28話 喧嘩別れ
本日の更新分です。
とりあえず一日一回を目安にってところですが時間に余裕があればまた更新する可能性もございます。
ちなみに、もう一つなろうコンに応募することにしたので宣伝。
「魔物使役師の全裸生活」
http://ncode.syosetu.com/n1612ci/
読み手を選ぶ物語だそうで、こちらも書き直し始めたばかりでまだプロローグと一話しかございませんが、興味があればどうぞ。
「ここからさらに東か……」
俺達は巻物状の地図を眺めながら昼食を取っている――――なんだかんだあったけどまだ昼過ぎなんだよな、なんか最近一日はやけに長く感じるが……気のせいだよな?
「それじゃあ正吾、また頼む」
またって……トンネルか?
「ふざけんな、歩けよ――――この距離じゃ精々五回はトンネル使わなきゃたどり着かねぇよ」
なんか俺を便利な感じに使おうとしている響也が居るがそんなポンポン使ってやるつもりはないし、何より使えるかどうか分からない。
五回とは言ったが実質距離にしてみれば四回程度で済むが、三回目辺にちょっと強力な魔力の気配を感じるから一度そこで途切れる可能性もあるしな。
「なんでだよ、俺はやれるって思うから頼んでんだぞ」
ああ、やれるよ、やれるけどそれは違うだろう――――なんか最近響也が調子に乗ってる気がするんだが、力を得て女を得て変わってしまったとまでは言わないが傲慢な部分が露見したというか。
そんな風に思っていたこともあり俺も譲歩すればいいだけの話なんだが、結局――――。
「知るかよ、そんなのお前の都合だろ? 出来るからとか出来ないからじゃなくて、簡単にやってやると思われたくないんだ――――はっきり言うが俺は便利アイテムでもお前の保護者でもないんだ……お前を甘やかすつもりは一切ない。」
言ってから思ったけど甘やかすつもりは一切ないってそれって厳しめの親の視点じゃね? 今はどうでもいいけど。
「ハッなんだよやりたくねぇなら最初からそう言えよ、グダグダと抜かしやがって……みんな行こうぜ、こんな奴ほっといて」
そしてこのリーダー気取りである、最初はほとんど俺に任せきりだったくせに――――仕切りたがりなんだよななんだかんだ言ってこいつは。
もちろんそんなリーダー(笑)な奴についていくのは惚れた弱みかミケネ、ルリエル、セラフィッテだけだった。
一度通した意見は曲げない、後ろは振り向かない――――のがかっこいいと思っているあいつは誰が付いてきてるか分からないのにドンドン進んでいく。
「はぁー……ガキかよ、俺も似たようなもんか――――さてとじゃあ俺達は俺達で行くか、あいつらはギルドでの用件で行くから中継地点とやらを通らなきゃならないらしいがこっちはルナが居るからなチマチマしてられないし最短ルートで行くぞ」
正直こうなる事を見越していたところもあり前もって《マジックサーチ》デカイ魔力を探知する魔法で恐らく魔王だろうと思わしき魔力の反応がする場所を探しておいた、それを手前から順に追っていけばいずれ魔王城にも行き当たるだろう。こっちのルートの方があっちの第二中継地点に行くまでと比べると短いしな。
「良いのか、主殿……その、彼とは親友なのだろう?」
「大丈夫だろ、俺達定期的に喧嘩してんだよ……なっ、亜理子?」
俺は同意を得るために亜理子に振ってみたら、やれやれと肩を竦められ。
「そうだねー二人は小学六年生からの付き合いだけど周期的に喧嘩してたね、大体きょーや君が自分が悪かったところに気づいて謝ってきて仲直りするけど」
それは響也が基本的に悪いと言っているようなものであるが――――事実だから仕方ないな。
「それなら良いが……しかし分かれてしまっても良かったのかのぅ……もしこのまま再会できなければ――――」
今生の別れになる……と言いたいのだろうか、確かにこの大陸はあっちの大陸に比べ危険度が増しているから最悪死の危険もあるだろうが。
「言ってなかったが俺と響也、ついでに亜理子は今回召喚された勇者で、俺と響也は元の世界と異世界を行ったり来たりして強化したから、余程のことがなきゃ大丈夫だ」
勇者であるとポロっと暴露、しばしその場の空気が止まる。
「ついでは余計だよー、でも確かにしょーご君ときょーや君には敵わないからついでって言われても仕方ないね」
そんな亜理子の呑気な声に他三人は再起動した。
「三人がのぅ……確かにそのような気配はしたがまさか三人ともとは……」
なんとなく察していた様子の富士さん、流石年ちょ……ごめんなさい。
「斧、勇者の武器なの?」
あの斧を大変気にいっていたアリサは斧が勇者の武器だったら困るのか、でもあんな禍々しい物がそんなもののはずがないだろう。そもそもアレはレッドキャップとかいうお前の多分先祖のだぞ。
「ご主人は……その、お父さんを殺すのか?」
単刀直入なルナには屈んで目線を合わせて――――俺の目を見ろ嘘は付いていないぞって状況にしてから。
「大丈夫だ、俺達はそもそも勇者が召喚されたと連絡しに行くだけだったんだ、魔王を倒しに来るのは俺達とは別の勇者だ」
多分、あの伊達正義な正義厨の正義君は魔王=悪とか言って現れるだろう。
「ご主人達の他にも勇者は居るの?」
「まあな、俺達は……えーと同じ学び舎? で学んでいたクラスメイトでな、俺たちの他に七人居る……けど安心しろ魔王には決して手は出させないから」
正義達が来たら戦うのは避けられないだろうな、何せ俺=悪だからな、正義の中では。
「それは大丈夫なのか? 仮にも知り合いなのだろうお主たちは?」
富士さんが心配してくれるのは有難いが――――そんな気遣い、いらないんだけどと返事をしようとしたら亜理子が話に参加してきた。
「大丈夫だよ、女子の人たちはそこまで仲がいいわけじゃないし、男子の方もほとんど面識ないからね」
と、クラスメイトをバッサリ切り捨てた――――女子はともかく男子に至っては面識がないと……正義は認識すらされていなかったのか!
「というか戦わずに勝つ秘策があるから気にしなくてもいいぞ」
このままでは言うタイミングを見失うと思ったのでとりあえず言っておいたが――――流された。
「ふむ、ならば行くとしよう、このままでは日が暮れてしまう」
まだまだ日は高いが――――確かに強い魔力があったところを目指してそこに街がなければ野宿ということになってしまうから急いで回ろうとする気持ちはわからなくもないが――――野宿用に新魔法を思いついたので別に大丈夫……だけどそれがあるっていうのはその時まで内緒にしておこう、その方がサプライズになるしな。
一先ず魔力の反応がある方へと歩き始めた俺達五人――――この離別を後悔する日が来るとはこの時は俺も響也も思っていなかった……この世界において最大の敵というのが誰なのかをお互いに知らぬままに――――。




