それは彼女が手にしていたある十のせい。彼女はすぐに両手に銃を握り、私に下してくる。私はちょっと悪戯ぽっい笑顔で、彼女の前に膝を折って、それを両手にもらっていく。
「ほら、格好いいじゃない?」
彼女は浮き立っている声で聞いてくる。私はただそれを見つめている。彼女はまたあの銀色の壁に向かって、同じものを一本持ってきた。
「これは私のもの。カップルだよ」
彼女のものも大体的には同じ様子に見えた。手元に付けてあるダーク・レッドの宝石も同じようだった。その深い色の宝石は自らにとても愛おしく輝く。
「南の国から高い値段で買った銃だよ。装填過程のほとんどが自動化されて、君のようなバカヤローも、易しく使えるはず」
彼女の説明を聞きながら右から左へ筒抜ける。その声を聞きつつ、またその銃を見下ろすと、なんか冷たい先端技術の気がその銃から感じてくる。彼女は私の手を軽く触れながらやわらかくもう一言をささやく。
ーそれ、世界にただ二つだけー
ー私たちのようにー
ー足りない私の作品を読んでくださいましてまことにありがとうございます!もっといい作品を書けるように頑張ります!
ー連載は基本的に毎週日曜日に、一章ずつ投稿する予定です!




