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天使様と僕の夏休み  作者: おぺ
13/15

三周目8月31日


8月31日

夏休み最終日。

さて走るか。


自主練。

朝早くから走る。

がんばる!


実理「おにーちゃん電話ぁ。」

家に帰ると電話機が鳴っていた。

・・・・いや取れよ!

電話とるの面倒なのは分かるけど。

はいもしもし。


栞「あ、梨本くん?」

鮎川さん!ど、どうしました?


栞「宿題手伝って~」

・・昨日、あとは自分でがんばるとか言ってたような・・

いや待てよ?僕は閃いた。

昨日は姫宮さんと品川さんがいた。

もし今日、鮎川さんの家へ行けば・・・・ふたりっきり?

わくわくが止まらない!

わかりました。すぐに行きます!


栞「やったぁありがとう♪」

電話を終え、すぐ支度だ!

荷物を用意!着替え!・・汗かいてる!濡れタオルで拭こう!

脇の下はスプレー♪

そして僕は、光の速さ(のつもり)で鮎川さん家へ向かった。


・・

・・・・


ピンポーン。

がちゃ。


栞「はーい。あ、救世主!」

助けに来たよ!


栞「あがってあがって!」

おじゃましまーす。

鮎川さんとふたりっきり?

いやもしかしたら、姫宮さんと品川さんも呼ばれてたりして。

・・なんてことはなかった。

鮎川さんの部屋には他に誰もいなかった。

やったー鮎川さんとふたりっきりだ!


ふふふ、この部屋は愛の巣となる!

・・ご両親が居間にいるのにそんなことできないよね。

おとなしく鮎川さんの宿題をがんばるか。


そして僕は驚愕した。

昨日から進んでいない!


栞「やろうとはしたんだよ?」

疑問符がついてる時点で・・

いやとにかく終わらせないと。


僕たち・・いや、僕は宿題をかたっぱしから片付けていった。

自由研究と読書感想文は、僕の中学時代のを手直しして使う。

問題集はひたすら解く!適度に間違いを混ぜながら!

正答率9割前後ってとこだろう。テストじゃないんだし教科書見ながら解く前提だからこれくらいが普通だよな。

間違った答えの問題集を提出する意味なんてない。

普通なら正答率10割だろうけど、鮎川さんの様子を見ると・・うん、間違いは必要だな。

僕が解いたってわからないように、いつものシャーペンから硬めの鉛筆に変えてみたけど・・鮎川さんの字じゃないってバレないかちょっと心配。

あとは時間との勝負!


栞「お昼だ!ねぇねぇなに食べる?なんでも作るよ!」

スマホいじってた鮎川さんがお昼を報せてくれた・・まだ11時半だけどね。

お勧めは?


栞「とんかつ!」

大好きです!


・・

・・・・


鮎川さんの揚げたてとんかつはサクサクでおいしかった。

鮎川さんって料理上手だね。


栞「これはね、パン粉ついたのがお店に売ってるから、揚げるだけなの。」

へーそうなんだ。


栞「あ、でも料理するよ!ポテサラとか、ハンバーグだって作るんだから!」

おお、すごい。


栞「好きなものはがんばって作れるようになったの。カレーやコロッケも得意♪」

カレーやコロッケもおいしいよね。今度食べてみたいな。


栞「うん!今度作ってあげるね♪」

あー幸せ。な、なんか僕たちいい感じじゃない?このままベッドで軽い(激しい)運動なんかしちゃったりして。


・・

・・・・


食事が終わり、再び問題集をひたすら解く!解く!解く!

鮎川さんは、疲れたのかベッドでお休み中です。


・・

・・・・


日が暮れ、街灯なしでは歩くのが危ないくらい暗くなった頃・・

できた!終わった!

本当に良かった!美術とか個性の出やすい宿題がなくてよかった!


栞「ん~終わったの~?」

昼食が終わってからずっと寝ていた鮎川さんがようやく目を覚ました。

まだ寝てていいよ。終わったから僕は適当に帰るし。


栞「あーりーがぁと。ちゅっ。」

抱きついてほっぺにキスされた。

あ、鮎川さん?


栞「ZZZ」

あの、抱きつかれたまま寝られると・・その、体重がかかって胸とかその、ね・・ああもう無防備すぎるよ!

・・よーし、今なら・・

お返しとばかりに、鮎川さんのほっぺにキスをした。

ど、どうだ!(どやっ)


栞「zzz」

かわいいなぁ。胸も・・でかいし。

・・僕だけの彼女にしたい。

・・いっぱいキスして、いっぱいべたべたして、いっぱい・・エッチしたい。

僕が鮎川さんを独占したい!

みんなのおもちゃとかそうじゃなくて、僕だけの鮎川さんになってほしい。

・・・・・・い、いや、それはいけない。僕は、僕は・・ストイックに・・なるんだ。

鮎川さんをお姫様抱っこしてベッドに寝かせ、毛布を掛ける。

おやすみ。宿題終わったから帰るね。

音を立てないように部屋を出て、ご両親に声をかけて帰った。


・・

・・・・


栞「ZZZ」

栞「zzz」

栞「・・」

栞「・・梨本くんに、キスされちゃった。」

目を開けて、赤くなった頬を手で押さえた。


・・

・・・・


清々(すがすが)しい気持ちで家に帰ると、実理が泣きそうな顔をしていた。


実理「・・おにーちゃん宿題手伝ってぇ。」

あれ?・・終わらなかったのか。

今の僕は今までの僕とは違う!そう、今ならすべてを許せる。

おにーちゃんに任せろ!


半泣きの妹の夏休みの宿題を片付ける。


実理「おにーちゃん、終わる?ねぇ終わりそう?」

不安そうに僕を見る妹。

心配すんな。ついこないだ同じ問題解いたよ。

やり直す前も同じ宿題やったから。まぁぶっちゃけ筆跡くらいしか心配していない。

兄妹だからきっと筆跡も似ているはず!

・・義理だけどね。

実理はなにも心配するな。おにーちゃんは妹のためならヒーローになれるんだよ。


実理「おにーちゃん・・キモい。」

僕も半泣きになりながら、妹の宿題を終わらせた。

夜遅く、深夜といってもいい時間だった。


実理「zzz」

途中で船を漕いでた実理は先に寝てもらっていた。

おやすみ、実理。

・・明日から新学期が始まる。


・・

・・・・


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