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「しょっぱ!!」
パリパリと耳触りの良い音をたてて、スモモの塩漬けを頬張ったユンは、すぐに笑顔になった。
「けど甘くて美味しーい!」
高価な塩をふんだんに使う塩漬けは、そうそう庶民の口に入るものではない。
「だろう。よし、では今日から俺の為に働いてもらう。」
「はい? 働くってなんですか?」
「なんだ忘れたのか?お前に頼みたい役目があると言っただろう。」
ユンは暫く首をひねったあと、はっとした顔をした。
「そういえば、そんな事言ってましたね。
でもなんで私が参議様のお仕事を手伝わないといけないんです?」
つーんと顔を背けて腕組みまでする。
「お前、このインニム様を誰だと心得ているんだ?
礼典殿の参議様だぞ。貴族の子弟の花形役職だ」
「はあ、それが?」
まったく、こいつはすっかりぞんざいな態度になって
許せん。
「いいのかそんな態度で?
お前のその矢先の出所。俺がそれを探してやろうというんだ」
有難がって、むせび泣いて礼を言うだろうと思ったのに、ユンはそっぽ向いたままだ。
「なんだ、嬉しくないのか。お前がちまちまと貴族の屋敷を探すより、よほど効率がいいぞ」
はあ、と気の無い返事をするユンに、だんだん苛立ってきた。
「俺のために働けば、芸団の仕事も増えて探し物もできて一石二鳥だ。分かっているのか?」
「………」
「………」
「へえ」
くそっ。
「分かった! ほら、塩漬けをもう一つくれてやろう!」
ユンの口にまたスモモの塩漬けを突っ込む。
今度は待ち構えていたユンは、もごもごとしっかり頰に納めている。
「ん〜美味しい!」
さあ、詳しい話をどうぞ!と、ユンは身を乗り出してきたのだった。