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第8話 夏休み初日の朝

 『どうしたら納得してもらえるのだろうか。そういえばクラリスの奴は不機嫌になると買い物に付き合えと誘ってくる事が多かったな。それで機嫌を直してもらえるだろうか?』

 昔の記憶の中からそのような事を思い出す。魔王といえども自らの魔力で作り出すよりも人々が作り上げた物を見たり買ったりし、人々の生活に紛れ人々と変わらぬ生活をしていた。

 女の子であれば買いウィンドショッピングは嫌いではないハズだ―そう考え、思い切って美玖に提案した。

 「そうだ、せっかくみんなで遊びに行くのだから、明日、準備の為に買い物に行かない?朝も早いし、電車の中で何か食べたりできるようにお菓子買ったり、美玖もお洒落したいだろうし―」

 恵一の突然の提案に美玖は最初は驚くもとても嬉しそうな顔になる。

 「恵一クンからそんな事言ってもらえて嬉しい・・・うん!二人で買い物行こう!あ、けど買い物行く前に少しでも夏休みの宿題片付けないとね。買い物から帰ってきてからも時間の許す限り宿題片付けようね!」

 美玖はそう言うと恵一の腕をとり腕を絡ませ

 「明日、朝から家に行ってもいい?」

 と顔を赤らませながら言った。

 「あ、うん、そうだね。夏休みの宿題も早目に片付けてしまえば後が楽になるからね。買い物は何時ぐらいに行くようにする?」

 「ベルモール行きたいから、10時過ぎにでて、お昼はそこでで♪」

 「わかった。明日待ってるよ。」

 このやり取りを何時もの仲間が見ていたとしたら生暖かい目できっとみられていただろう―ふとそんな気分になっていると穂乃果が会話に割り込んできた。

 「美玖お姉ちゃん、明日、うちに来るの?!夏休みの宿題でわからないとことか教えてもらってもいい?」

 美玖は優しい笑顔でまるで自分の妹をみるかのように答える。

 「うん。いいよ。けど、穂乃果ちゃんが一人で出来るとこは一人で頑張ってやらないとね。」

 恵一も穂乃果の為を思い合いの手を入れる。

 「そうだよ。夏休みの宿題は穂乃果自身の為にやらないとダメだから、どうしてもわからなくなったらだからね。」

 二人から注意を受けた穂乃果はムッとする事もなく笑顔で返す。

 「わかった!お兄ちゃんと美玖お姉ちゃんと一緒に穂乃果も宿題していい?」

 そんな微笑ましい言葉に二人は

 「「うん、一緒にしようね」」

 と満面の笑みで返す。まるでその様子は夫婦が子供をみているように周囲からは写っていたのかも知れない。

 ただ、恵一はそのようには感じてはいなかったようではあった。


   ◇◆◇◆◇◆


 夏休み初日を迎え、約束どおりに朝から美玖が恵一の家にやってきた。

 家のチャイムが鳴り、玄関を開けると

 「おはよー。お邪魔します。」

 夏休みの宿題を入れた鞄を肩から掛け、学校に行く時とは全く違う夏らしい白のワンピースを着た美玖が入ってきた。

 何時もツインテールにしてまとめている髪を綺麗に伸ばし、雰囲気も大人びた感じを漂わせ、その様子は大切な人にしかみせたくないと言わんばかりであった。

 「えへへ・・・似合うかな?」

 照れながら美玖が言った。学校に通っている時とは違う美玖の雰囲気にドキッとする恵一。

 「・・・うん、似合ってる・・・すごく可愛い・・・」

 その返事に嬉しそうに微笑み、顔を赤らめる美玖。

 恵一はこのような時にどう返していいのか分からなかった。グラモスとして生きていた時も色恋沙汰は苦手であった。色恋よりもみんなで楽しくというのが強かったからである。そんな考えを貫いていたからこそ、クラリスからのアピールも気がつかない事が多かった。

 両親が出勤し、夏休みの朝という事もあり穂乃果ものんびりしているようでまだ部屋から出てきてはいない。

 お互いになんて言葉を続けたらいいのかわからず、ただ、はにかみながら見つめ合う二人であった。


 「・・・えっと上がってもいい?」

 美玖がこの状況を変えようと口に出す。

 「あ、ごめん、朝とはいえ、玄関先じゃ暑いからね。上がって。」

 「うん、お邪魔します」

 恵一の家に美玖が来る事は珍しい事ではなかったのだが、美玖だけを迎え入れるというのは珍しい。大抵は何時ものメンバーの誰かが一緒に来ていたからだ。

 美玖に家に上がってもらったのはいいが、まだ穂乃果が部屋から出てきておらず朝食を済ませていない。そのような状況でリビングに通すのは如何なものかと考えどうしようかと悩む恵一であった。

お読みいただきありがとうございます。

次話の投稿は8/6 22時頃を予定しております。

-=-=-=-=-

夏風邪が良くなってきたかと思ったら、夏バテ気味に。

本当に私自身の体力の無さには_| ̄|○

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