ルイ15世
1725年2月15日
ヨーロッパの大国フランス王国が危機に瀕していた。現在15歳のフランス国王ルイ15世が病気にかかり前日より寝込んでしまっているからだ。
フランス前国王ルイ14世は貴族達の利権保護組織である高等法院を弱体化させ、国王に対して圧力を掛けれないようにしていた。よって国王に権力が集中する体制になっていた。
ルイ15世の治世になっても高等法院が表立って国王を反対し辛い状況であった。このタイミングで国王が亡くなるようなことがあれば、フランス国内の貴族達が力をつけて次期国王に圧力をかけてくるかもしれないからだ。
前国王ルイ14世はヨーロッパ諸国に戦争を数多く仕掛けていた。そのため、多額の軍備費が重なりフランス財政は赤字であった。国王に対する不満を人々は持っていた。
日本人でフランス国王ルイ15世を詳しく知っている人はほとんどいないだろう。それもそうだ。フランス革命により王妃マリー・アントワネットと同時期にギロチンで処刑されたフランス国王ルイ16世が有名だからだ。
そんなルイ15世に目が覚めたらなっていた、21世紀の日本人大学生の青木翔太の話である。
「陛下、陛下。」
「ウーン。そろそろ朝か。でも、あと5分だけ寝よ。」
「おおおお!陛下が、陛下がお目覚めになられた!神の助けだ!」
翔太は、どんな目覚ましだ!と心の中でツッコミをいれていた。恐る恐る目を開けてみると白髪で教会関係者だと思える服装の爺さんが目から涙を流して喜んでいた。
【えーと.........。俺に白人の爺さんの知り合いはいないはずだけど...............。】
「陛下。お体の調子はどうですか?」
爺さんがまるで孫に声をかけるように話しかけてきた。
「は、はい。大丈夫です。あのー、失礼ですが。どちら様ですか?」
「な、な、なんと!おい!誰か医者を呼んで来い!」
爺さんの顔から血の気が引いて真っ青になっていた。この世絶望をみた状態であった。次の瞬間爺さんは大声で怒鳴っていた。
「陛下。陛下はフランス国王ルイ15世でございます。私はフルーリー卿と言います。」
「え!フランス国王ルイ15世..................。フ、ラ、ン、スだと....。」
翔太は驚いて目と口が開いたままだった。思考が追いつけなかった。
【いやいや、ルイ15世って。フランス国王って。…あ!ルイ16世じゃないだけでもマシか!】
「えー、フルーリー卿。今日は何月何日?」
「はい。今日は1725年2月15日で陛下の誕生日でございます。」
ニコニコしてフルーリー卿は言っていたが、翔太は全く笑顔になれなかった。
【ルイ15世ってルイ16世の前の国王じゃん!つまり、俺の子供は処刑されてしまうのかよ!そんなこと絶対に避けねばならん!】
「ねえ、フルーリー卿。この国の国民の様子がみたい。すぐに手配してくれ。」
「は....。...いけんませんぞ、陛下!まだ、安静にしていなければいけません!」
フルーリー卿は絶対に行かせないという感じであった。
「えー!」
「わがままを言わないでください。陛下は、この国の国王ですぞ。」
「ほーい。」
青木は、そう言って、また眠ってしまった。