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天使様と僕の夏休み  作者: おぺ
3/15

二周目8月


んあ?


栞「梨本くん起きた?」

・・ここは?


栞「合宿に行くバスの車内だよ。」

え?

どういうこと?合宿で・・鮎川さんがいるってことは・・

陸上部・・?


栞「お菓子食べる?いっぱいあるよ?」

栞「それともゲームする?3○Sにゲーム○ォッチもあるよ。」

栞「気持ち悪い?吐きそう?」

ちょっと頭の整理が追い付かない。な、なんでこんなことになっているんだ?


優月「ふん、そんなの構ってもいいことないわよ。レギュラーにすらなれない雑魚は雑魚同士仲良くしてればいいの。」

優月「あんたはレギュラーなんだから他とは違うって自覚を持ちなさい。」

栞「みんな仲良くしようよ~。」

優月「私は嫌。負け犬を見てるとイライラするのよね。」

ああそうだ。特進(特別進学)クラスの姫宮さん・・姫宮優月ひめみやゆづきさんだ。

スポーツ特待生だったっけ。勉強もできるんだよね。


・・少し冷静になってきた。

こほん、ゲームウ○ッチとかいつのだよ!!!この頃から2画面とかすげえな!!!!!

バスは山道を登り、目的の合宿所へ着いた。


・・

・・・・


先生「おらお前ら!荷物置いたらすぐ走るぞ!すぐ支度しろ!!」

ゆっくりする暇もないのか・・げんなり。


栞「やったー、思いっきり走ろ!」

鮎川さん元気だな。太陽みたいだ・・


優月「まったく、体育会系ってこれだから嫌よ。」

まぁ運動部ですから。


先生「ここでのタイムで次のレギュラー決めっぞ!」

普段からレギュラーじゃない僕には関係ない話ですが。

というかいつ陸上部になったんだ?


栞「ん~やる気でる~。梨本くんもがんばろ!」

あ・・うん。

ちょっとやる気でた気がした。


・・

・・・・


やる気は気のせいでした。

酸素濃度薄いのか息切れ早い。高山病待ったなし!


先生「お前らとっとと撤収だ!早く風呂入れ!飯に間に合わんぞ!」

栞「わーい温泉♪ご飯♪」

優月「・・体力バカが・・」

姫宮さん大丈夫?顔色悪いよ。


優月「うるさい!補欠は黙ってなさい!」

怖い怖い。お口チャックします。


・・

・・・・


とてとてとてとて。

お風呂のんびり入ってたらみんなに置いてかれた(´・ω・`)

夕ご飯遅れたら先生にどやされる。


「ふふ・・順調そうね。」


あなたは・・ジェミニさん。

浴衣似合ってますね。


「ありがと。でものんびりしていていいのかしら?今頃女の子がひどい目に遭っているかもしれないのに。」


え!?

鮎川さん!

俺は急いで食堂へ向かった。


・・

・・・・


鮎川さん!

食堂に着くや思いっきり叫んだ。


栞「え?え?な、なにかな?」

鮎川さんはいた。顔が赤い!・・って超普通にいるやん。

ひどい目にに遭わされてたんじゃないのかーあーあー。

というか公然の場で女の子の名前を叫んだ僕って・・そりゃ鮎川さんも顔赤くなるわ。


2年男「なんだよ告白か?」

3年男「マジ?やるねぇ。」

・・ジェミニさんに騙された。

えーと、ごめんなさい寝ぼけてました。


栞「あはは、いっぱい走ったもんね。夢でも見てたの?」

えーと、鮎川さんがひどい目に遭う、みたいな?


栞「うん今ひどい目に遭ってる。」

え!?それって僕がいきなり名前呼んだから・・


栞「ご飯あるのに食べられない~」

そういやまだ夕飯始まってない?


栞「先生がね、まだ来てないの。」

なんじゃそりゃ。


先生「おーみんな集まってるな。よーし夕ご飯食うぞ!」

おせーよ。今、みんな心をひとつにした。ゆにおんはーと!


優月「ここ空いてる?」

姫宮さん。うん空いてるよ、どうぞどうぞ。

姫宮さんも遅れてきたんだ。


優月「も?」

僕も遅れちゃって。急いで来たらまだ食べ始めてなかったというオチだった。


優月「・・ごめんなさい。」

なんで姫宮さんが謝るの?あ、先生になにか相談とかしてたの?


優月「まぁそんなとこ。」

へー。さすがだなぁ、僕は相談するようなことすらないから。


優月「・・」

ふと鮎川さんを見ると、いつもとは違う顔をしていた。


栞「このお魚おいしいですねっ。」

先輩「ヤマメだな。川魚の中じゃポピュラーなやつだ。」

栞「へー先輩物知りですね!」

・・ふられたんじゃなかったのかよ。

そんな・・女の顔しちゃって・・


優月「あんたさ、あの子のこと好きなの?」

ふぇ!?ななななにを突然。


優月「諦めたら?先輩は男子陸上部レギュラーで、背が高くて顔もよくて人気もある。で、あんたは?」

・・諦めるとかそういうんじゃなくて、ただ・・ちょっと気になるってだけで・・


優月「負けたくないから戦場にあがろうともしない。典型的な負け組ね。告白すれば勝てる可能性は0じゃないのに、しなければ0よ。」

・・なにも言い返せない・・


優月「このままじゃ結果は目に見えてるわね。おつかれさん負け組男。」

僕は・・すくっと立ち上がった。

そして鮎川さんの後ろに座る。

鮎川さん。


栞「ん?梨本くんなーに?」

好きです。付き合ってください。

・・周囲の話声が止み、続いて少し離れた人たちも異変に気付いて話すのをやめた。


栞「ふぇ?」

鮎川さんのことが好きです。僕と付き合ってください。


栞「・・」

・・

みんな食べるのをやめて、こちらに注目している。

あ、いや別にみんなの食事の邪魔をするつもりじゃなかったんだけどな。

結果的にそうなっちゃったけど。


栞「ごめんなさい、梨本くんとは・・付き合えません。」

うん。ありがとう返事くれて。あとこんなところで告白してごめんなさい。


先輩「はははははははお前すげえよ男だな!」

先輩「くよくよすんなよ!俺がいい女紹介してやろうか?」

先輩「よーし飲め飲め!俺が許す!」

そう言って、先輩がオレンジジュースを注いでくれた。

なんか先輩に超受けた。恋敵のつもり・・だったんだけどね・・

ありがとうございます、と言って席に戻る。


優月「バカじゃないの。」

ですよね。でも僕は・・本気だったから・・言わずにはいられなかったんだ・・


優月「30点ね。」

あとの70点は?


優月「相手が断るようなタイミングで告白してどうすんの?相手が断れないタイミングで告白するのよ。」

相手が断れないタイミング・・?


2年男「よぉ、かっこよかったぞ。まあ飲め飲め。」

あ、どうも。

オレンジジュース注いでもらった。


3年男「ナイスガッツ!やるじゃん。」

オレンジジュース注いでもらった。


3年女「じゃあ私もオレンジジュースどうぞ。」

ど、どうもありがとうございます。

お腹が・・オレンジジュースでタプタプです。


優月「・・辛そうね。」

お腹がオレンジジュースで満たされています。


優月「じゃ、私も注いであげるわ。」

ふわぅ!?おおおおおおおおおおお

お腹が悲鳴を・・いやタプタプ言ってるのがわかっていながら、コップのオレンジジュースを飲み干して注いでもらった。


優月「・・ばっかみたい。」

ふぉぉぉぉタプタプタプタプ、タプタップン♪


先生「よーしご飯食ったら早く寝ろ!明日は早いぞ!」

食べたというか飲んだ。


・・

・・・・


トイレトイレ!

部屋戻ってすぐ消灯したんだけど、飲み過ぎてトイレが近い。


「夕ご飯おいしかった?」


ジェミニさん・・オレンジジュースおいしかっタプタプ。


「その語尾むかつく。」


壁「まったくもって同意。」


ごめんなさい・・ん?壁の向こうからも声がしたような?


「どう?合宿楽しい?」


いきなり走って風呂入って食べて寝て・・と、結構ハードです。


「それが普通よ。合宿費用も結構するんだからその分がんばりなさい。」


あ、さすがに学校は出してくれないんですね。


「特待生でもないのだから当然。」


特待生・・姫宮さんは学校が出してくれるのか、いいなぁ。

でも鮎川さんはレベル違ったなぁ。僕と同じ一般クラスなのに、特待クラスの人に負けない走りだった。

あれは惚れるね!


「ふられたけどね。」


しくしくしくしく。


「あれで正解よ。もしあの告白がなかったらルート変わらなかったから。」

「変なことすればまた変わるけど。」


え?じゃあ・・鮎川さんは無事に合宿過ごせる?


「ええ、お疲れ様。」


よかったぁ。

そっか・・僕は鮎川さんを助けるためにここへ来たんだ。

いきなり合宿参加していて驚いたけど、やっと意味がわかった。


「じゃあ戻る?9月1日に戻ってもあなたをふった子はレイプされないで済むわよ。」


言い方はあれだけど、じゃあそうしようかな。

正直告白失敗したまま明日を迎えるのは気まずいです。

って、9月1日に戻っても気まずいまま!?


「そんなことないわよ。むしろちょっといい感じ?」


え?なんで?ふられて終わりじゃないの?


「ええ、終わりじゃないの。落ち込んだところを慰めたりするから。」


イベント来た!そのイベントやりたい!いつ?いつあるの?


「明日よ。」


そのイベントもらった!9月1日に帰るのはもうちょっと後でお願いします!


「はいはい。」


・・なんか普通に9月1日に戻るとか話してるけど、あの、ジェミニさんって何者ですか?


「天使よ。羽もあるわ。」


天使来たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

天使なら納得の時間移動!さすが天使様です!


「どうも。」


天使様の加護を得た僕はきっと無敵!

あの、鮎川さんと付き合いたいんですが。


「あなたはそれでいいかもしれないけど、相手の気持ちも考えなさい。」


・・あれ?


「私の力で付き合えたとして、それ、相手の子からするとレイプと同じじゃないの?」


・・まぁ、付き合う気のない人と付き合わされるんだもんな。

えっと・・ごめんなさい。


「第一、そんなつまんないことしたくないわ。」


え?つまんない?


「あなたは、つまらないことを積極的にする?」


まぁ、しないかな。


「でしょ?」


・・あれ、なんか違和感。

なんだろう、なにかおかしいような・・天使って、そういうものだっけ?


・・

・・・・


次の日。


先生「走れ走れ!」

早朝から走らされる。

こ、ここは地獄か・・やっぱり昨日9月1日に戻っておけばよかった。


・・

・・・・


先生「食え食え!」

朝食おいしい。


・・

・・・・


先生「走れ!走れ!!」

じ、地獄だ・・


・・

・・・・


先生「食え!食うがよい!!」

昼食おいしい。


・・

・・・・


先生「走れ!なにもかも忘れてただ走るのだ!!」

じ・ご・く♪


先生「限界を超えた先で快楽が得られるぞ!」

まだそこまでいってません。


・・

・・・・


先生「風呂だ!」

女子風呂入りたいです。


・・

・・・・


先生「食え!」

疲れすぎて・・食欲ない・・

おいしそうな夕ご飯なのに・・


先生「詰め込め!」

そっかぁ、食べるんじゃなくて詰め込むのか(解決)

いやまて。


・・

・・・・


トイレへGO

就寝時間・・なんだけど、あれ、まだ鮎川さんとのラブラブイベントないの?

トイレから戻ったら寝るだけなんだけど。

はっ、もしや僕の布団に鮎川さんが潜り込んで・・ま、まだそれは早いよ!(歓喜)


栞「あ・・」

あ・・

鮎川さんと廊下でばったり。そうだよな、部屋に戻ったらあとは寝るだけなら、今会うしかないか。


栞「・・」

やばいなに言えばいいんだろう。

ああ、沈黙がつらい。なにかいいこと言うんだ!月が綺麗ですねとか、ドアが開いてますねとか!

・・ドアが開いてる?

見ると、誰かの部屋のドアがわずかに開いてた。


栞「ほんとだ・・声かけた方がいいよね。」

今時オートロックじゃないって田舎だよなここ。

まぁ民宿だし当然だけど。

もしオートロックの民宿があったら・・あれか、見た目は昭和、中はハイテクみたいな。

あ、もしかして強盗とか事件かもしれないから、部屋の中の状況確認してから声かけた方がいいかも。


栞「そうだね。」

ふたりでドアを開けて中の声を聞く。


部屋の中には、姫宮さんと先生がいた。裸で。


え、えっと・・

鮎川さんと顔を見合わせる。

あ、鮎川さんの顔近い。どきどき。


栞「(ね、これって・・)」

顔を赤らめて僕に尋ねる。

いや尋ねられても・・まぁ、している場面だよね?

ふすまが少し開いていたので、少し覗いてみた。


・・どうやら、レギュラー入りしてもらう代わりに・・みたいな感じだった。


栞「こんなの・・許せない・・」

鮎川さんが部屋の中まで入ろうとしたから、つい力づくで部屋の外に連れ出してしまった。


栞「梨本くんどうしたの?あんなの絶対許せないよね!?」

う、うん。

でもここで踏み込んだら騒ぎになって事がおおやけになってしまう。

騒ぎが大きくなると、陸上部が次の大会に出られなくなってしまうかもしれないよ?


栞「え?」

不祥事で出場停止とかニュースでやってるよね?

騒ぎを大きくすると部外者まで騒ぎ立てちゃうから、最初は他の先生方に相談した方がいいよ。


栞「・・うん。」

とりあえず担任の先生に連絡してみるよ。夜だからつながるかわからないけど。


栞「・・うん・・私くやしい。中で優月ちゃん苦しんでるのに助けにいけないなんて・・」

右手は携帯でふさがってるので、左手で鮎川さんを抱きしめた。

鮎川さんは僕の胸の中ですすり泣いた。


・・

・・・・


先生に電話したら、僕たちは部屋に戻って休むように言われた。

あとは先生たちの方でやるそうだ。

というわけだから、鮎川さん、部屋に戻ろう。


栞「・・うん・・」

だけど鮎川さんは僕の胸の中から動こうとしない。

鮎川さん。

もし鮎川さんになにかあったら僕は他を顧みずに助けに行く。

鮎川さんを辛い目に遭わせたりしない。

だから・・泣かないで。僕が鮎川さんを守るから。


栞「・・うん。」

鮎川さんの顔が少し上を向いて・・

僕と唇が重なり合った。


・・

・・・・


その後は合宿どころじゃなかった。

次の日、説明もないまま合宿は中止となり、僕たちは学校へ戻ることになった。

そしてそのまま9月1日を迎えた。


・・

・・・・


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