13話 努力の結果
今回は少し短いかもしれませんが、ご了承ください。
「おはよう、しょーご君」
亜理子が目を擦りながら起き上がってきたので俺は穴を閉じてループを辞めた……正直夜通しやってたから少し眠い。
「おはよう亜理子、良く眠れたか?」
あんなことがあった後だが実際どうなんだろうか?
「うん……あんな事あったのによく寝れたよ……おかしいよね私」
「いや、ま……大丈夫だ」
何が、と言われるとちょっと困るのだがもしかしたら大丈夫な気がするんだよな、今の俺なら。
無限ループを使った強化法により以前より扱える魔力量は大幅に増え、出来ることも多くなった……見た目に変化という変化はないが五感や肉体が強化されたのが分かる。
「あれ? きょーや君は?」
「ああ、響也なら――――『俺がどうしたって?』」
背後から響也の声が聞こえたのでそちらを振り返ると……。
「「誰?」」
そこには身長二メートルそこらでスラっとしているが筋肉がしっかり付いている白い長髪が肩下まで伸びた青年が立っていた。
「誰って……響也だが」
そりゃそうだな、ここには俺達三人しか居なかった……なら必然的にこいつが響也になるが、また随分と強化されたな、見違えたというよりもはや別人である。
これではミケネすら響也だって気づけないんじゃないだろうか?
「反復横跳びはもういいのか?」
「ああ、これが限界らしい、これ以上増えそうにないから切り上げたが眠いから少し寝てくるぜ」
そういって響也は近くにあった気に、軽々と登り太めの枝に横たわって器用に寝始めた。
「きょーや君なの? アレどうしちゃったの?」
「まー……努力の結果だよ」
それ以外に言い様がない。
「それじゃしょーご君も努力したの?」
「ああ、まーそうだが……俺もどっか変わってるのか?」
その答えには首を横に振る亜理子――――良かった見た目が変わってなくて、響也には悪いが俺は今のままで十分だと思っているからな。
「とりあえず、俺の努力の結果を見せてやるよ」
俺も正直もう寝たかったんだが見た目に変化がない以上、力を示さないと……別に後でもいいかもしれないが出来ると思った時にやっておかないと手遅れになる。
イメージだ、昨日のあの惨劇を……思い出したくもないがやらねばならない。
空間歪曲、昨日のあの場所、あの位置に固定――――時間魔法、逆行!――――見える、俺達が狼を倒すところが……まだだ、まだ、見えるミケネが喰われる瞬間が……正直この時点で吐きそうなぐらい不快感が襲ってくる……あと少し、そうタイラントフェンリルがミケネの前に現れた! 今、まさに前足が薙ぎ払われそうになるその瞬間――――俺は空間の穴に手を突っ込み素早く引き抜いた、あの時薙ぎ払われて宙を舞うはずだったミケネを。
「ミケネ!?」
亜理子が驚きつつも俺に投げ捨てられた、無傷のミケネに駆け寄り抱きついた。
俺はタイラントフェンリルの追撃をもらう前に急いで空間の穴を塞ぎ、そして――――地面に倒れて気を失った……流石にもう限界だった、眠くて。