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天使様と僕の夏休み  作者: おぺ
2/15

一周目


8月23日。今は夏休み。

部活で学校に来た僕は、教室で一冊の本を見つけた。

・・日記帳?


ここは確か・・鮎川栞あゆかわしおりさんの席だったよな?

陸上部だったから今は合宿中?

なんで日記だけここにあるんだろう?

鮎川さんの日記・・興味ある。

いつも元気でかわいい鮎川さん・・


・・

・・・・


栞「おっはよー。」


栞「あれーこんなところできぐーだね。」


先輩「ごめん、オレ付き合ってる人いるから。」

栞「そ、そうなんだ・・」


栞「あ、あれ?もしかして見てた?」

栞「あはは・・ふられちゃった・・」


・・

・・・・


あの時、鮎川さんの泣き顔を見てから、僕の中で少し特別な女の子になった。

僕ならあんな顔させない・・

日記帳・・見ちゃいけないんだろうけど、気になる。


「見たいなら見ればいいわ」


声が聞こえた気がした。

透き通った、高い声。

僕は声に導かれるまま中を見た。


8月24日

今日は400メートルのタイムが3秒縮んだ。嬉しかった。

・・先輩が褒めてくれたのがもっと嬉しかった。


胸の中がもやもやする。

ふられた相手だろ?なんでそいつに褒められて嬉しいんだよ!


「嫌なことが書いてあったら書き換えましょう。」


書き換える?日記だろ?

・・待て・・今日は8月23日・・日記の日付は24日?


「書き換えましょう書き換えましょう。」


声は僕の心の中に入っていくようだった。

変えたい。こんな日記嫌だ。


「はい、消しゴムとペン。」


そこで初めて声の主がいたことに気付いた。他に人がいたのか・・

女の人・・上級生かな?

大人びた姿に俺はふとそんなことを思う。

あなたは・・


「ジェミニよ。さ、書き換えなさい。この女をどうしたい?」


・・エッチなことしたい。

先輩なんかじゃなく、僕に・・微笑んでほしい。


「なら書き換えてしまいましょう。8月24日エッチしたって。くすくす。」


そう・・そう書けばいいんだ・・


8月24日

エッチした。


「それでいいわ。夏休み明けが楽しみね。」


夏休み明け・・楽しみ。


・・

・・・・


9月1日

毎年同じ・・いつも通りだ。

イメチェンした人、宿題を今やってる人、懐かしい面々に夏休みの思い出を語る人、聞く人。

いつも夏休み明けはこんな感じだ。


栞「おっはよー。」

お、おはよう・・

鮎川さんだ。

・・はは、夏休み前と同じだ・・あれは夢だったんだな。うん夢に違いない。

日記帳を書き換えたからって、現実が変わるわけない。


「果たしてそうかしら?」


また声が聞こえた気がした。


「放課後、東校舎2階の男子トイレに行ってみなさい。」


東校舎2階の男子トイレ・・

行ったらどうなるというのか。

まさか・・鮎川さんがいるというのか?

男子トイレなんかに用なんてないだろう・・ないはずだ。


・・

・・・・


放課後・・男子トイレの前。

来た。来てしまった。

鮎川さん・・まさかここにいるのか?

ど・・どんな姿で?

僕は緊張しながら中に入った。そこで・・


便器に座っている鮎川さんを見つけてしまった。


栞「していく?」

血の気が引いていく。

頭の中がパニックになる。

こんな・・こんな・・僕は逃げ出した。


僕が、僕が望んだのはこんなのじゃない!


「やり直す?」


トイレの前にはあの時の女の子がいた。

確か・・ジェミニとか言ってた・・

やり直す!

僕は叫んでいた。


「なら聞かせてくれる?あなたの名前を・・」


名前?

・・僕の名前は・・


・・

・・・・


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