第9話 二人きり
まだ部屋から出てきて朝食をとった様子のない穂乃果がリビングを使う事を考え、恵一は自分の部屋にひとまず通す。
「リビングはまだ穂乃果が使うかも知れないから、僕の部屋でいい?」
その提案に驚きつつも恥ずかしそうに美玖は
「えっいいの?何時も恵一クンの部屋に入る事なんてなかったし・・・」
美玖にとって恵一の部屋に入るのは初めての経験である。
何時もは人数も多いもあってリビングを使うのが多く、恵一の部屋に入るというのは無かったのである。
「あ、うん、嫌じゃなければだけど。」
「嫌って事はないけど、本当にいいのかな?って。」
「そんなに気を遣う必要ないよ。それに、穂乃果がまだ朝食とってないみたいだから。」
そう答えると美玖は安心し、納得した表情をした。
「それじゃ、部屋に行こうか。荷物、持つね。」
「あ、ありがとう・・・」
大きな宿題の入った大きな鞄を受け取る。恵一にとっては何時もと同じつもりでとった行動ではあったが、恵一の事を何時も以上に意識している美玖にとっては些細な心遣いであってもとても嬉しかったのである。
階段の登り2階に上がると、穂乃果が部屋から出てきた。
「おはよーお兄ちゃん!あ、美玖お姉ちゃんもおはよー!」
「おはよう、穂乃果ちゃん。」
「おはよう、穂乃果。そうだ、朝食まだ食べてないでしょ。食べ終わったら声かけて。」
「うん、わかった。」
軽やかに2階から降りていく穂乃果を見送ると美玖に問いかける。
「狭い部屋だけど、大丈夫?」
「うん、恵一クンの部屋なら大丈夫だよ。」
そう言ってもらえた事に安心し、部屋に美玖を招き入れた。
◇◆◇◆◇◆
恵一の部屋―――綺麗に整理整頓されていて、家具も木目調で統一され落ち着いた雰囲気が漂っている。年相応とは思えないほど落ち着いた一面のある恵一らしい部屋になっていて美玖はその様子に彼らしいと思ったようであった。
「恵一クンの部屋ってお洒落・・・。凄く落ち着いた雰囲気あって素敵だね・・・」
恵一はそういう事を言われるとも思ってっていなかったのか美玖にそのような事を言われてしまい照れてしまい、何と言ったらいいのかわからなくなっていた。
「え、恵一クン?」
美玖に声を掛けられ我に返る。
「あ、ごめん、えっととりあえずテーブル用意するから、机のとこの椅子使ってもらっていい?」
「うん、あ、なんか手伝う事ある?」
「大丈夫だよ。テーブルなんて普段使わないから、クローゼットから取り出してくるよ。」
恵一はクローゼットからテーブルを取り出してきて、カーペットの上に置き、座りやすいようにと座布団を敷き、そこへ美玖を案内した。
美玖は恵一と対面で座りたいと思ったのか、座布団の位置を直しそこに座る。
異性とこのように二人きりで対面で座るというのはあまり経験のないだけに無駄に意識してしまう。
このままではいけないと思ったのか恵一は美玖に声をかける。
「・・・飲み物用意するけど何がいい?」
「あ、お任せでいいよ。」
「わかった。ちょっととってくるね。」
そういうと1階へ降りて行く。
リビングに行くと穂乃果が朝食をとっていた。
「あれ、お兄ちゃん、どうしたの?」
「飲み物を取りに来ただけだよ。」
「もうすぐご飯食べ終わるね。終わったら声かけるね。」
「わかった。」
キッチンの戸棚からコップを用意し、冷蔵庫の中から麦茶を取り出し持っていく。
部屋に戻ると美玖が夏休みの宿題をテーブルの上に用意し、何時でも勉強ができるようにして待っていた。
「とりあえずだけど、麦茶でいい?」
「ありがとう、恵一クンが来るまでに準備してたんだ。」
美玖に麦茶を入れて差し出し、恵一も夏休みの宿題を準備して勉強を始める事にした。
お読みいただきありがとうございます。
次話の投稿は未定です。
投稿予定がわかり次第、こちらに記載します。
(遅筆でごめんなさい。)
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バテバテで書いていたらグダグダに(´・ω・`)
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