23話 赤い頭巾と血塗られた斧
昨日更新しようと思ってたのに魔が差しましたすみません。
今日も後何回更新するか分かりませんがお楽しみに。
《バスルーム》――――文字通り風呂場魔法だ、いや風呂場がある空間を作り出す魔法――――でもなく、上から召喚魔法で引き寄せた天然温泉のシャワーが降り注ぐ感じの空間魔法である。
俺はアリサの頭巾を預かり服を脱がせ真っ裸……いや問題ない目を閉じたまま《サーチ》を使って把握すれば見なくとも風呂に入れるぐらい容易いことだ。
ちなみに《サーチ》は目に映る範囲を把握するものであり、見ていないといけないというわけではないので暗視にも使える便利魔法だったりする。
「とりあえずこの中に入って、好きな服を選べ……後これ、頭巾な」
俺は《ショールーム》を開き、手に持っていた頭巾を返してからアリサを中に入れた。
十……九……は――――っともう出てくるのか、中の時間の流れが違うとは言え少し早い気もするが。
俺は《ショールーム》の入口を開き、中からアリサを出してやった。
赤い頭巾に赤いシャツ――――そこまではいいだろう、そして紺色のオーバーオールに茶色い革のブーツ。
どっかで見た配管工みたいな格好をしていた……別にいいよ? ドワーフ混じってるって言ってたしそういう格好したくなるんだろう?
ま、配管工にふさわしくない、大きく禍々しい斧を持っているが――――どうして身の丈にそぐわない大きな得物を好むんだろう?
軽々と持っているから問題はないんだろうけど。
「えーと、それがいいのか?」
斧を指差し聞いてみた。
「うん、これがいい」
まるで親の形見かのように大事そうに抱きしめているアリサ――――その大斧の出処を《サーチメモリー》――――物に宿る記憶と記録を把握する魔法で確認する。
最初の持ち主はレッドキャップと呼ばれる最凶の妖精だったらしい、彼はアリサと同じような赤い帽子を被って居て、その赤はこの斧で殺した人間たちの血で染めた物らしい。
俺は気になってアリサの頭巾にも《サーチメモリー》を使った……最初の持ち主はやはりレッドキャップだった――――これは何かあるだろうが、特に調べなくていいだろう、俺はそっと《サーチメモリー》を解除した。
「とりえあずそれはお前にやるとしてだな、街中じゃ危ないから俺が預かっておくぞ、いいな?」
「うん」
《異空間収納・アリサ専用》に斧を仕舞い俺達はみんなのところへ向かうことにした。
「誰もいねぇ……」
アリサとぶつかったところまで戻ってきてみたが誰も居なかった、あいつら置いて行きやがったな。
仕方がないので、俺は《逆召喚》を使い亜理子の元へと跳んだ、アリサはこの場で待機で後で《サモン》する予定だ《逆召喚》では召喚主である俺しか運べないからな。
ザブン――――そんな音を立て俺は盛大にお湯の中に落ちた……どうやら俺は風呂場に出たらしい。
「しょ、しょーご君!? ダメだよーお風呂に入るときは服を脱がなきゃ」
丁度目の前には一糸纏わぬ亜理子さんがおりまして、俺に驚いたのか立ち上がっていまして――――上から下まで丸見えなんだよな……湯けむり? そんなもん知らん。
「ああ、悪いちょっと出るとこ間違えた、富士さんか、ルナは部屋にいるのか?」
「う、うん居ると思うよ?」
「そうか、それじゃあそっちに行ってくる」
俺は風呂を覗いてしまった事を流す事にした、水場だけにな……じゃなくて、そもそも服を脱がなきゃとかツッコミどころはそこではないのだが、如何せん俺達は小さい頃から一緒だったので割とお互いの裸とか見てしま
ったりしているせいで、さっきも「ああ、また成長したんだな……」って思っただけで済んだ――――枯れてんのかな、俺。
「どうしたのじゃ、主殿……びしょ濡れじゃないか」
富士さんの元に跳んだ俺は再び女性の裸を見ることになった――――お着替え中でしたか。
「その様子から察するに亜理子殿のところを経由したのだな……全く興味のないフリをしつつも主殿はやはり男か」
「そんなんじゃない、つか服着ろ服を……ところでルナは?」
俺は富士さんから視線を逸らしたが……そこには真っ裸のルナが、ベッドのシーツに包まっていた訳で、堂々と全裸よりはそっちの方が扇情的ではあったが所詮幼女である。
「とりあえず、服を着ろ……俺は外に出ておくから」
俺の退室とすれ違うようにして部屋に戻ってきた亜理子と目が合うが黙ってその場を譲った。
「? 早く着替えないと風邪をひくよ?」
そう言って亜理子は部屋の中に入っていった……唐突だがここは宿屋で多分今日一日ここに泊まるのだろう、俺はすっかり冷め切ったお湯で濡れた服から《カット》で水気を切り無理やり乾かした……廊下が濡れたけどな。
「それでだ、こいつはアリサだ……今日からよろしく頼む」
着替え終わったと言うので部屋の中に戻った俺は《サモン》でアリサを呼び出した。俺の後ろに隠れているが――――人見知りなのか?
「アリサです、よろしくお願いします」
ちゃんと挨拶はするアリサに好感は持てたらしい富士さんの表情が和らいだ――――するとアリサも俺の影に隠れるのを辞めた、原因は富士さんの睨みかよ。
俺から見た感じじゃ少し表情が硬いぐらいだったが睨まれた本人からしたらドラゴンに睨まれたオオカミと言ったところか、まず敵うはずがないな。
「それにしてもこの短期間で私を含めても三人も手篭めにするとは……やるのぅ、主殿も」
富士さんは何が可笑しかったのかわからないがツボに入ったらしくゲラゲラ笑いだした。
ま、俺もこんな短期間でハーレム化し始めているのは何のギャグなのかと思ってはいたが――――こうなってくるといよいよ亜理子の存在が謎だ、俺達はただの幼馴染、恋人でも何でもないんだ……けど、俺はついでだとか、いい機会だからとか打算的な事を承知で亜理子に聞く――――いや告白することにしたんだ。




