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病名 [アレルギー]

作者: やきはた

どこかの学校の女の子のお話

いつもは楽しみにしている時間。私はそれを今日は最悪に感じてしまっている。

この給食の時間だ。小学校から中学校に上がって、昔は出なかったメニューが健康管理の名目で急に出てきたのだ。普段の生活で失われがちな栄養で摂取することが難しいからだそうだ。

まぁ、それを嫌いに思うのは私だけであって。他の奴らにとってはこの国のソウルフードのような扱いをされている。


今日はそのメニューが出される日だ、ビクビクしながら配膳の係が器にソレを注ぐのを見ている。

今しかない。


「先生」

ここで言わないときっと食べなくちゃいけない

「ん、どうした?」

「私、これ食べれません」

縋るように保護用の白手袋を履いた手を挙げ、発言した

「好き嫌いはダメだぞ。食べなさい」

好き嫌いくらいいいだろ。いやいやそうじゃない

「私アレルギーなんです!」

「んー?そんなアレルギー聞いたことないけどなぁ?」

ニヤニヤと笑っている。どうやらメジャーなアレルギーでないために嘘で嫌いなものから逃げていると思われたようだ。私が普段からそんなしょうもない嘘をつくタイプに見えるかよボケ

そうこうしてるうちに私のところにもお盆に乗せられソイツがやってきた。


匂いは悪くない。むしろ好きだ

だが私には食べることは出来ない、私はアレルギーなのだ。

ほかのごはんやハンバーグなどのおかずは全て食べ切ったが、結局最後にはソレが残ってしまった。その食べ物をつんつん何度か指で触れてみていたのだが、触った指の部分は赤く少し腫れている。


問題のアレルゲン食をジーッと見て自分の中で問答していると気づいた時にはもう昼休みに突入してしまっていた。

見ている先生は心なしかイライラして足をパタパタと鳴らしているし、見物している男子達は早く食えと急かしてくる。

食べるしか道はないことを理解した私は、遂にそれを箸で口へと運んだ。ボリッ


なんて言うんだろうか、舌が痺れるのだ。

身体が受け入れない感じ。

ゆっくりと咀嚼すると歯が折れるかと思うほどの固めの歯応えを感じた。ボリボリと気持ちの良い音が口から聞こえる

味は嫌いじゃないが飲み込む度に嫌悪感が脳に落雷のように走った。痛い


5口目程飲み込んだ時に、脳を通過して心臓が震えた。

ヤバい、もはや嫌悪感とも言えなくなってしまったなにかが私の中を狂わせていく。ヤバい。


私の中の生体本能は私をトイレへと走らせた。

お盆を腕で弾き落としたあと、並んだ机を倒しドアを開け放つ

そしてグルグルの視界の中で辿り着いた洋式のトイレの便座に手をついて、内に全てを吐き出した。


自分の醜い声と自分から出た醜い音が私1人のトイレに響いた。


「うぇ......ぉぁぇ......かはぁ......」

全てを吐き終えてもまだ終わらない症状に、誰にというわけでもなく言葉を叫んだ。

いつからこのメニュー実施されたんだよ......いらねぇだろ

5万人に1人の私が受けた罰。

「ハァぁ...........私は金属アレルギーなんだよ...........クソが......」

私は埃がダメですね

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― 新着の感想 ―
[良い点] えげつなく理解のない教師。 [気になる点] そのオチだったら、説得力を持たせる為にも、前半部から描写の焦点ぼかさず書いてしまっていてもよかったのではないかと思います。その方がオチも効果的で…
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