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召喚術師の喧嘩殺法  作者: 噛み付き熊さん
第一章 異世界導入編
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12話 反復横跳びと無限ループ

本日四度目の更新になります。

 俺達が三人に戻った夜、俺は空間魔法を使ってミケネを地中に埋葬した……本当は火葬がいいらしいが俺たちの中に今現在火を扱えるやつがいない。

 今は戦闘を行った場所から少し下ったところで野宿をすることになったので寝心地の良さそうな地面を見つけて、その付近の空間を俺が歪曲することによって仮初の安全地帯を作り出している。


「なあ、正吾……起きてるか?」


 深夜と言ってもいい時間帯だ突然響也が話しかけてきた。


「眠れる訳無いだろう? なんだよ急に」


 約一名例外というかすやすや眠っているのはいるが、彼女の場合寝ようと思えばどこでも寝れるという特技なのでこの場では触れない。


「俺達って弱いのかな?」


 弱い……それも自分達が、か――――元の世界に居た時はあまり考えたこともない話題だった。


「そうだな、まだ弱いかもしれないな……ここでは」


 そう、この世界ではまだまだ通用しないところが多い、例え勇者の力的なものがあろうと、殺し合いとか命のやり取りなんて経験のない俺達ではこの先もうどうなるか。

 いっそここで一度敗戦したことでより大きく成長しようと思えるようになったと思えば少しは気が楽になるかとも思ったがその代償がミケネの死であった事を思うとやるせない。


「どうやったら強くなれんのかな?」

「どうって言われてもな……やっぱ日頃の訓練とかじゃないのか? それとも召喚された時みたいなパワーアップでもあればな」


 いきなり最強になれるか? と問われたら普通に考えて答えはNOだ。


「召喚か、元の世界に戻ってもう一回召喚されたりしたら強くなるのか?」

「どうだか、でもミケネ……の話ではそういった実験もされたことがあるらしいが……上手く同じ勇者を召喚できずに失敗したとか言ってたよな」


 そう、その昔呼ばれた勇者が居たそうだが彼は強くなるために一度元の世界に戻り、再びこちらに来ることで強化出来ないかと考えたらしい……が、結局彼はこの世界に帰ってくることはなかったらしい、俺にはなんだかんだ言って結局帰りたかっただけなんじゃないかと思えてくるのだが。


「どこかに元の世界と繋がっていて行ったり来たり出来るようなとこでもありゃいいのにな……」


 繋げるか、そういや逆召喚の時召喚先の空間を一時的に繋げて跳ぶんだけどアレを持続させれば行けるんじゃないか?

 そんなことより……もしかしたら元の世界に帰れるんじゃね?

 俺は立ち上がり何もない空間に向かって右手を翳す。

 空間を歪曲、世界の壁を分断し元居た世界をイメージ――――接続、場所は昔よく遊んだ廃墟になったマンションの裏にある広場でいいだろう。

 それから歪曲させた空間に停止魔法を使い固定、よし出来たぞ……あっちとこっちを繋ぐ抜け道が、大きさにして高さ二メートル幅一メートルほどの長方形の穴が完成した。


「出来たぞ、お前が言ってた抜け穴が、ここから向こうに帰れるぞ?」


 暗に辛いなら帰ってもいいんだぞって言っているようなもんだが。


「マジかよ……へへ、それじゃあありがたく使わせてもらうぜ」


 空間に空いた穴を見た響也は目の色を変えて飛び起き、直ぐ様穴へと歩み寄り、穴に手を突っ込んだ。


「!? なんだこれ突っ込んだだけで、見る見る力が溢れてくる? ああ、これは一度通り抜けたほうが良さそうだな」


 そう言って響也は向こうの世界へと行ってしまった。……と思ったら引き返してきた、帰ったわけじゃなかったらしい。


「懐かしいなー、あそこに繋いだのかよ……ま、あそこなら邪魔する奴も来なくていいしな」


 そう言った響也がいきなり準備体操を始――――めたかと思ったら直ぐに終わった、そして穴に向かって横に向き足を開き、姿勢を低くしたと思ったら――――突然反復横跳びを始めたんだ。

 反復横跳び、それはスポーツテストなどで執り行われる種目の一種で三つのラインを横に行ったり来たりするアレだ。

 この場合三つのラインは左(こちら側の世界)中央(空間を繋いでいる穴)右(元の世界)である。

 一定のペースであっちとこっちを行き来する響也は、一往復する毎に目に見えて魔力量を増加させていく。


 これは俺もやらないとな……けど俺はあいつほど脳筋じゃないし流石に体力が持たない。

 であればだ……俺は響也の邪魔にならないところに移動し、空間を歪ませた停止魔法で固定する。しかし今度は円形、それも地面に向かってだそれから高さ二メートル程のところに同じ大きさの穴を生み出し、俺は地面の穴に向かって飛び込んだ。


 飛び込んだ穴の先は元の世界の空中、それもあっちと同じ地面から同じ二メートルの高さにある穴から出て、そのまま更に地面に空いた穴へと落ちる、そして先ほど作った高さ二メートルの穴から出て再び最初の穴に落ちる。

 要するに無限ループって怖いねってやつだ、空間を繋げて繋げた結果俺はひたすら落下し続けるという状態で自動的に強化される方法を取った。




 そして俺達の強化は朝になって亜理子が目覚めるまで続いた。

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