63話 貧の服部
なんとか毎日更新継続中。
木山が衣類だけ残して消えた後に大倉はその服と下着を回収し、綺麗に折りたんでいる。
「いやー流石だよ変態マスター……見事な剥ぎ取りっぷりだったねぇ――――ついに私の目が君を捉えたよ」
つまり変態として認識されてしまったのか……それも仕方ないか、今の俺なら……というか普通に俺だったら世界に穴を開けて繋ぐ事ぐらい、響也が反復横跳びしてた時に出来てたんだからそれを通れば誰でも帰れるだろうにわざわざ服を毟り取って全裸で送る必要はなかったな……反省しよう、次は絶対普通に返す。
「あ、見失った……今、反省したね? 変態マスター……反省は変態の敵なんだよ?」
「知るか、そんなことで変態じゃなくなるんならいくらでも反省してやるよ!」
変態扱いなんて御免だからな――――と、反省ついでにそろそろ響也を迎えに行かなきゃまたとんでもない事になってそうだしな――――でもいいか、お取り込み中だったら申し訳ないし。
「それじゃ次は幸ちゃんのとこだねーこの町にはいくつか貧相なデザインの街灯とか電柱があって所謂幸ちゃんスポットになってるわけなんだけど、私の千里眼って対象の人物と風景をを見る物で風景が似たような場所だったりすると正確な位置まではわからないんだよね」
「つまり?」
「幸ちゃんスポットは幸ちゃんの好みに合わせて周りの風景も貧相にしてあるから正直どこのスポットに居るか分からないんだ、幸ちゃんスポットにいるのは間違いないんだけどね」
なんだそれ、微妙に役に立たない千里眼だな。
「それでそのスポットってのはどこにあるんだ? ここから近いのか?」
「近いといえば近いかな……街の中に二百メートル置きにあるから虱つぶしに探すしかないね!」
そう言うと大倉は俺の手を引き走り出した。
「なあ、そのスポットってのは全部でいくつぐらいあるんだ?」
幸ちゃんスポットなる怪しげな場所を探索すること五十七ヶ所目、俺は限界を感じ始めていた、虱つぶしとは言え相手は生きた人間こうも何ヶ所もあれば、別のスポットに移動される可能性もある、それで一度探した場所にでも移られていたらキリがなくなる。
「後三ヶ所だよ、それに移動の心配をしてるなら大丈夫だよ、幸ちゃんは今日はここって決めたところにしかいないからあっちこっち行くことはないし、万が一にも移動したら今、片目で見張ってるから移動すればそれで風景が変わって正確な位置も分かるだろうしね、むしろ移動してくれたら助かるって具合だけど……おっと噂をすればってやつかな狂い悶えるのを辞めて移動するみたい……パン屋さんの隣か――――良かった、丁度次のスポットに居たみたいだ、こっち向きに進んできてるからもうすぐ合流できるよ」
本当だろうな? 俺はちょっと歩き疲れてきてるから、向こうが来てくれるんならここで待ちたいんだが――――と思いながら俺はその場に座り込んだ。
「だらしないなー……でも幸ちゃんこのまま行けば後三分でこっちに来るから、そこの貧相なベンチで座って待っていようか? いくら人通りの少ない幸ちゃんスポットでも地べたに直に座るのはどうかと思うよ?」
大倉は貧相なベンチを指さしながら言ってくれてるんだろうけど……貧相すぎてベンチとは気付かなかったな……腰の高さぐらいの赤いレンガで作られた花壇の側面と上の面に手すりのような銀色の丸みを帯びたバーがついていて丁度L字になっているからあれが座席と背もたれの代わりになるんだろうか。
「ほら、早くおいでよー」
俺がマジマジと貧相なベンチを観察しているといつの間にか大倉はベンチに座って手を振っている……あのベンチ座るのはいいけどお尻が痛くなりそうだな。
それから三分後……と言ってもその後すぐと言ってもいいだろう、服部が現れた、出現と同時に大倉を発見するや、その貧相な胸へと飛び込んでいった――――そして熱い抱擁をする二人……そういえば変態四天王はみな貧相な身体だったな。
「おーよしよし、幸ちゃんおつかれー今日の貧相ノルマは達成したのかい?」
「リリちゃんつかれたーよ、自分で決めた事とは言え流石にいい加減ここの貧相デザイン少し飽きてきちゃったかなー」
俺をまるっきり無視する服部……こいつは貧相以外目に入らないとの噂もあるが果たして……。
「それで黒田くんはどうしてここに? なんだかいつの間にか少し鍛えられて私の視界に入れたくない体つきになっちゃてるけど……もしかしてお迎えだったりするのかな?」
なぜ知ってるんだ……服部は大蔵の胸に顔を埋めて俺の方を見ないようにしているらしい、声がこもって聞き取りづらいがこいつは確かにお迎えと言ったぞ。
「貧相観音様が言ってたんだー今日私たちにお迎えが来て元の世界に帰れるって……まさか黒田くんだとは思ってなかったけどー、どうせなら白木くんとかが良かったー」
貧相観音って言うほど貧相だっただろうか? ……まあ、富士さんに比べたら貧相だった気もするが――――それと服部がいう白木とはクラスメイトの男子で頭が良く体が弱いという、服部の理想の男性である。
「そりゃ悪かったな……悪かったついでに言えば白木もまだ見つかってないから当分は拝めないぞ」
「そうなの? てっきり私たちだけがーとか思ってみたりしてたけどみんなこの世界に飛ばされてきてるんだね」
「いや説明不足だった、みんながみんな同じ世界に飛ばされてるわけじゃないからな? この世界のこの時代に飛ばされてきたのはお前ら四人だけ、そして今より過去の時代に俺や響也にイケメングループと亜理子のグループが飛ばされてきてな、俺が自力で戻れたから、今はこうしてあっちこっちに召喚された連中を探し回ってんだよ」
改めて説明してみると凄い状況だな……俺しかできそうにないのは仕方ないにしろ、なんで俺だけが探し回ってるんだろ。
「そういう状況だったのね、変態マスター、私には一言もそんな説明してくれなかったのに、後脱げ友里ちゃんにも」
「脱げ?」
「そうそう、私たちがあっちに帰るにはね――――」
「おい、馬鹿やめろ、アレは事故だったんだ――――言うな馬鹿……」
それからしばらく俺は大倉の口封じに手間取りなんとか口を封じた頃にはもう日が沈みかけていた。
26日は日本を半分横断する感じになりそうな予感。
多分更新出来ないかもしれないので、あしからず……明日明後日は更新すると思います。




