第5話 television
ふと穂乃果がみているテレビ番組が気になった。
地元局『と〇テレ』で放送された『うちの〇~』や『パタ〇ロ!』や『ま〇マギ』や『ラ〇ライブ』を見ていたのだが、それを見終えた後、父親が録画しておいたと思わる『ま〇にTV』を見ていた。
ちょうど最近放送された回が『那須特集』で『那須デオコンダルランド』が紹介されていたからだ。
「いっけぇきたろここ!」
赤毛の声優のような人がボケていた。
「いや前来たとことは違いますよ!」
眼鏡をかけた赤毛の人の相方が突っ込む。
お馴染みの流れの後、施設の中に出演者達が入っていった。
「助けて・・・伝説の英雄達よ・・・」
出演者達の前でデオコンダルの世界の姫が跪いて祈っている。
「オラ達に任せておけ!」
「フンッ。何故サ〇ヤ人の王子である俺がこのような事をせんとならんのだ!」
出演者達がボケまくっていると一人の執事が現れ、説明を始めた。
「ようこそ、『那須デオコンダルランド』へ。このアトラクションは冒険者となってこの世界を支配した魔王を倒すファンタジーRPG世界を楽しめるようになっております。勇者になって魔王を倒すもよし、商人になって商売に励むもよし、戦士となって戦いに明け暮れるもよし、賢者になって魔術を極めるもよし、それはあなた次第です。」
この説明にもボケる出演者達。
「フ〇ーザ、お前はアトラクションの中でも清掃屋やるんだろ?!」
ヤサイ人と間違われそうな戦闘種族の王子のような人が白タイツに言う。
「何を言うのですか?!私の戦闘力なら簡単にクリアできるのですよ?!」
毎度の事だがボケの応酬が続いていたが断ち切るように執事が話を続ける。
「このアトラクションをお楽しみいただくためには、3DゴーグルとVRレシーバを装着してください。武器の選択や状態の確認、アトラクションから抜け出すための操作はVRレシーバと連動したこちらのタブレットを使い操作してください。まずは、タブレットでこのように操作すると初期装備の剣や盾などがでてきます。こちらを装備し、プリンセスがいた場所にたってお進みください。」
一通りの説明をし終えた執事は消え、出演者達の周囲がアトラクションの世界に代わっていった。
どうもこの回の放送はここまでのようで、途中で終わってしまった。
パソコンで調べ物をしていたのにも関わらず、テレビの映像に釘付けになっていた恵一に穂乃果が声をかけてきた。
「お兄ちゃんも見てたんだ。」
「あ、うん。」
「さっきのとこ凄いね。まるで魔法みたい!パッと人が消えちゃうし、周りの景色が変わっちゃうし。」
「そ、そうだね。」
そうとしか答えられなかった。まさに穂乃果が言うようにこちらの世界に合わせた機器を与えられて楽しめるように装っているのであるが、わかる人がみるとこの世界の技術とは思えない事が起きていたからだ。
『やはり、ここには何かある』
恵一の悪い予感は当たったようであった―――。
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