19話 貨物船と密航幼女
本日三回目の更新です!(多分)
ついに幼女登場!
前回キャラの一人ですが時系列いじってあるので肩書きはありません。
「ところでしょーご君、富士さんの服とかどうするの?」
港へ向かおうと思った矢先にこれである……すっかり忘れていたので富士さんは今も布切れ一枚を着ている状態に等しかった。
「一応レクスに渡さず取っておいた装備とかあるから適当に見繕うようにしてたんだが……忘れてた」
それから俺達は人気のない路地裏に入り、近くに誰もいないのを確認し、俺が《ショールーム》を発動させる――――異空間に《異空間収納》の中身を整理して陳列してる特殊空間を開く魔法で、富士さんにその中に入って貰い入口を閉じ、直ぐ様開いた時には富士さんは着替え終えていた。
《ショールーム》の中と外の時間の流れを変えていたのでこっちからすれば一瞬のようであるが、富士さんは十三時間も中で悩んだ結果選んだものを急いで着替えて戻ってきたのだ。
「時間がかかって済まない、待たせたのう」
一言で言えば、赤富士……そんな装備あったかな? というようなドレスと鎧の中間にあるような物を着て、靴はハイヒール、というかヒール部がレッドドラゴンの爪だったり、鎧部分もレッドドラゴンの鱗だったりするものを着ていた。
「うわぁ、綺麗……」「ほんと、見違えましたね!」「ああ」
亜理子、ミケネ、響也の順である。
「あ、主殿……その、ど、どうかの?」
どう? と言われましても――――。
「凄く大き……い、いや綺麗だよ、とても」
――――あぶねぇ、ついついパックリ開いた胸元を見てたもんで大きい(胸が)と言いかけた。
「そうか、まあ主殿も男故に仕方あるまいな」
バッチリバレてました、俺ってそんなに分かり易いか?
「それじゃあ時間も惜しいのでさっさと港へ行きましょう、こっちですよ付いてきてくださいね?」
ミケネが歩き出し俺達もその後を追う、それにしても今日のミケネは元気がいいというかハツラツとしている。昨夜はお楽しみだったからか。
港に着くと既に船に貨物の積み込みが行われていた。
「ええと乗船……五名様で合計銀貨三十五枚になります」
ここでの払いも俺が出した、なんだかんだで俺が今一番金を持っていたのとミケネが貰っていた船賃はあくまで四人の時のもので一人増えた為それじゃ足らなくなったので俺が出すことになった。ま、俺が富士さんのご主人様だしな……自分でご主人様とか何言ってんだ俺よ。
「それにしても貨物と一緒か……他に乗客はいないようだが?」
俺は積み込まれた木箱を山に座りながら、辺りを見渡す……もちろん俺達以外木箱しかないんだが。
「仕方ないですよ、そもそも半分は世界王派閥の前線基地に送られる物資で魔王大陸に我々を運ぶ、というか人を運ぶ船なんて存在しないのですから」
「密航者だ! 誰か来てくれ!」
まずい、見つかったか? そう思ってビクっとしてしまったが「大丈夫ですよ、私達お金払ったんですから」とミケネが……いや払ったのは俺だからな?
「それで、コイツどうしますか? ミケネさん」
俺達の目の前には船員達と一人の……幼女が居た。
「どうと言われましても……乗る船を間違えたんじゃないですか? だってこの船魔王大陸行きだっていうのにこんな子が密航しようと思うと?」
ピンクというかなんというか、微妙な色合いの髪の毛をボサボサに伸ばし一見するとピンク色のハリネズミみたいな幼女はロクな服も来ておらず、まさに野生児といった印象でとても魔王大陸に行こうと思って密航してきたとは思えないような感じだが、褐色の肌にところどころ見たこともない魔法陣がチラチラ見えていておよそ人間に似つかわしくない魔力量、それこそ俺や響也に匹敵しかねない物を持ってるこいつがただの幼女の思えない俺はミケネに質問してみることにした。
「なあ、こいつ……魔族なんじゃないのか?」
「魔族? ですか……確かにそう言われて見れば見えなくもありませんね……どうにも何か体に魔法のようなものが仕掛けられているようですし」
俺は捕まっているのに随分と大人しい幼女の頭に手を置いて屈み幼女と視線を合わせ――――綺麗な緋色の瞳がクリクリしている。
「お前、名前は?」
第一印象は大事だろう、優しく微笑んで見せつつ反応を待つ。
「ルナルナール」
と、短い一言ではあるが長い――――。
「じゃあ略して、ルナだな」
そう告げると俺の手から青白い魔力の閃光が迸り、『ルナ』の体を駆け抜け、更に破壊音と共に彼女にかかっていた魔法をぶち壊した――――《命名契約》だ、ぶっちゃけこの契約魔法に相手の意思は関係ない単純に召喚対象のマーカーみたいなものだからな、富士さんはその辺分かっていながら俺に付いてきている、果たしてルナはどっちを選ぶのやら。
「これでお前は俺の仲間だ、これなら文句ねぇだろ? 金なら追加で払うからさ、乗せてやってくれよ」
俺は異空間から取り出した銀貨七枚を船員に見せつける――――どうだ、決まっただろ? この間ドヤ顔だったと思うが、そんなもの誰も見ていなかった。
「つ、角? それに羽に尻尾まで……本当に魔族……なの?」
ミケネを驚く声に俺はルナを見返した――――そこには、先程とは違い、黒い羊のような巻角に蝙蝠の羽と黒い蛇のような尾を生やしたルナが居た、恐らくさっきまで彼女にかかっていた魔法で隠蔽していたのだろう。
「ふう、ありがとう、これでもくてきがはたせる。わたしはルナ……か、よい……な、だ……きにいった……」
そう言ってから崩れ落ちるようルナが倒れた、俺が咄嗟に抱き抱えたので怪我はしなかったがルナは深い眠りについてしまった。
「あの、とりあえず船代だけ払ってもらっていいですか?」
船員のそんな間抜けな声に空気を破壊されてしまったので、一先ず銀貨を支払いルナを寝かせるために俺達が間借りしている一角へと運んだ――――それにしても富士さんから少しも立たないうちにまた仲間が増えてしまった、この先一体どうなるのやら。
本日の更新はここまでです、また明日、お楽しみに。




