10話 狼
タイトルを「召喚術師の喧嘩殺法」に変更しました。
というかリメイクだとか言っておきながら大分元からかけ離れてきたのでこっちを元祖、元を本家ぐらいな感じでやっていこうかと。
元を削除しようかとも考えたんですが、残す事にはしました。
今後共「召喚術師の喧嘩殺法」をよろしくお願いします。
ちなみに本日二度目の更新ですね、今日はまだまだ書く予定なのでお楽しみに。
ワイルドウルフ……ミケネによるとあの黒い狼どもは百一匹の群れを作り行動するらしく、今まさに俺達を取り囲んでいる群れは百一匹いるらしい。
「囲まれてるな……」
見ればわかる事をわざわざ口にする響也はぐっと拳を握り締め構える、どうやらこの数を相手するらしい。
「無理ですよっ! 逃げましょう!」
響也を見てミケネが叫ぶが……一度ああなった響也は止まらない、一歩前に出てミケネを庇う様に狼たちに立ちはだかり。
「下がっていろ、すぐに終わる……」
カッコつけやがって……。
「仕方ない、亜理子も下がってろどうせ逃げ場はないんだ、やるしかないな」
俺は響也に背を向け、その後ろに亜理子を寄せる、亜理子はといえば荒っぽいことには慣れていないので黙ってそれに従いつつミケネに寄り添って慌てる彼女を宥めている。
俺と響也はいつも背中を預けて来ただからこうなるのは必然だ、俺達は共に背中を預け更に背中には守るべき者たちがいる、こんな燃える展開久々だ。
「いくぞッ!」
姿勢を低くして狼に突っ込もうとする響也――――を俺は肩を掴み全力で引き止めた。
「まてまてまて待てって……どこに行く気だよ?」
「何をする! 離せっ正吾!」
興奮しているのか声を荒らげながら俺に食って掛かる響也、こいつ状況分かってんのか?
「いやいや背後に守らなきゃならない奴いんのに離れてどうすんだよ? この場合突っ込んできたのを一匹ずつ撃破だろーが」
突っ込んでいっては背中を合わせた意味がない、焦らず迎え撃ちしかないんだが……よく考えたらこいつにはそういう思考はないだったな。俺の説明不足か。
「ならどうすりゃいいんだよ!」
「どうって、お前みたいに突っ込んでくる馬鹿だけ相手にすりゃいいじゃね? ほら後ろ今一匹来てんぞ」
俺が響也を掴んで振り向かせた際に一匹こちらに向かって走り出していた、全く背中を見せたぐらいで行けると思うなんて馬鹿な犬っころだ。
「そういうお前も後ろから三匹来てんぞ」
俺の方が馬鹿が多かったらしい。
「わかったわかった、んじゃそっちは任せた、俺はあの三馬鹿をやる」
「やれんのか? っていうのも野暮か、任せたぞ」
ああ、任されたさ……とかカッコつけて振り返ったけど狼たちの牙は最早目と鼻の先ってところまで迫ってきていた。
「鬱陶しい!」
俺はハエを追い払うかのように右手を振う、咄嗟の魔法行使の為適当に魔力を込め三匹の位置をずらす程度にしか発動できなかったがそれで十分だ。
目の前に居た三匹は青白い光に包まれると俺の視界から消え――――俺の足元、地面に上半身を埋没させた状態になった。
足をばたつかせ藻掻く狼達だが、やがて呼吸ができなくなったのか動かなくなった。
突然のことに周りに居た狼たちは警戒を強めてじっとこちらを睨んでいる。
そんな中俺の背後では先ほど突っ込んできていた狼の喉元に拳を叩き込み群れの中に吹き飛ばす響也の姿があった。
「おらおらっ!どうした!さっさとかかってこいよっ!」
狼相手に挑発する響也……果たして奴らにその意図が通じたのか狼の群れが一斉に遠吠えをし始めた。
「きゃっ」「くっ」「何っ?」「うるせぇっ」ミケネ、響也、亜理子、俺の反応である、あまりの騒音に皆一様に耳を塞いだ。
一体何が起こるんだ? と辺りを警戒していたら――――突如黒い濁流が、津波のように押し寄せてきた……もちろん狼の群れだ。
「き、気をつけてください……どうやら仲間を呼んだようです。アレは召喚魔法の一種でして一匹につき最大五匹まで呼べるんですが……どうやらそれ以上居ますね、呼ばれた個体が更に仲間を呼んでいる? 様です。」
顔を絶望に歪めながらミケネは淡々と状況を告げる……まさしく万事休す、絶対絶命のピンチというやつだ。
更に追い打ちを掛けるかのように現れる普通の狼たちの三倍はデカイ化物みたいな狼が現れる、この群れ全てのボスのようだ……たかが四人にここまでする必要あるのか?
「あ、あ、ああああ……あれは……タイラントフェンリル!? 嘘なんであんなやつが!」
絶望からかミケネがその場で膝をついた、それはまるで世界の終りかのような反応だ……まあ、無理もないかこんな状況俺達がいくら勇者だと言っても全部を倒すのは不可能に近いだろう。
しかし、幸いにも俺も響也もまだやる気はある、むしろ燃えてきたようだ――――俺達の戦いはまだまだこれからだ!
タイラントフェンリルの大きさを十倍から三倍に変更。
十倍って、でかすぎるだろうとなったので。