27話 玉手箱を開けた太郎さん
最近サブタイトルで詰まる……正直どこで区切るべきなのか判断しかねている作者です。
「なあ、そもそも門のところまで行かなくてもいいんじゃねぇの?」
門へと向かっていた途中響也がふと何かを思いついたように言い放った――――俺としては単純に歩くのが怠くなったのかと思ったんだが。
「船の時のトンネル? あれ使えば門も通らずに行けるんじゃないのか?」
ああ、《ワープトンネル》か……そんなのもあったな。
「そうだな、確かにアレならわざわざ門まで移動する必要なかったが、どうする? アレなら魔王城までぶち抜けるかもしれないが?」
「魔王城までですか……しかし方向が分かりませんしギルド指定のルート以外を通ると門前払いをされる可能性もあるので」
なるほど、魔王城直通は無理なのか……それを聞いたルナはがっくりと肩を落とす、早く帰りたいのかね?
「となるとやっぱり門の外までってことになるが、門からどのぐらい離れたところがいいか?」
門の直ぐ外では見張りの兵士に見つかる恐れもあるしな。
「そうですね、門を越えた少し先に湖があるのですがそこが第一中継地点らしいので、その辺にお願いします」
《ストレートサーチ》横方向には狭いが縦になら結構な距離を把握出来る魔法でミケネの言う湖を探してみる――――あった、湖というか海なんだが潮の満ち引きっていうか、波たってるし……何より周囲が森だというのに水際だけ砂浜になっている、草など生えていないしな。
「なあ、この湖ってさ……塩っぱいのか?」
「よく知ってますね、なんでも地下から海に繋がっているんだそうでそこにいらっしゃる主様に会って次の行き先を聞かなければならないのです」
主……ねぇ、どんな化物がいるんだか。
とりあえず俺は《ワープトンネル》を使って湖の前に繋いだ――――みんながトンネルを抜けるのを待って俺は術者特権で入口から出口までをショートカット、というか一瞬で抜けたこれだとただの《ワープ》なんだけど《ワープ》では運べて精々三人程度だ、人数の増えた現在ではあまり使うことはないだろう、とりあえず俺は《ワープトンネル》を閉じた――――閉じた時に子供の悲鳴みたいなものが聞こえたが気のせいだろう……仮にあの空間に取り残されたとしても世界の壁の魔力を浴びてしまうだけだ、この世界の人間では耐え切れず魔物化してしまうらしいが……悪ガキざまぁ。
「今何か聞こえませんでした?」
流石ミケネ、その獣耳は伊達じゃないらしい。
「アリサ、お前はどうだった?」
同じく獣耳なアリサに聞いてみたが――――首を横に振る……そりゃそうだよな、だって頭巾で耳を隠してるんだ逆に聞こえが悪くなっててもおかしくはない。
「じゃあ、気のせいだろう――――そもそも俺達は全員揃ってんだ、気にする必要はないだろ?」
仲間内以外知ったこっちゃないさ、それにアレは害意を持って俺たちを追いかけてきた自業自得というものだ。
「そうですね、そういうことにしておきましょう――――では主様を呼ぶ儀式をしますので少々お待ちください」
そう言ってミケネは自分の手荷物の中から――――黒い四角い棒のような塊を取り出した、仄かに甘い匂いがする――――それを湖に投げ入れた……あれって多分羊羹だな。
「アレがここの主様の好物だとかで――――あ、来たようです」
ミケネがそういうと、湖の波が止み……そこの方から影が上がってくるのが見える、結構でかいな。
「君たちが落としたのはこの……金の延べ棒か? それともこの銀の延べ棒か?」
泉の女神的な登場を果たしたのは年老いた爺さんで、巨大影は――――大きなウミガメだった……その姿は玉手箱をオープンしてしまった太郎さんそのものだった。
「いいえ、私が落としたのは黒くて甘い棒型のお菓子です、返してください」
落とした食べ物は三秒ルールがあったが果たして水中でもあれは有効なのか、既に三秒は過ぎてるけど。
「ああ、アレかアレは中々美味じゃった……すまぬの、これで勘弁してもらえぬか?」
そう言って某太郎さんは金の延べ棒を差し出す……両方じゃないのかよ。
「流石にどっちも渡すとワシも懐が心もとないし、嫁さんがうるさくてな……小遣いを減らされてしまう」
心を読まれたか――――そんな事より小遣い制なのかよ、その年にもなって……てか嫁さんって乙な姫様か?
「ふふっワシには勿体無い美人じゃがな、ほれ、さっさと受け取れい、中に次の場所への地図が入っておる――――心配せずとも入れ物自体は純金だぞ?」
そんな心配はしていないが――――ミケネが金の延べ棒を受け取ると太郎爺は湖の中に消えていった。
「不思議な方でしたね、アレがリバースアイランド・タロー様ですか」
リバース……裏って言いたいのか? てか浦だろアンタ――――激しくどうでもいいがあの爺さん一体何だったんだ? まさか本物の浦島太郎か?
「何はともあれ、無事に次の中継地点の地図が手に入りましたので、早速開けてみたいと思います」
そう言うとミケネは延べ棒を縦にして上下に引っ張った――――が開かないので更に捻ったり齧ったり――――齧るなよ、とにかく空かなかった。
「ちょっと貸してみろ――――《サーチ》、大体把握した……これ箱型なんだな、しかも巻物って……」
俺がミケネから延べ棒を受け取り魔法で調べた結果、延べ棒は箱型であり、蓋の方を持って揺するとストンと箱形の中に巻物が収められていた――――それにしても延べ棒の部分が随分と薄かった、延べ棒の一般的な重さなんて知らないがそれでも思ってたより軽かった理由はこの構造のせいだろう、この量なら銀の延べ棒の方がまだ価値があったんじゃないか?
それにしても巻物とか、いよいよ持ってあの爺さんが日本人なんじゃなかろうかと思うようになってきたが今となっては確かめる術はなかった。
設定というかこの物語に置いての浦島太郎のあり方。
浜で子供たちにいじめられていた亀を助けた太郎さんはお礼に竜宮城(異世界の海の中)に連れられて、世界を越えた際にチート能力を授かり、竜宮城で歓迎されるも、そろそろ帰りたいと言った時には既に百年ぐらい経ってて、チート能力は『不老不死』であり自分が百年も遊んで暮らしていたとは気付かなかったので(竜宮城に住んでた乙姫を始めとする住人も老いが遅く長寿だった為)元の世界に帰ってみると既に百年経過しており、自分を知る者は誰も居なかった(当時医学が発達してなかったこともあり平均寿命はかなり低い)途方に暮れる太郎さんは手土産に渡された箱を空け『老化の呪い』を受けるも『不老不死』だったため死ぬこともできず世界を放浪しながら自分の経験を子供に聞かせるお伽噺として伝え、更に十年後海岸で亀と再開して再び竜宮城に連れて行ってもらい、世界の壁の魔力で若返るも不老ではなくなり……その後乙姫と結婚、子供を三人授かって、幸せに暮らしましたとさ――――という設定、爺さんだったのはそれが物語の現在から百年ほど昔の話だった為。
↑ここまでの設定は十分で思いついた後付けサクサク設定なので今後本編とは大して関わりはないです。




