4話 ギルド加入
俺は悪漢役オッサン達に連れられてヨーロッパの民家的な建物に案内された。
「ここは?」
俺はリーダー格のオッサンに聞いてみた。
「ここは探求者ギルド『真実の瞳』のアジトだ、表向きはな」
ギルドでアジトってなんだかな……アジトって響きはどうにも悪党臭いんだけど。
「表向きって事は裏があるのか?」
「ああ、まあ……こっからの説明は我らがリーダーがしてくれる」
リーダー?
「私です」
さっきのリイヤとかいう女性だった……ほう、この茶番を仕組んだ犯人はアンタか。
「それで、俺に一体何の用なんだ?」
こんなところに連れてきた以上なんか用があるんだろう。
「ええ、それも含めてこれから話すわ、話す前に一つ質問ね……貴方は魔族をどう思う?」
パターンというかテンプレというか、多分あれだろ魔族と和平を組む団体かなんかなんだろう、聞き方からして――――こう言っておけばいいんだろう、どうせ。
「どうって……そりゃ……会ったこともないし分からないな偏見で見るべきじゃないだろう」
「そう、そうなのです! 良かった私たちは貴方のような聡明な方を求めていたのです!」
感極まったように大袈裟な動きで喜びを表すリイヤさん、なんだろう演劇の道にでも行けばいいんじゃないかな。
「それで、俺に何をやらせたいんですか?」
単刀直入に聞いてみた、要件はさっさと済ませたい。
「ええ、実は我が探求者ギルドのメンバーとなって欲しいのですよ、来るべき決戦に備えて」
そんな決戦本当に来るのか?
「そうですか……ちょっと仲間に相談してもいいですか? 俺一人でこんな事するわけにはいかないので」
「仲間ですか? その、どういったお仲間で?」
「幼馴染です」
俺は民家……いやギルドハウスらしいを出て、すぐのところにあった裏路地へと入った。
辺りに人気はない、ここなら大丈夫だろう。
「えーと召喚するには……」
《召喚魔法》
『通常召喚』『特殊召喚』の二つがあるらしい。だが、ここは『通常召喚』でいいだろう、呼ぶだけだから。
「来い! 響也! 亜理子!」
魔法陣とか光とそんなエフェクトじゃないが何かしらあって召喚されると思っていたんだが……。
「やっほー、しょーご君!」
何処からともなく現れた亜理子に抱きつかれた。
「よぉ、やっと呼んだか待ちくたびれたぞ」
響也はパッと現れた、もっと派手なの期待してたんだがそういうのは『特殊召喚』の方らしい。
「それでどうしたの? こんなところに呼び出して、何かあったの?」
俺から離れた亜理子が周りを見渡しながら聞いてきた。
「あ? そういやここどこだよ……」
響也もキョロキョロしている。
「ああ、事情を話すからとりあえず俺についてきてくれ」
俺は二人を伴って再び民家へと入った。リイヤさんは俺が予想以上に早く戻ってきたことに驚いていた。
「というわけなのですが……」
リイヤさんが二人に俺がさっき聞いた話をした、俺は二度も聞く必要はないので聞き流していたが。
「魔族は魔といえど悪ではない……そう言われればそうかもしれないね」
「ま、殴り合ってダチになれんなら誰でも関係ないぜ」
何やら思案気味にブツブツ呟く亜理子と右拳と左手を突き合わせて意気込む響也。
亜理子はともかく響也は警戒されているな。
「まあ、二人共悪い奴ではないんで、もし俺を誘うっていうのならこいつらも含めてで頼みます」
そういうとリイヤさんがすこし考え込むようなフリをしてすぐさま。
「いいわ、三人とも合格、歓迎するわ」
そう言って俺達は『真実の瞳』に加入した。