38話 急なクライマックス
今回ちょっと詰めすぎた感が否めない。
けど、この後から多分いい感じに書ける気がする。
一言で言えば年齢の交換だろうか。
姉神の横に魔王とルナが立っていたんだが、二人共厳かな雰囲気を醸し出してるけど真ん中にいるぐーたらが全てを台無しにしている。
そしてぐーたらが、二人に手を伸ばし――――。
「ほいっ!」
二人の中から何か抜けだしそれを両手をクロスさせることによって入れ替えた……そして変化は一瞬だった、魔王が幼児にルナが大人になったわけだ。
「……はい、終了おつかれー」
意味がわからない、しかしルナは目をぱちくりとさせ自分のその姿をじっくりと眺める。
彼女いわく念願の大人の体だしな……しかしなんだな、魔力量を入れ替えただけじゃん、しかもルナのアレは体を魔力で膨らませているというか――――例えるなら水風船のような感じだ。後少しだけ幻術が混じってる気もする。
「はぁ……大きくなったように見せて中身があれではな……」
富士さんも溜息を付き呆れながら――――自分のFUJIYAMAを揺らしてみせる、胸とはこうあるべきだと言わんばかりに。
偽乳ではないんだけどな、アレを説明または定義するにはまず魔力とは何かというところから言わないとダメだし、めんどくさいな。
魔族の皆さんはと言えば新魔王誕生に涙――――ルナが継いだ事に嬉しさ半分、前魔王を惜しんで悲しさ半分といった感じに泣いていた。
そんなお祝いムードだったんだが、突如それはぶち壊された――――一つの拳で。
俺達が入るのに、いや臣下の方が開けるのに苦労していたあのデカイ扉が破壊されたのだ、何者かによって……扉が破壊されたことによって舞い上がった砂煙で視界が悪いのだが誰かが立っているように見えた、右拳を突き出した構えをしているように見えるので多分パンチ一発であの扉を砕いたのだろう。
「何奴だ!」
代表して、というか真っ先に声を上げたのは富士さんだった。
少しずつ煙が晴れていく――――こういう時に風の魔法で素早く煙を晴らさないフランスはやはり空気枠なんだと思う。
「怪しい奴だな!」
俺の心というか多分表情を見て、フランスが腰にぶら下げている矢筒からレイピアを抜き、弓に剣を番えて風の魔力を込めて引き放った……お前にはそれにしか風を起こす方法がないのか。
剣は風の魔力の影響もあってそこに立っていた不審人物に向かって一直線に飛んでいき――――着弾と同時に爆風を生む。俺は煙を晴らしてくれれば良かったのに余計に状況を悪化させているし、何より今のは多分受け止められているだろうので、ここはこう言うべきだろう。
「やったか?」
やってないのは分かってるので棒読みだ、この魔力量間違いないだろうあんな魔力量を持つ者はこの世界に二人しか居ない。
暴風で再度舞い上がった煙を俺が《バキュームホール》――――真空状態の空間を生み出しそこに小さな穴を開けることによって空気中の塵や埃を吸い取る魔法だ、掃除機っぽいが空気清浄機的な感じだと思っている。……空気清浄機がどういう働きをするのか俺は知らないけど。
それによってようやく晴れた砂煙の中に立っていた奴は、予想通り。
「きょーや君……」
亜理子が言ったように熱血学ラン野郎響也である――――目は虚ろで如何にもアレされてますって感じだけどな、俺の契約がブッツンされた時に予想はしてたけどこんな露骨に敵になって出てくるってどうなんだよ?
「……あ」
姉神がなんか「やっちゃった」みたいな呟きを漏らす。
「姉さま……私は彼の保護を頼んでいたはずですよね? 何故彼はあの女の傀儡になっているのでしょうか?」
妹神がなんか気になる発言をしている……要するにあの女とやらに洗脳されないように姉神に頼んでいたって事か。
「だ、だってーマスターじゃないし、新キャラとか誰だよって僕は思うんだけどー……ごめんなさい」
「はぁ……なってしまったものは仕方ありませんね、こうなっては一度倒して正気に戻すしかないです、ええ正気に戻す=倒す、お約束みたいなものですね」
神様だからお約束とかフラグとか言っちゃって良いんだとか。
「亜理子! 助けに来たぞ!」
響也の背後から悪趣味な剣を片手に持った偽イケメンが現れ、如何にも囚われの姫を救いに来た王子様みたいな感じでやってるが、当の本人である亜理子は「?」と首をかしげている、そりゃそうだよなほとんど認識されていなかった正義が助けにとか言っちゃっても何のことか分からないよな。
「くそっ洗脳されているのか……正吾、貴様ぁ! 俺の亜理子に何をした!」
お前のではない、そして洗脳されてるのかとか言った上で何をやったって聞くなよ、かと言って洗脳したのかどうかと聞かれれば答えはNOだがな。
そしてそんな下らない問答している間に、ゾロゾロと他の勇者連中や、世界王軍の兵士や騎士――――ついでに、というかなんで来たのか分からない世界王バルトマルクと巫女さんも居た。そんで何故か巫女さんが一歩前に踏み出してきて。
「皆様初めまして私は――――」
突然自己紹介をし始めたと思ったら――――。
「黙りなさい! 皆さん耳を傾けてはなりません、あの女は自分の名前を覚えた相手を洗脳、隷属させる魔法を使います、名前を聞いてはダメです!」
妹神が叫んだ――――でも俺一回聞いたけどなあの巫女の名前、確か……。
「ダメって言ってるでしょう? 貴方達の記憶には私がちょっと細工をして覚えられないようにしているんですから、思い出さないでください。……しかし一人は駄姉さまのせいでその細工が破られてしまっているようですが」
なるほど、それで俺と響也、亜理子は何にもなかったのか……それじゃ俺達が旅に出るってのも?
「我々の仕込みですね、そしてここまで来てもらったのは私が直接降臨できるのがここだった事と、あの女をここまで引きずり出す為の事だったんですが――――こうも上手くいくとは所詮人間ですね」
腹黒い顔をしながら笑む妹神はちょっと悪役に見えた。
急展開もほどほどにして欲しいものだけど、手っ取り早いのは好きだからこういう展開は大歓迎だ――――さてここからが正念場? それとも最後の見せ場とでもいうのか、いよいよ俺たちの旅も終わろうとしていた……。
ちょっと苦しい気もするんだ。
例えるならばワンコそばの早食い大会で最後の一杯を急いで口の中に詰め込んだような、そんな感じ。




