三周目8月25日
変な夢だったなぁ。
次の日。
合宿も3日目。
なんか体が走るのに慣れてきた気がする!
先生「おーし、走りまくれ!」
はい!
今の俺は絶好調です!
・・
・・・・
・・なんて思っていた時期もありました。
つ、辛い・・なんで?僕超イケてると思ったのに!
先輩「今日は霧が出てるな。足元もぬかるんでるし、こういう日は走るの辛いぞ。」
先輩「つまり・・貴重な経験ができる最高にラッキーな日だ!」
栞「ですよね♪」
栞「がんばれがんばれ梨本くんっ。」
く・・なのになぜ軽快に走れるんだふたりとも。
優月「お先に亀さん。」
ウサギさんが僕を周回遅れにしていく。
がんばってもカメはウサギに勝てないのか。
お話と現実は違うんだ。
「姿勢が崩れているわ。」
そうだった。
体が”く”の字になるのを修正して、お尻が突き出ないよう修正。
「どんなに苦しくても、基本のフォームは変えないように。」
「正しいフォームが当たり前になるようにするの。ほら、前の子たちみたいに。」
僕は鮎川さんと姫宮さんの後ろ姿を見た。
鮎川さんは大きくてむしゃぶりつきたくなるお尻の持ち主だ。
姫宮さんは小ぶりなお尻。足を見ると引き締まっているのがわかる。
「ストイックは?」
しまった!天使様の完璧な策略に引っかかった!
「あなたがストイック詐欺してるだけでしょ。」
詐欺じゃないもん。
もう何にも惑わされない!前だけをまっすぐ見つめて、ただただ走るのみ!
あ、前方に品川さんだ。
理世「はぁはぁ・・ん・・こんなのおかしくなっちゃうよぉ・・」
し、沈まれ僕の下半身!
品川さんは走るのが辛いだけだ。
「ストイック(笑)」
健康なだけです!
先生「おーい朝食へGOだ!今日はタイム計るぞ!」
僕のがんばりが結果として出るチャンス!
「きつい子にスポドリ差し入れなさい。」
はーい。
スポーツドリンクを買って・・姫宮さんどうぞ!
優月「ご苦労様。」
なんか僕、がんばってる気がする!(満足感)
「今のうちに幸せをかみしめておきなさい。」
え?またなにかあるの?
・・
・・・・
本当に疲れていると、食事するのも辛い。
食欲わかない><
栞「たくさん食べようね。あーん。」
あ、あーん。
栞「おいしい?」
こんなおいしいの初めて食べました。
栞「一生懸命作ったかいがあったよ♪」
優月「いや作ったの旅館の人でしょ!」
栞「てへ♪」
確かに。危うく騙されるところだった。
でもきっと、鮎川さんが作ってもこれくらいおいしいんだろうな。
「(残酷過ぎて真実を言えない!)」
おや、哀れみの視線を感じる。
優月「鮎川さん、あなたちょっとべたべたしすぎなんじゃない?」
栞「え~これくらい普通だよね。はい、あーん。」
あーん。
ん~おいしい。
栞「いい子いい子。」
なでなでしてもらえて幸せです。
先生「おい・・ストイックどうした?」
なにそれ?
栞「はい、あーん。」
もぐもぐ。ごくん。
栞「はい、あーん。」
もぐもぐ。ごくん。
栞「はい、あーん。」
もぐもぐ。ごくん。
優月「鮎川さん、いい加減にしなさい!」
栞「梨本くんいい子いい子。」
優月「ちょっと!」
栞「優月ちゃんにはできないことをしてあげてるだけですー。」
優月「わ、私だってそれくらいできるわよ!」
むぐっ。もぐもぐ。
姫宮さんの箸が一番おいしいです。
栞「あー!負けないんだから!」
むぐっ。もぐもぐ。
優月「梨本くんが食べきる前にあげてどうするのよ!」
むぐっ。もぐもぐ。
姫宮さんもです。
栞「梨本くん、私の方がおいしいよね。」
むぐっ。
食べ物詰め込み過ぎて喋れません。
理世「・・」
むぐっ!?第三の箸登場?
優月「私の方がいいに決まってるでしょ。こいつ私のファンなんだから!」
むぐっ・・あの・・僕の口は弁当箱とは違うんですが。
先輩「お前らいい加減にしろ!遊びに来てるんじゃないんだぞ!!」
栞「あ・・」
優月「まず・・」
理世「・・」
どうやって口の中の食べ物処理しよう。
先輩「別に恋愛禁止とは言わないが、周りのことも考えろ!見ろ、先生がショックで泣いてるぞ!」
先生「・・なんだよあいつばかり。うらやましいうらやましいしくしくしく・・」
栞「ごめんなさい・・」
優月「調子に乗りすぎました。」
理世「ご、ごめんなさぃ・・」
もぐもぐ。
先輩「お前ら4人は午前の練習に出なくていい!別室で反省文書いてろ!」
怒られた・・仕方ないか、騒ぎすぎだったな。
もぐもぐ。ごくん。
3年男「くすくす」
3年女「くすくす」
笑われてるしー。
・・
・・・・
朝食が終わり、反省会会場(別室)
優月「あんたのせいよ!」
反省文を書いてる中、姫宮さんがぷっつんした。
鮎川さんを指差して怒りをあらわにした。
栞「ねぇ優月ちゃん、反省文ってなに書けばいいの?」
優月「自分で考えなさい!」
栞「えー、梨本くん教えて。」
反省文は3つの構成で成り立ちます。
1.自分がしでかした問題行動となにが問題なのか
2.反省する気持ち
3.改善方法や今後の心構えなど
栞「???」
あ、ごめん説明が足りなかった。
優月「その説明が一番簡潔でわかりやすいと思うけど?」
僕もまぁそう思うけど・・鮎川さんわかってないっぽいし・・
「大事なことが3つあった場合、世の中には最後の1つしか覚えられない人もいるわ。」
「1つ覚えるたびに、前の情報を忘れるの。」
「だから1つの事柄ずつ書かせなさい。手間だけどね。」
天使様!さっきは止めてくださいよ。
「いいのよこれで。見てて楽しいから。」
そんなぁ><
栞「ごめんなさいって書けばいいよね。」
まずは、なぜ怒られたのかを書こうか。
栞「優月ちゃんが素直じゃないから。」
優月「違うでしょ!!!」
鮎川さんの反省文なので、鮎川さんの問題を書かなきゃいけないの。
栞「梨本くんに”あーん”するくらいいいと思うけど・・」
優月「あと”なでなで”したでしょ。」
栞「ダメなの?」
優月「あなたなにが問題かわからずごめんなさいって書こうとしたわけ?バカじゃないの?」
栞「梨本く~ん、優月ちゃんがいじめる~」
優月「梨本くん、その子は男をダメにするから関わらない方がいいわよ。」
栞「そんなことないもん!」
優月「なら・・梨本くんの邪魔をしないようにね。」
栞「優月ちゃんのいじわる~」
優月「ふんっ。」
女の子の争いって怖い。
しばらく黙々と反省文を書く。
栞「・・ねぇ、梨本くんをダメにしてもいい?」
書けないの?
栞「うん。反省文ってなにを書けばいいの?」
話題がループした。
ごくり・・一筋縄ではいかないなこれは。
全力で鮎川さんをサポートだ!
そして、11:50に鮎川さんの反省文は完成した。
栞「やったー完璧!」
完璧には程遠いものだけど、一応鮎川さんが書いたし反省文の形にはなった。
優月「梨本くんは、あと10分で自分の書くの?」
ですよねー。怒られるかぁ。
「死ぬ気で書きなさい。」
え、でも10分じゃ・・
「書けなかったら私が殺してあげる。」
1秒も無駄は許されない。
僕は今までにない集中力で反省文を書き上げた・・5分で。
反省完了!
優月「反省?」
栞「はやーい!」
理世「すごい・・」
品川さんいたんだ。
「5分で出来ることを午前中使ってやれだなんて無駄。」
「これは他のことでも同じ。仮に1年、無駄を排除して死ぬ気で頑張れば人は別人になれるわ。」
こ、これが僕の隠された力・・
「誰でも持ってるものよ。もっと自分を信じてあげて。」
僕・・天使様に会えてなんだか変われるような気がする。
「それは気のせい。人間は都合のいいことを考える生き物よ。」
「余計な感情は捨ててひたすら死力を尽くしなさい。」
が、がんばります。
天使様はいつも正しい。
僕はついていけるかな・・
・・
・・・・
先輩「よーし全員ちゃんと書けてるな。」
栞「あの・・迷惑かけてごめんなさい。」
先輩「ははは、俺も昔やらかして怒られたんだよ。」
栞「先輩も!?」
先輩「笑ってたやついただろ?あれ俺のこと笑ってたんだぜ。お前が言うなってな。」
先輩「お前らが人一倍がんばってるのはみんなわかってるさ。」
先輩「でも最近不祥事とか厳しいだろ?叩かれたりしないよう今のうちにマナーを知っといてもらいたいわけさ。」
栞「そうだったんですか。」
優月「先輩もやんちゃだったんですね。」
先輩「走るのも遅かったんだ。合宿で怒られてから奮起してさ、やーっと今くらい走れるようになったんだ。」
先輩昔は遅かったんですか!?
どうやって速く走れるようになったんですか?
先輩「陸上興味なかったからな。知り合いがいたからじゃあ俺も・・って程度の入部理由で。」
先輩「で、夢中になって走ってたら速くなってた。」
まったく参考にならなかった。
天才の走るコツは一般人には理解しづらいです。
・・
・・・・
昼食。
先生「午後もタイム計るからな!ゾロ目とか出たやつは町に下りて宝くじ買ってこい!」
ゾロ目・・?
100メートル走なら11秒11みたいな感じか。
栞「やっと走れる!長かったぁ!」
先輩「その気持ちを記録にぶつけてこい!昼食の後でな。」
栞「はい!」
あーんが無くなってちょっと残念。
まぁ怒られたあとだし大人しく食べる。
優月「ご飯粒ついてるわよ。」
ふぇ?
ほっぺについていたご飯粒を姫宮さんがとってくれて・・僕の口に押し込んだ。
僕の知ってるほっぺにご飯粒イベントと違う。
先生「なあ梨本、金ならいくらでも払う。どうすればご飯粒イベントとか起こせるんだ?」
偶然としか・・
・・
・・・・
昼食が終わり、お昼休憩。
「順調そうね。」
久しぶりの天使様の御姿だ!
おかげ様で楽しいです。
「それはなにより。」
なにか用事ですか?
「いえ別に。ちょっと歩きましょうか。」
は、はい。
天使様と並んで歩く。
・・綺麗な人だよな・・あ、人じゃなくて天使か。
本当にただ散歩しただけだった。
・・
・・・・
先生「さあ楽しい計測タイムの時間だ!準備はOK!?」
栞「OK!」
先輩「もちろん!」
鮎川さん超楽しそう。なんか僕まで嬉しくなっちゃう。
・・あれ?
姫宮さんがこっちを睨んでるんだけど・・
・・あ、スポーツドリンク冷やし忘れてた。いけないいけない。
これで・・よし!
先生「午前中計れなかったお前らを優先する。早く計測したいから速く走れ。」
栞「はーい。」
姫宮「わかりました。」
理世「が、がんばります・・」
いくら早く計測したいからといって、速く走れるもんじゃないと思うんですが・・
いやがんばろう。
天使様の期待に応えるためにも!
「期待に沿えなかったら罰ゲームね。」
ガクガクブルブル・・
罰ゲーム怖いぃぃ。
先生「梨本。200メートルだ。」
はい!
位置について、ピストルの音と共に駆け出す。
フォームを正しく走る。まずはそこから。
カーブ来た!
昨日天使様から教わった通りに・・これはいい感じだ!
そして最後の直線。最後まで気を抜かず全力で!!!
伊織「よいタイムが出たね。」
あ、ロリ部長が計ってくれたのか。
陸上部の部長。伊藤伊織
学校で一番背が低いロリっ娘として超有名。
部長のおかげで胸のカップにAAAというのがあることを知った。
伊織「カーブがすごくよかったよ。スピードを落とさずうまく曲がれたね。」
ありがとうございます。実は最近意識して練習してるんです。
伊織「いいよいいよ。合宿で化ける子はいい男になるから。」
そうなの?
部長は楽しそうにウィンクした。
3年男「先生が梨本のモテっぷりにショック死した!」
先生「まだギリギリ死んでねーよ!」
ギリギリなんだ。
先生「おい梨本、伊藤はやめとけ。彼氏持ちだぞ。」
いえ走りを褒めてくれただけで・・え、部長彼氏いるんですか?
先生「マジだぜ。正直オレですらあのロリ体型とやれるか試さないとわからないくらいなんだが。」
試したら犯罪者。
先生「ちな彼氏はあいつな。」
え・・先輩?
先生「幼馴染とか誤魔化してるが、絶対ただのロリコンだぜ。」
同い年カップルならロリコンというのはちょっと・・
先生「くそっ、3人もはべらせやがって余裕か?あ?大人を舐めてんのか?」
優月「もうひとりいるみたいですよ。お昼休みに知らない女の人と会ってましたから。」
姫宮さんが冷ややかな視線を向けながら言った。
・・天使様と一緒にいたのを見られてた!?
3年女「先生が梨本くんのモテっぷりにショック死した!」
先生「もう・・立ち直れない・・」
ち、違います!あの人はそんなじゃなくて・・
えーと、僕にその、走りを教えてくれてたんです。
それで最近色々試しているというか、まぁそんな感じです。
先輩「なるほど。さっきのカーブは師事した結果ってことか。」
先輩「昨夜とか秘密の特訓してたのはそういうことだな。」
先生「秘密の特訓だと?」
先輩「夜に汗だくになって帰って来たんですよ。ただの自主練じゃなく指導者付きだったとは。」
先輩「すっげえいい曲がり方だったもんなさっきのは。」
先生「恋人4号じゃないんだな?」
全然違います!
優月「へぇ・・」
先生「なんだそうなのか。おい姫宮、ちなみにどんな女だった?」
優月「私たちと同じか、もしかしたら大学生くらい?長い黒髪のすごい綺麗な女の人でした。」
先輩「先生が痙攣をおこした!?」
先生「梨本許すまじ・・梨本絶対許すまじ・・」
天使様が綺麗なのは僕のせいじゃないんですが。
・・まさか天使様がお昼に現れた理由って・・このため?
「バレてしまっては口封じするしか方法はないわね。」
・・・・いや違うな!
うん、なぜ天使様が現れたのかは僕にはさっぱり。
「オールグリーン。口封じの必要なし。」
怖いぃ。
・・
・・・・
先生「そうだ梨本、その長い黒髪のすごい綺麗な女を紹介しろ。」
え?
夕食中、先生が血迷ったことを言ってきた。
先生「うちの生徒じゃなければなにをしても問題なしだ!グフフフ。」
優月「不祥事になりますよ。」
先生「生徒が問題起こせば不祥事だが、先生が問題を起こしても不祥事じゃない!」
いや解雇や逮捕が待っていますけど・・
紹介できるほど仲良くはないです。
それに、恩を仇で返すようなことはできません。
優月「先生も反省文書きます?」
栞「私たちなんで反省文書いたのかわかんなくなっちゃうよ。」
先生「なんだよなんだよオレだけ悪人かよ。」
僕は思った。はい悪人です、と。
こんこん。
先生「どうぞ。」
「失礼します。梨本さんはいらっしゃいますか?」
先生「!?」
先輩「へぇ。」
栞「綺麗・・」
理世「・・」
天使様!?あ、いやジェミニさんどうしたんですか?
「ここではちょっと・・食事中ごめんなさい、廊下でいいかしら?」
は、はい!
どうしたんだろう?
・・
・・・・
廊下に出た。
こんなことしなくても連絡できるのに、なんで・・まさか、みんなに顔を見せて話をややこしくするため・・
「ふすまの向こうがどうなってると思う?」
え?みんなが食事?
「覗いている人や、聞き耳を立ててる人がたくさんいるわ。注目度は十分ね。」
「ここで私があなたにキスしたらどうなると思う?」
戻ったらつるし上げに遭います。
先生がショック死します。
姫宮さんの視線が鋭くなりそうです。
鮎川さんに幻滅されるのは嫌です!
「その上で選ばせてあげる。あなたが望めばキスしてあげるわ。」
天使様とキス?
いやでも・・天使様・・唇綺麗・・
あああ!見ているだけでおかしくなりそうだ!
動悸が・・落ち着け落ち着け。
「ちゃんとこっちを見て。選んで。」
わかった!天使様の力で誘惑してるんだ!
「逆よ。今まで私に心を奪われないよう抑えてあげてたの。」
「それをやめただけ・・ねぇ、私とキスしたい?」
し、した・・ああああああああああああ
僕には鮎川さんが、だから、だめ、キスはできない、です。
「よくできました。もう大丈夫よ。」
え?・・あ、本当だ。
誘惑とは違うんですよね?
「外見、香り、仕草、声、あと距離ね。男を狂わすにはそれだけで十分。」
「さ、戻りなさい。その心の強さで反省文を書くようなことも自制しなさいね。」
はい。
僕の心を強くするためだったのかな?
ふすまを開けると、何人か廊下に倒れてきた。
覗き隊と聞き耳し隊のみなさんか。
先生「な~し~も~と~」
え?なに血走ってるんですか?
3年男「お前ちょっと調子に乗りすぎ。」
2年男「合宿の意味考えろよな。」
え?え?え?
先生「あ、あ、あ、あんな美女とキスとかふざけんなよ!!!!!!!!!!」
「あ、キスを我慢しているの見られるの恥ずかしがると思ったから、キスに見えるよう変えといたわ。」
先生「もう一度反省文だ!!!」
無罪です><ジェミニさんとはなにもありません!
3年男「じゃあ何の用だったんだ?」
2年男「お前だけずるいぞ!」
先生「そーだそーだ!」
何の用って・・
ジェミニさん自分の美しさを自覚しているので、みんなをからかうために顔をのぞかせたそうです。
先輩「確かに綺麗な人だったな。心を奪われるかと思った。」
なるほど、先輩がロリ部長にぽかぽか叩かれているのは嫉妬ということですね。
仲良しでなにより。
先生「真の美はロリコンの心をも動かす。名言だ。」
迷言です。真のロリコンはロリでのみ心が動きます。
とにかくジェミニさんとはなんでもないです!
先生「ならさっきのキスは角度でそう見えただけか。」
2年男「ならさ、紹介してくれ。独り占めはずるいぞ!」
3年男「そこは3年に譲れ!」
先生「ここはみんなを代表して先生が!」
夕ご飯の続き食べるか。
先生「梨本レギュラーに興味はないか!?」
実力で得ることに意義があると思います。
姫宮「あんな綺麗な人に教わってさぞ楽しいでしょうね。」
僕は・・今のままじゃダメだとわかっていても、どうすればいいかわからなかった。
そんな僕を導いてくれている方です。
感謝して、尊敬しているだけです。
その気持ちを踏みにじるなら僕は怒りますよ。
姫宮「あ・・ごめんなさい。」
栞「あんな綺麗な人が相手でなんとも思わないの?」
実際のところ、僕の感情すらジェミニさんはコントロールできるから。
誘惑しようと思えば簡単だけどしてないだけみたい。
ジェミニさんが純粋に走りを教えてくれるなら、僕もそれに応えないと。
栞「すごい人なんだね。私も教わりたい!」
えーとジェミニさん?
「昔からずっとそう。誰も私を放っといてくれない。」
「私はそんな人間たちを殺しているわ。私の安寧を邪魔する者は許さない。」
ならみんなの前に出て来ないでください!
「どの道この結果になったわ。あなたが説得しといて。」
できるかな・・いや、やるんだ!
栞「ねぇ~ねぇ~梨本くんお願い。」
う・・僕の腕に鮎川さんの胸が。
胸が!
胸が!!!!!
うらやましいぞ僕の腕!僕に変われ!
腕「いや俺ら一心同体だよね?」
そうでした。
伊織「私も教わりたいな。」
先輩「俺も。」
部長に先輩まで。
先生「先生はベッドでの作法を教えてあげようじゃないか!」
これは無視してっと。
好きな人と、先輩の頼みを断るのか。
「僕とセックスした人だけ紹介しますって言えばいい!(名案)」
先輩が受け入れたらどうするんですか!?
「脱後ろの童貞(おめ!)」
僕がやられる側!?
「不満?」
不満です!
「つまり先輩の後ろの童貞がほしい、と。」
「天使の総力でその願いを叶えてあげる(わくわく)」
許してくださいお願いしますから。
「なら説得しなさい。失敗したら子孫は残せないと思いなさい。」
僕の人生がかかった!
栞「ジェミニさん紹介してくれたら・・なんでも言うこと聞いちゃう♪」
なんでも?
なんでも?(彼女)
なんでも?(結婚)
なんでも?(子作り)
なんでも?(奴隷)
静まれ僕の欲望!ストイックを忘れるな!
みんな聞いてください!ジェミニさんはあの通り綺麗で優れた方です。
どこへ行ってもみんなから注目されどんどん頼られてしまうんです。
僕に走りを教えてくれているのはほんの気まぐれ・・ここへは休みに来たんです!
それを僕が邪魔するわけにはいかない!
不満のある人はどうぞ僕を殴ってください!それでジェミニさんを休ませてください!
先生「釘バット持ってくる。」
武器はらめえええ!
ボクシ、ボクシ。
鮎川さんが不満そうに殴ってくる(ゆっくりで痛くはない)
栞「私の梨本くんが遠くに行っちゃう感じがして寂しいな・・」
優月「あなたのじゃないでしょ。」
あれ?なぜ姫宮さんまで殴ってくるの?(こっちはちょっと痛い)
理世「・・」
ひゃうっ、品川さん一本指でつつくのはくすぐったいよ。
先生「釘バット持ってきたら、梨本がイチャイチャしてたの巻。」
3年女「いつものハーレムですよ。」
2年女「ナチュラルに展開していました。」
先生「なぜだ・・時代は梨本に微笑んでいるというのか。」
先輩「ま、梨本が掴んだチャンスだ。俺たちが潰すわけにはいかないな。」
伊織「残念だけどしょうがないよね。」
先輩たち優しい!
先生「いいのかお前ら!?みんな平等に行こうぜ!」
先輩「俺らには先生がいるじゃん。」
伊織「頼りにしてます。」
先生「伊織・・よしわかった。お前ともエッチできるようがんば・・」
先輩「殺すぞ」
先生「・・・・オレは無。夕食を食べる無だ。」
先生が現実逃避した。
先輩こええ。
栞「・・やっぱかっこいいな・・」
ぼ、僕だってあれくらい・・あれ?どうやればいいんだ?
「どうがんばってもね、ミミズは鷹になれないのよ。」
ならしょうがな・・同じ人間です!
先生「いいこと思いついた!」
先輩「大人しく食え。」
先生「はい(ちょこん)」
先輩を怒らせてはいけない。
「(にっこり)」
嫌な予感しかしない!
「先輩怒らせてみて♪」
やあっぱりぃぃぃぃぃ!
無理無理絶対怖い!
「私を怒らす方がいい?」
先輩の方がマシか・・ごめんなさい先輩!
ロリ部長の肩を抱いて”お前は僕の女な”とか言えば・・いやそれだと先生と同じ廃人ルートだよ!
ならロリ部長の唇を奪えば・・明日を迎えられない恐れが・・
えーとえーと。
先輩って苦手な食べ物とかありますか!?
先輩「いきなりだな。別にないぞ。」
伊織「これ、パセリが苦手なんだよ。」
先輩「伊織!?」
いいこと聞いた!ありがとうございます!
ちょうどよくパセリが夕食についてる。これを先輩の口の中に詰め込めばさすがに怒るだろう。
伊織「キミの食卓もホタテが残っているけど苦手なの?」
え?あーそうなんです。味が苦手なのと、煮物とかだと歯に挟まるし嫌いなんですよね。
伊織「食べて。」
え?
伊織「せっかく作ってくれたんだよ。それにホタテだって生き物。殺しておいて食べないとか許されると思うの?」
僕が殺したわけでは・・
伊織「食べさせる。」
ロリ部長が僕の鼻をつまんだ。
い、息が・・思わず口を開けたところでロリ部長が無理やりホタテを・・
・・汚されちゃった。
伊織「よく食べたね。いい子いい子。」
ロリっ娘になでなでされた。く、なんだこのときめきは。
先生「あ、あれ、いつの間にか彼氏持ちのロリ女にあーんしてもらってなでなでまで・・」
3年男「すげえ自然だった。」
2年女「お願いしたわけでもない。誘い受けですらない!」
2年男「こんなの・・マネできねえよ・・」
完全に偶然の結果。
先輩「俺の彼女とあんまイチャつくなよ。」
あ、すみません!
伊織「キミもパセリ食べなさい。後輩だって食べたんだから。」
先輩「いやぁ味も食感も合わなくて。」
伊織「ねじ込む。」
先輩「え?うわああああああああああ」
これが騎じょ・・馬乗りというやつか。勉強になる。
栞「いいなぁ。」
いいの?
先輩「苦手なのに無理やりなんて・・」
伊織「外食で残したら捨てられるんだよ。食べることは命をすする行為なんだから、残すことは命を粗末にしているのと同じ。」
先生「いやー先生もきゃらぶきが苦手なんだ。」
伊織「大人なんですから自分でなんとかしてください。」
先生「そんな!彼氏は仕方ないとして梨本ばっかりずるい!」
伊織「後輩の世話はしますが、先生の世話まではちょっと・・」
先輩「俺が食べさせてあげますよ(怒)はい、あーん(怒)」
先生「あーん(泣)ぱくっ(号泣)」
栞「いいなぁ。」
お願いすればしてくれると思うよ。
理世「きゃらぶき?」
茶色いやつみたいだけど・・なんだろう?
「蕗の茎を醤油などで茶色く煮たもの。旬は春。」
へーなるほど。
品川さんに教えてあげた。
理世「詳しいんですね。」
優月「意外。」
天使様のおかげとしかいいようがないや。
・・
・・・・
夕食が終わり・・今度は何させるつもりですか?
「別になにも。好きにしてなさい。」
おお、自由時間。真の自由がここに!
・・いや騙されてはいけない。きっとなにかイベントを予定しているのでは・・
僕は引っかからない。部屋で大人しくしています。
部屋に戻った僕は勝利を確信した。
天使様の行動パターンは把握!
3年男「梨本お前勉強道具まで持ってきたのか。」
先輩「走るための合宿なのにやるねぇ。夏休みの宿題じゃないみたいだけど、そっちは大丈夫かい?」
夏休みの宿題は終わらせてあります。
というかなんで僕の鞄の中を知っているんですか?
先輩「開けっ放しだったみたいで、こいつがぶつかって倒したときに出てきたんだ。」
3年男「わりぃ。」
そうでしたか。別に構いませんよ。
3年男「詫びといってはなんだが、勉強見てやるよ。」
え?
先輩「いいねぇ、じゃあ俺も見るよ。」
え?え?
先輩たちに囲まれて勉強をすることに。
・・・・あ、天使様の罠か!
「しーらない(にやにや)」
・・
・・・・