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ヒーローロード  作者: MrR
ブレン編
45/72

第三十八話「運命」

色々と挑戦してみようと思って今回の話書きました。


 アウティエル、宮園 恵理は空を駆けていた。

 例の組織を追うために学園外にいたのだが。

 だがブレンの襲来でそのまま済し崩し的に戦闘になる。


 カルマやティリアに言われて学園島――天照学園に向かった。

 自分の心中を見透かされたのだろう。 


 道中ブレンの部隊と交戦して漸く天照大橋まで辿り着けた。

 その時見たのは巨大ロボットが黒い何かと衝突して吹き飛んで行く光景だった。


 それに呆気にとられた。


 だが異変も感じた。


(力が湧いてくる?)


 何故だか分からないが急に力がドンドン溢れ出してくるのだ。 

 それが何なのか分からなかった。

 自分の体にはオーバードライヴで一気に力を高める事も出来る機能も付いている。


 だがそれとは違う。


 とても温かい。


 恐怖を感じなかった。





 ベルゼルオス。


 対地球外生命体との戦闘を想定して天村 志郎が開発した最強の戦闘様パワードスーツ。

 未完成の段階でも脅威的な戦闘力があり、ブラックスカルが暴れ回っていた時期でも投入しようと思えば可能だったが強力過ぎて周囲に被害が与える可能性があるため投入を躊躇った程だ。


 だが今、想定されていた最悪の事態が起こったために天村 志郎は投入を決意した。

 宇宙空間で精製した、機体の名前にもなっているベルゼニュウム合金を採用。

 ぶっちゃけこの合金、軍事利用にしか使えないヤバイ合金であるが躊躇わず使用した。


 動力は地球外のFストーンを改良したDストーン。

 セイントフェアリーの妖精石を改良した末に誕生したのだがこれもヤバイ鉱物になった。

 これに比べれば核融合炉なんか子供の玩具である。


 そして数々の超兵器を内蔵し、気が付けばベルゼルオスは戦略兵器と化してしまっていた。


 40m級の巨大ロボットに、例えバリアを張っていたとしても体当たりして吹き飛ばした時などは志郎自身驚いたぐらいだ。

 相手の装甲をぶち抜く、悪くて凹ますか態勢を崩すぐらいはいけるかな~とか思っていたが想定以上だった。


 敵味方両陣営ともに皆シーンとなっている。


 無理もない。


 地球外侵略者の巨大ロボをたかがパワードスーツが体当たりで吹き飛ばせば両陣営ともこうなるだろう。


「バカな!? こんな兵器が地球に存在していたというのか!?」


 敵の幹部の一人、バルバスが悲鳴に近い言葉を述べている。

 この場の人間の気持ちを代弁しているかのように叫んだ。


(それにしてもこれ以上に無い程に出力が上昇していっている――)


 それよりも志郎は眼前のモニターを見る。

 ある一定の段階からまるで封印の枷から逃れたかの様にベルゼルオスの出力は格納庫内でドンドン上昇していった。

 その時期はレヴァイザーの異常なパワーアップの時と一致している。


 それもさっきまで収まっていたがこの戦場に来てからドンドンとまた上昇して行っている。


 天野 猛のレヴァイザー。


 城咲 春歌の桜レヴァイザー。


 揚羽 舞のセイント・フェアリー。


 それだけでない。


 倉崎 稜のクリムゾンフェザー(変身名)


 ホーク・ウィンドウのハードブレイカー。


 そして倉崎 稜の半ば管理下に置かれていた闇乃 影司までもが力が上昇して行っている――


(一体何が起ころうとしている?)


 上記の戦士達に言える事。

 一部起源は違うが全て感情によって力が増幅される部分があるのだ。

 やや遠くから宮園 恵理、アウティエルも感じられる。

 彼女にも同様の反応の現象が起きているのかも知れない。 





 春龍は慌てていた。

 天照大橋の方から本日二度目となるエネルギー反応が観測されたからだ。


「本当に何がどうなってるのよ!?」


 ドンドンエネルギーが上昇して行っている。

 観測計器はあまりのエネルギー量に現界を迎えて吹き飛んだ。

 ともかく遠方からでも撮影してでも観測の続行を命じた。




 JOKER影浦は屋上に来ていた。

 見詰める先は天照大橋の方だ。

 傍にはグモたんと秘書の杏堂 ナツミがいる。相変わらずメガネを掛けたショートヘアーの特徴が無いのが特徴のジム○スタムの様な女の子だ。


「予想以上に早かったな」


「そうグモね――」


「何黄昏れてるんですか!? 控えめに言ってヤバイんじゃないですかこれ!?」


 天照大橋は光に包まれていた。

 エネルギーの観測班から悲鳴交じりに「エネルギー測定不能」と言う観測結果が出ている。

 にも関わらず二人は何かを知っているようだった。


「ああ、そうだな――正直ヤバイ。下手すれば地球が滅びるかも知れんな。だが何時かは何かしらの形でこうなる事は予想していた」


「予想?」


「そうグモ。天野 猛だけじゃないグモ。倉崎 稜、揚羽 舞、天村 志郎、闇乃 影司が集結したグモ。前回のブラックスカルとの決戦の時はピースが足りなかった故にこう言う現象は起きなかったグモが、最後のピース――天村 志郎が完成させたDストーンとベルゼルオスが誕生し、そして天野 猛の力の解放とが引き金になってこの現象が起きたと推測されるグモ」


 と、丸っこいゆるキャラの黄色いウサギ中々に知的な語りで状況を説明する。

 ただの一介の退魔師には何が何だかちんぷんかんぷんだが。


「まあ、早い話が「こうなる運命だった」と言うのが正しい」


「こうなる運命だった?」


「そうだ。天野 猛がレヴァイザーを身に纏い、揚羽 舞がセイントフェアリーとして戦いそれを支えるためにベルゼルオスを産み出し、倉崎 稜の目覚めに引き合う様にアウティエルが誕生する。そして森口 沙耶や闇乃 影司と言うバランサーが誕生した。俺がグモたん達と出会い、この学園を作り出し、天村財閥が妖精石の文明と出会い、そしてブレンと言う地球外生命体の来訪も必然な流れだった。だから俺はジェネシスを作り上げ、そして何かしらの形で終わりを迎えるのも知っていた」


「な、何が何だかサッパリ・・・・・・」


 言ってることはチンプンカンプンだった。

 だが一つ。

 何となくだが分かる事がある。

 まるで二人は今日と言う日が必然な流れで来るのを予想していたようだ。


「ま、そのうち理解出来る。正直レイ・シュナイダー・・・・・・学ラン仮面を名乗ってるアイツが神装具を覚醒させないまま今に至ったのは少々計算外だったがな」


「あの・・・・・・生徒達は大丈夫なんですか?」


 恐る恐る、彼女は学園長に尋ねた。


「大丈夫だ。何を見ているかは分からないがな――」


「見ている?」


「嘗て俺が見たように絶望か、未来か――それとも数多の可能性なのか・・・・・・人が試される時が来たのかも知れない。もしも試練を乗り越えなければ、その時は滅びるだけだ」


 途方もないスケールの事を言っている。

 冗談に聞こえない。

 全ては真実なのだろう。


 嘗て学園長やグモたんは自分達の事を宇宙人だと言っていて、そして異世界の存在も真実なのだろう。


 だがそれを杏堂 ナツミは受け入れられなかった。


 いや、受け入れるのが恐かった。


 何が恐いのか、何が受け容れられないのか分からないがともかく恐かった。


「恐いか? それは当然だ。世界は自分を中心に回ってるわけでもない。ましてや宇宙は地球を中心に回ってはいない。真の意味での世界に中心なんて物はない。中心を決める事すらおごがましいのさ。それがこれから始まろうとする、「暴かれた世界」で生きると言う事の条件だ」


「条件・・・・・・」


 まるで見透かしたかのようにJOKERは自分が抱える具体的な恐怖の正体を指摘した。


 どう反応すれば良いのか分からなかった。


 クラクラした。 

 立ってられない。


 だが遠くで起きる現象から目が離せなかった。





 天野 猛達は宇宙にいた。


 学園の時と同じだ。

 隙間無く輝く星々の煌めき。

 大きな太陽系の惑星達。


 近くには城咲 春歌もいる。 


 彼女だけではない。


 揚羽 舞もいる。



 天村 志郎もいる。


 倉崎 稜もいる。


 宮園 恵理もいる



 闇乃 影司もいる。 



 あの場に居た全員が全員来たわけではないようだ。


 全員変身してはいない。


 生身の状態だ。


「何なのここは?」


 皆の気持ちを代弁する様に舞は不安げに周囲を見る。

 他も口々に何か言いながら辺りを見回した。


『どうやらこの世界の境界線も大分曖昧になっているようだな』


 ここに呼び出された皆の円の中心に何物かが降り立つ。

 体は暗くて良く分からないが。


『さてどうしたもんか。今のお前達に力を与えて盛大に過去の改変をしてもいいとも思っている。だが本心ではお前達の今ある力だけでこの先を切り抜けて欲しいとも思っている』


「ちょっと待って! アナタは――アナタは何なの!?」


『恵理さん・・・・・・その、上手く言えないんだが、早い話がここにいる、ある人物の辿り着いた先、可能性の一つと言うべきか・・・・・・』


「恵理さん? その声と呼び方は――」


 その呼び方と声に恵理は不思議と懐かしさを感じた。

 まるでそれが自然であるかのように。

 それにこの声も聞き覚えがある。


 稜ではない。


 この声と影のシルエットは――


 いや、それよりも先程から恵理の脳内に映像が流れる。

 他の皆も同じなのか時折顔を驚かせている。


『質問は大量にあると思うが、今、目に映像が時折フラッシュバックするかの様に流れている筈だ』


「ここは言わば可能性の観測所と言うべきですか」


 早くも志郎はここが何なのか理解したようだ。


『流石志郎さん。話が早くて助かる。よく無限の可能性と言う言葉が良い意味で使われるが、それは間違いだ。中には想像したくも無いイヤな可能性だってある。それを引っくるめて無限の可能性だ。だがお前達は未来は変えられる。選択できる』


「選択?」


 その言葉に猛は戸惑う。


『そうだ猛。お前達は選択出来る立場にある。運命を選択出来る。その選択肢を選べる力は例えが悪いが次々と感染していっている。やがて地球人類、宇宙や異世界に住まう人々も己の運命を選択し、抗い、切り開く力を得るだろう――』


「話が壮大過ぎて何が何やら――」


 稜の言う通り話が壮大過ぎて猛も理解が追い付かなかった。

 それに映像がフラッシュバックする。  

 自分がこの先、体験するであろう光景と共にその時の感情が流れ込んでくる。

 正直苦しくもあった。 


『まあそうだろうな――猛、お前はもう既に言われたかと思うが――自分の力と、そして創星石の運命にどう向き合うかは自分自身だ。そして掛け替えの無い仲間達がいる。それを忘れるな』


「仲間――」


『春歌、猛を大切にな。こいつたぶん今も無茶してばっかだろうけどさ。だけど支えて欲しい』


「は、はい・・・・・・」


 突然話を振られながらも春歌は答える。

 不思議と悪い気はしなかった。


『んで志郎さん。もうアンタはベルゼルオスの宿命からは逃げられない。ベルゼルオスに選ばれたんだ。だがその先の未来は不確定だ。己の意志で変えられる』    


「・・・・・・」


『後、正直もう諦めてるが、あんまり暴走して舞さんに迷惑かけんなよ。』


「はーい先生」


 と、謎の存在に対してあっけらかんと返す。


『相変わらずだな志郎は・・・・・・んで舞さん。舞さんの試練はまだ始まっていない。辛い試練になると思う。闇の女王に気をつけろとしか言えない。だがそれ以前に過去の自分と向き合って欲しい。志郎の事を想うのなら尚更――』


「過去の自分――」


 思い当たる節があるのか舞は暗い顔をする。


『稜。俺はお前と出会えて幸せだった。だからこれだけは教えておく。この先様々な試練が降り掛かる――だけどそれを打ち破る力は君にはある。世界だって、宇宙だって救える力が君にはある。だけど、俺は――倉崎 稜は、宮園 恵理と共に幸せな人生を歩む道を望んでいる』


「・・・・・・まさかアナタは――」


 そこまで聞いて稜は相手の正体に気付いた。


『そして恵理さん。アナタに出会えて本当に良かったと思ってる。倉崎 稜を想う気持ちは分かる。心配する気持ちは分かる。俺も多くの物を失ったから。だけど稜を信じて共に歩んで欲しい。それが俺の我が儘だ』


「え、ええ――」

 

 何故そこまで自分と稜の幸せを願ってくれるのかは分からなかったが。

 しかし春歌と同じく悪い気は感じなかった。戸惑いつつも返事する。 


『最後に――闇乃 影司・・・・・・この場で既に想像を絶するような耐え難い未来を垣間見ただろう。この場の中で一番辛い試練が待ち構えていると言って良い。もしまた――大切な人が出来て失っても、それが幾度も繰り返されようとも足掻け。足掻いて足掻き抜け。そして忘れるな。失われた人の命は――お前に受け継がれるんだって――』


「まさか・・・・・・君は未来の――」

 

 一連の会話を聞いて。

 謎の人物の口振りを聞いて。

 そしてこの空間が見せる未来の断片を見て。

 影司は目の前の人物の正体を困惑しつつも理解した。


『・・・・・・さて俺の言いたい事はこれで終わりだ。一方的で悪いが元の空間に戻す――この空間に辿り着く直後の世界に意識が戻るから気をつけてな』


「ま、待って君は未来の――」


 記憶の奔流に混乱しながらも影司は必死に問い掛ける。

 だが影はこう返した。


『お前は一人じゃない。自分の意志を貫く限り、お前を想ってくれる人間は想像以上にいる。これから先も増えていく。頑張れよ――』


 そして、猛達は光に包まれ、光の粒となって消えていった。

 影の傍に黒髪の可愛らしい美少年が現れた。天照学園の制服を着ている。

 倉崎 稜がクール系ならこっちは可愛い子猫系の男の娘だ。 


「伝えたい事は伝え終わった?」


 中性的な明るい声色で訪ねて来る。


『ああ・・・・・・俺がやったのは少し手助けしただけ。背中を少し後押ししただけだ。アイツらなら助けがなくても未来は切り開けただろう』


「うん。そうだけど助言を与える辺り優しいんだね」


『・・・・・・これで運命は変わる――果たしてどう運命は変化するのか――』


 そして二人はその場から光の粒子となって霧散した。



☆ 



 気が付けば猛達は元の場所に戻っていた。

 橋の上は相変わらず地獄の様な様相を呈しているが、黒い怪人の様な、悪魔然とした戦士の御陰で収集が付きそうになっている。


 橋の左側の海ではベルゼルオスがセイントフェアリーと一緒に巨大ロボと戦い、その他の空中の敵は入れ替わりに赤い天使と白い戦乙女とが迎撃している。

 両ペア共に水を得た魚の様に活き活きとした動きをしている。二人が通り過ぎた後は敵は一気も残ってない。

 特に赤い天使は舞の時とは違って白い戦乙女と組んだ途端、動きが素人目でも分かるぐらい良くなっていた。


『おい・・・・・・一体、何が起きたんだ?』


 嵐山 蘭子が呆然としたような口調で猛に訪ねてくる。


「あ、先生。心配かけてごめんなさい」


 とりあえず猛は謝っておいた。


『心配かけてで済むか!? エネルギーの計測機器が吹き飛んでメチャクチャ恐かったんだぞ!?』


「ははは・・・・・・そうだったんだ」


 どうやら現実世界の方ではそう言う風になってたらしい。


『正直核爆発でも起きるんじゃないかと思った・・・・・・橋の上は捨て駒残して敵は撤退したし、上空も大分落ち着いて来た。もうすぐ集束に向かうだろう。問題は巨大ロボだが・・・・・・志郎と舞が殴り倒してる。巨大ヒーローとか巨大ロボ全否定するような光景だな』


 と嵐山 蘭子が述べている。

 言われて猛は橋の左側の方に移動してその光景を視界に入れた。





 舞と志郎のコンビは海上で巨大ロボットを相手に奮戦していた。


 同時に舞は驚いている事がある。


 天村 志郎は本物の天才だ。


 ただテストで良い点数を取るだけではない。

 彼の才能は多方面にも渡っている。


 彼は言う。


 テストの点数を取るだけでは科学者にはなれない。

 確かに発明を生み出すには基礎的な、莫大な知識が必要であるだろう。


 しかし、同時に科学者には科学とは無縁な素養も必要であるらしい。


 発明を悪用されないための政治的な立ち回り方。


 発明の素晴らしさを伝える国語力や他者の共感を得るための協調性。


 そして発明の先見性を見るセンス。


 発明を実行に移す決断力、それを支える財力などなど――天村 志郎は確かに変人であるがそれを持ち合わせちていた。


 そして彼の才能は戦闘の面でもあった。


 前のスーツ、インぺリアスの時点でも既に大人顔負けの戦闘能力を何度か垣間見た事がある。


 一度舞はインぺリアスを纏った志郎を完膚なきまでに叩きのめした事があったが、アレは志郎が舞を止めるためにあえて攻撃しなかったからだ。


 怒り任せの攻撃を受けながらも、それでも致命打は避けて思いの他短期間で復活した。



 そして今、ベルゼルオスを纏った天村 志郎はその全ての戦闘力を開放しているようにも見えた。


 それに舞の一挙一動を先読みしているかのようにコンビネーションはばっちりだ。


 ただの徒手空拳にも関わらず、巨大ロボットを一方的にサンドバックにしていた。固い装甲が殴るたびに面白いようにへこんでいく。


 ただ文字通り人とウ●トラマンぐらいのサイズ差だ。

 下手なビルよりも高い建造物を殴り倒しているに等しい。

 以前の戦いで20m級のドラゴンを倒した事があるが、アレは四階建ての学校の屋上よりもう一回り大きいぐらいの高さだ。今戦っている全体的に丸っこいフォルムの頑丈そうなロボットはちょうど2倍ぐらいの高さ。


 つまり装甲をへこませているだけで本体その物のダメージは微量。

 人間で例えるなら硬いBB団で撃たれた程度のダメージなのか。


 それでも舞は負ける気はしなかった。

 舞のアッパーカット、志郎の回し蹴りが胴体に叩き込まれる。

 重量が何百トンあるのか分からないが、相手の胴に大きな窪みが出来て、巨体が空中に一時的ながら浮かび上がった。


「フェアリーサンダー!!」


『シザーガントレット!!』


 セイントフェアリーがサンダーを。

 ベルゼルオス右腕の手甲後部が勢いよく赤い粒子を吹き出し、勢いよく射出する。回転し、手甲先端の鋭利な部分がハサミのように開いてそこからビームの刃が飛び出ながら敵の胴体に直撃する。


 セイントフェアリーのサンダーでロボットの各部から火花が吹き出し、胴体の一部分がベルゼルオスのシザーガントレットで穴が開き、背中からガントレットが飛び出る。

 更にフェアリーのサンダーが破壊された内部部品までに流れ込み、ロボットを内部から破壊していく。


 やがて体の各所からロボットが小爆発を引き起こし、最後にバラバラに吹き飛んで海中へと沈んでいった。





 戦闘の後、大型トレーラーをパパっと志郎が最低限修理し、乗せれるだけの人員を全て乗せて移動した。 

 天野 猛達を当然として、ホーク・ウィンドウや闇乃 影司などもいて一先ず出島に向かった。


 天照大橋の向こうにある、本州の島にある一番天照学園に近い街だから出島である。

 天照大橋、天照大橋駅を中心に栄えていた。

 一時期はブラックスカルのホームタウンと化していたが治安は改善に向かいつつあった矢先に今回の出来事が起きる。


 一先ず、出島から少し離れた場所――天照基地周辺にトレーラーを一旦止めて今後の方針などについて話す事になった。

 自衛隊の車両や軍事兵器、敵の戦闘員の残骸などがそこかしこに転がっており、激戦があった事が想像できる。

 遺体が無いところを見るとちゃんと事後処理したのだろう。


 どうしてこの場を選んだかと言うと、あまり人が多い場所にいると戦闘に巻き込んでしまう恐れがあるからだ。


 それに先の戦闘で天照基地を支配下に置いていた戦力もなくなっているようで油断は禁物だが一先ずは安全である。


 時は昼時、硝煙が漂う中、皆外の広い道路に出て天村 志郎の一言を待った。


「で? 呼び出して何のようかしら?」


 皆の気持ちを代表するように揚羽 舞が天村 志郎に尋ねる。


 躊躇う事無く志郎はこう行った。


「ちょっと皆さんで世界救いに行きませんか?」


 と。

てなわけで最新話投稿。

合間合間を縫うように短編書くか、スグに終わる中編でも書くか考え中・・・・・・だけどそんな暇あんなら雑誌の投稿小説書かなきゃとも思う。

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