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第371話 アットホームな作戦会議です!

「あ、その黒パンとってくれる?蜂蜜もお願い」

「このソーセージ、おいしいですね」

「北集落で作ってるんだって、この卵も」


 領主の館の2階、“家族用”の区画にメラニーたちが用意してくれた食事を運んで、夜明けと共にパクつきはじめた。


 モモカとサヤカが加わって、さらに賑やかになっている。

 ノルテも、すっぱいエランの実を多めにとったりしてるけど、あまり食欲は落ちてないな・・・



 あとで考えてみると、魔王との決戦に臨むことになる、つまりは世界の命運をかけたパーティーの活動方針は、この朝、辺境のキヌーク村で和気あいあいとした雰囲気の中、朝食を食べながら決まった気がする・・・この時は自覚してなかったけどさ。



 食事をしながらまず確かめたのは、互いのレベルアップやジョブチェンジについて、ステータスの確認だった。


 俺が<賢者>、カーミラが<ワーロード>に転職したことで、キヌークに残って領主代行をしてもらうことになるノルテを除いて、みんなこの世界でもまれなレアジョブになった。


 使徒ヴァシュティ戦を経て、ルシエンは<ハイエルフ LV27>に、エヴァは<竜騎士 LV26>まで一気にレベルアップしている。


 ルシエンが得ている魔法やスキルは、僧侶系やエルフの持っていたものの上位互換的な内容だ。


<ルシエン ハイエルフ 女 34歳 LV27


 呪文 「風」「植物」「水」「地」「結界」

    「浄化」「癒やし」「治療」「静謐」

    「大いなる癒やし」「心の守り」

    「破魔」「封印」「領域静謐」

    「精神干渉」「慈雨」「精霊結界」

    「生命力促進」「領域浄化」「領域治療」

    「精霊の祝福」

 スキル 精霊の目      精霊の耳

     精霊の声      瞑想

     状態異常抵抗    観相

     ステータス秘匿   隠身

     器用さ増加(中)  速さ増加(中)

     弓命中率上昇(中) 

     判別(中級)    鑑定(中級)

     弓技(LV9)   剣技(LV4)

     操船(LV2)   歌(LV9)

     カリスマ(LV1) 騎乗(LV4)

     薬生成(LV2)  料理(LV1)>



 一方でエヴァの方は、“亜竜召喚”とか“騎竜”、“竜契約”っていった、召喚系というか、いかにも竜使い的な能力に加えて、“竜槍”とか“竜鱗鎧”っていった戦闘力強化らしい能力も得ていた。


<エヴァ・ベルワイク - 女 19歳 竜騎士 LV26


 呪文 「亜竜召喚」「竜帰還」「遠話」

    「感覚同調」「竜槍」「竜鱗鎧」

 スキル 身体能力強化(大) HP回復(大)

     闇同化       暗視

     ステータス隠蔽   エナジードレイン

     魅了(LV3)   状態異常抵抗

     性技(LV2)   避妊

     交渉        察知

     アイテムボックス  判別(初級)

     器用さ増加(小)  速さ増加(中)

     HP増加(中)   筋力増加(中)

     近接攻撃力増加(中)闘志

     物理防御力増加(中)威圧

     近接命中率増加(小)指揮

     物理回避率増加(小)魔法抵抗(小)

     守護者       受け流し

     馴致        竜契約

     跳躍        立体地図

     竜語(LV3)   騎竜(LV3)

     騎乗(LV4)   格闘(LV3)

     剣技(LV2)   槍技(LV5)

     短刀技(LV2)  弓技(LV2)>


 亜竜っていうのはどうやらワイバーンらしい。

 まだ本格的な?ドラゴンとかは召喚できないみたいだったが、とりあえずイリアーヌさんみたいにワイバーンを召喚して空を飛べるってのは大きいな。



 リナは魔法戦士がLV35になり、サヤカのように“飛翔”を覚えた。

 飛んで剣で戦うとか、ヒロイックファンタジーだよな。

 実戦的にも、これまで空中戦が出来るのがサヤカだけだったのが、リナとエヴァが加わることで、かなり戦力アップじゃないだろうか。


 リナの修道士もLV19まで一気に上がっていた。

 モモカに手伝ってもらってヴァシュティを浄化したおかげで、かなりの経験値がリナにも入ったようだ。

“大いなる慈雨”とか“領域静謐”とか色々強力な魔法も覚えたようだ。



 そして、サヤカとモモカも、それぞれ勇者と聖女のLV45に上昇していた。


 ヌゴーズを倒した時はレベルが上がらなかったのに今回は一戦で上がったのは、理由があった。


 祖霊の谷で修行してLV44になった時、2人はそれまで溜めていたスキルポイントを消費して、“特殊レベルアップ”っていうのを取得したらしい。


 これは、「一定水準以上の強さの魔物を倒した場合、どれほどの経験値を取得しても1レベルだけ上昇する」っていう特殊スキルだそうだ。


 普通だったら(俺たちもそうだが)使徒を1体倒したら、一気に何十レベルも上昇する。けど、サヤカとモモカは既にレベルが高すぎて、使徒1体を倒した際の経験値をパーティーで割ると、1レベル上げるにも足りないぐらいになってきた。


 そこで、普通の戦闘ではもうレベルアップしなくなる代わりに、使徒1体につき1レベル、確実に上がるようにした方がお得だ、って判断をしたわけだ。


「パーティーの人数にもよるけど、LV40を過ぎると段々その方がトクになってくる印象かな・・・200年前にもそういう特殊スキルがあるねって話はしてたんだけど、消費SPが多くて取れなかったし、当時はまだそこまでのレベルじゃなかったからね」


 サヤカが、ヌゴーズ戦でレベルが上がらなかったことで決断した、と言う。


 そして、2人はLV45になって、久しぶりに新たな能力を得た。


 サヤカが勇者LV45で得たのは、“光閃剣”っていう魔法だ。

どういうものなのかはモモカの“アクセス権”を使っても、過去データが無いのかはっきりしなかったが、きっと超強力な魔法攻撃なんじゃないだろうか。


 モモカが聖女LV45で得たのは、“未来視”ってスキルだった。

 ネーミング的にスゴそうが、使おうとしても何も反応が無く、いつでも使用できるわけではないみたいだ。

 なんとなく巫女の“神の言葉”とかの強化版、の類なのかもしれないが、聖女には“神の言葉+”ってのが既にあるし、よくわからなかった。



 そして今後の活動方針だ。


 まず、きょうは今後俺たちがしばらく不在になることを見越して、領内の安定に力を注ぐ。


 領境の結界を再度強化する。

 そして、北側の山塊が崩れて平原部とつながってしまった所には、出来れば物理的な防壁も作りたい。


 テモール族の騎馬民たちも、魔王軍が侵攻してきた際に備えて、その内側に居留地を移させようと思う。


 そして、西側のマイン集落も既にある防壁を点検。

 ドワーフたちに、サヤカのミスリル鎧の修理が可能かも聞いてみたい。


 自警団や領兵も、新たに徴募して訓練の段取りをつけておきたいな。このあたりはあとでセンテたちに相談だ。



 そして、明日は出来れば北方のシクホルト城塞に行きたい。


 オーリンたちからは、魔物が大量に押し寄せるようになって苦戦しているって話を遠話で聞いていたし、ノルテの妊娠のことも、まだ実はちゃんと伝えていないし・・・喜んでくれるか、それともなぐられるか、どっちだろう?


「ごほん、それはまあシローの人徳次第よね。それより、あたしとしては、この機会にみんなの武具も、ちゃんとした物をドワーフの鍛冶技術で作ってもらった方がいいんじゃないかと思うの。オデロンさんの孫のオーリンさんに会ってみたいってのもあるしね。それと、封印の地のオデロンさんの書き置きについても分析してもらってるんでしょ?」


 そうだった。

 シクホルトに行く大きな理由のひとつは、故ルセフ伯爵がメモしてくれた、静寂の館にオデロン王が密かに書き残したと思われる内容の解析結果を聞くためだ。


「オデロンさんは私たちに大事なことを残してくれたんだと思うの。それは魔王を倒すためにもきっと大きな意味があると思う・・・」


 オデロン王は、モモカやサヤカにとっても頼りになる、パーティーの“お父さん”的存在だったらしい。



 そして、シクホルトからは、レムルス国境の街オステラなどを経由し、魔法転移を重ねて帝都レムリアに向かう。


そこで帝国と今後の協力体制を構築し、レムルス大使から内々に求められたと言える、レムルス北部の使徒?と思われる魔物を倒しに行く。


 首尾よく行ったら、その後は、魔王軍が編成され本格的な侵攻を始めるまでの間に、できる限り各地の使徒を各個撃破しながらレベリングをする。


 そして、魔王軍と人類連合が大軍勢の会戦になる時には、隙を突いて魔王との少数での決戦に挑む・・・


 基本的にはサヤカと相談しながらモモカが考えたものだけど、これが大きな戦略プランだ。


「なかなかその通りにはいかないと思うけどね。今回、魔王軍がどれぐらいのタイミングで終結して、本格的に南下し始めるかわからないから。ただ、使徒はもう“呼ばれている”と思う。ヌゴーズが東上していたのも、きっと白嶺山脈や大森林地帯の南側を抜けて、そこから北へ、魔王のところへ向かおうとしてたんだと思うから」

「そうだね。出来れば全員が使徒に匹敵するLV45ぐらいまで上げてから魔王との最終決戦に行きたいけど、最後は時間との勝負だと思う。世界が蹂躙されちゃってからじゃ遅いからね・・・」


 モモカとサヤカの言葉にあらためて、自分たちがとてつもないものを背負っているのを感じた。

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