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trip change  作者: tamap
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留学

 「多分、私の身体の中だろうね」レイコの問いにリンは答えた。

リンの妄想を打ち消そうとレイコはリンの元居たと言う国の事を色々と尋ねた。

そして、リンが鈴香の体の中に居るのなら鈴香は何処に居るのかと聞いた答えがそれだった。

 「男の子の身体に?」

「子供では無いぞ。

初陣はまだだったが、もう子供と呼ばれる時期は終わっている。

私は16だった」

「そうじゃなくて・・・・16!?」レイコは驚いてリンを見た。

「16にもなれば一人前だ。

一人でどんな環境に放り出されたってやって行ける能力は持たされている。

おまけに私は国許に居た」


 その国が問題なのだけれど、とリンは思ったがそれはレイコには聞かせられない。

故国が余所者には酷く厳しい国であり、たとえ同族であったとしても狂ったと見なされれば命が無いという事も。

 その事に対してはリンも考えない訳では無いのだが、出来るだけ気にしないようにしている。

もし、元の身体がその中に居る鈴香もろとも破壊され、一生この身体の中に閉じ込められたとしたら、あまり嬉しくは無いがそれならそれで仕方が無い事と受け止める覚悟は出来ている。


 だが、そうでは無いような気がするのだ。

もしも、そんな事が起これば何も感じないはずは無いと。

「鈴香が私の身体を使う事に何ら不都合な事など無いはずだぞ。

この身体よりずっと使いやすいと思うがな。

ちゃんと鍛えてあるし、健康だった。

動きやすいだろうし、力もこの身体よりずっと強いぞ」

「いきなり男の子になってショックだとは考えない訳?」レイコは言った。

「それは確かに。周りの文化も環境も全く違うだろうしね。

あちらはこの世界で言うヒロイックファンタジーの世界に似ている。

魔法なんてものは見かけた事は無いけれど」

魔法にとても近い物はあるけれど、と故郷の機密事項を心の中で呟く。


 レイコは溜息を吐いてその話題を打ち切った。群雄割拠する国々の事や、海賊が出没する海の事。

外洋には竜まで居ると言う世界がヒロイックファンタジー以外の何だろう。

王様が居て、貴族が居て、騎士や戦士。吟遊詩人や、流浪の民。

小さな農村や町からほとんど出る事も無い大半の人々。

鈴香はファンタジーは好きかも知れないがヒロイックファンタジーだの、ロールプレイングゲーム等は興味無かった筈なのだが。


 「それで、どうしてもダメなの?チャンスなのよ」

レイコは先ほど一旦断られた話題を蒸し返した。「ほんの一か月足らずだけど留学よ」

「いくらレイコの父上が金を出してくれてもパスポートを持っていない。

たしかに外国には興味はあるが、空を飛んで行こうと言うのは絶対に嫌だ」

「だから、パスポートはは間に合うわよ、夏休みに入ったばかりじゃない。

パパも手をまわしてくれるって。

空を飛ぶのが嫌なんて言わないでよ。

パパは私達の事を心配して留学を進めてくれているのよ」


 レイコの父親が心配しているのは例の竜村の件だった。

裏でヤクザとも関わっていたと言う竜村が逆恨みして娘達に手を出して来るのではないかと心配しているのだ。

大会社のオーナー社長にしては気の良いレイコの父親は大事な跡取り娘のレイコだけでは無くその親友のリンまで守ってくれようとしていた。


 「ねえ、お願いよ。

私一人でなんて行くのは嫌よ。

パパはちゃんとツインルームを取ってくれているのよ。

そんな部屋にたった一人なんて絶対嫌なの」


 レイコに潤んだ目で懇願されてリンは参ってしまった。

空気よりも重い乗り物に乗って空を飛ぶなんて気が進まない。

重い金属の鳥はおまけによく落ちるらしい。

 空飛ぶ乗り物を見るのは、実は初めてでは無い。

彼の世界にもあったのだ。勿論一般的な物では無い。

世界中のどこの国も持ってはいないし、知ってさえいないだろう過去の遺物。

万と言う年月を越えたその乗り物はやはりその過去から来た人達が齎した物だ。


 その人々と彼の一族の遭遇は彼が生まれても居ない頃の事だから詳しくは知らない。

1万年以上も昔に彼の世界はそれはそれは高度な文明を築き上げていたと言う。

けれど、一旦その文明は滅びたそうだ。

その頃、宇宙に飛び立った人々が彼等だと言う。

宇宙を旅している間は歳を取らないという事だから、彼らが1万歳なんて事は無いそうだが。

実はリンの師匠のニール様の奥方クリスタルの姫君様はその少し後の時代からいらしたのだそうだ。

長い長い、時を止める眠り。

その頃まだ平戦士であったニール様に出会い、恋に落ち、ニール様と共にニール様の故国である国に嫁されたのだ。


 だが、鳥と言うよりは舟に似たあの乗り物はこの世界の鳥に似せた不恰好な乗り物よりはよほど優雅に離着陸する。

どたどたと、飛ぶのが下手な大きな鳥のように滑走する必要さえ無いのだから。

「アルバイトをしようと思っていたのだが・・・」

リンは溜息を吐いた。

作品の下書きを納めていたフロッピーが何故か読みだせなくなっちゃった。

フロッピー、使い勝手が良いので愛用してたんですが・・・。

機械の方がダメなのかもしれません。

最近のパソコンにフロッピーの読み取りができる物が無くって~。

と、言う訳で更新速度が鈍ると思います。

申し訳ございません。

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