回る時間、壊れる意思
パチ、、パチ、、
視界に二つの緋が入り込む。
血の赤であり、
炎の赤である。
「ゴメンな、、、守れなくて、、、」
緋のなかで、横たわる女性の輝く金髪、
それは、光を放っていた。
しかし、時間が経つほどに灰になって行く。
灰が目に入ったのか、涙が溢れてきた。
「クソッ、クソォ!ダレモ、マもレナかッタ!」
時間とともに右手が異形になっていく。
「まモレ、ナかッ、タ、ダれモ、ダレもー!」
叫ぶとともに、意識は途切れ、僕は死んだ。
、、、はずだった。
目の前に広がるのは、緋ではなく、赤だった。
夏の夕焼け、セミの羽音、6ヶ月前の、
運命の洗礼の前日だ。
、、、運命の洗礼?
なんだそれは、記憶が錯乱している。
一度整理しよう。
僕の名前はグレイダ・フィール
17歳だ。
ルチの村出身の冒険者で、幼馴染の女の子、ディフス・レイドがいる。
運命の洗礼とは、
その後の人生が決まる神の恩恵をもらい、
本格的に働き出す時である。
そして、もらった神の恩恵は、『勤勉』
だけだった。普通は3つほどもらうのだが、ひとつだったため、
バカにされ、蔑まれた。
しかし、ディフスだけは違った。
いい神の恩恵だと、誉めてくれた。
だからこそ、ディフスを幸せにしたかった。
何があろうとも、、、