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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
第一章 神崎病院
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1-4

屋敷で恐怖の一夜を体験して間もない俺らに今度は病院で一夜を過ごせと・・・。それやったら、車内で過ごす方がええんと違うか?沙織はこの人達とは関わらん方がええ言うてるし・・・


ところが順は、


「ほんまですか?それは助かりますわ!」


と、すんなり了承してもうた。まあ、たしかに断る理由が見つかれへんし、善意で提案してくれたのを無下に断るのも失礼や。


仕方無く全員車から降りると、俺はドアロックした事を確認した。


「申し遅れました。私、神崎病院で看護師をしております、山方ヤマカタ ケンと言います。こちらは同じく看護師の、関谷セキヤ アオイです。」


男の方が、自己紹介を始め、俺たちも簡単に自己紹介を終えた。見た目男の方は30代前半、女の方は俺たちと同年代ってとこか・・・。葵と紹介された女の方は、人見知りが激しいのか、ペコっと頭を下げただけで、話そうとしない。


ただ、看護師という職業柄、人見知りって事は考え難い・・・いや、仕事になるとスイッチが入るんかもしれへんから、一概にはなんとも言えへんか。


一方、山方は対象的によく喋る。神崎病院へ向かう道中もひっきりなしに色々とこの辺りの事なんかを話してくれた。


それに負けず劣らず順も喋ってたんやけど、どうも、会話が噛み合ってへん気がする・・・。ただ、先頭で二人は並走しながら喋ってたので、その隙に俺は心と相談する事にした。


幸いにも麻紀が、葵と話してくれてるし、今しか無い。俺は小声で心に話しかけた。


「どう思う?この展開・・・。」


「まあ、思ってた感じの人ちゃうし、あの二人看護師なんやろ?それやったら病院には他にも、先生や入院患者、それに看護師二人が見回りしてるんやから、他にも看護師はおる、という事は結構大きい病院やと思う。屋敷は廃虚やったけど、今回は営業してる病院や。たしかに病院イコール怖いっちゅうイメージはあるけど、この場所の方が人通りも無いから怖いと思う。」


すると、いつの間にか沙織が隣にいて、一瞬驚いて声をあげそうになるのを必死で堪えた。いつからおったんや・・・。沙織は静かに口を開いた。


「あの二人が直接危険じゃないの・・・。これから行く病院で・・・いや、気のせいかもしれないわ。ただ、嫌な感じがする事はたしかだから、気をつけた方がいいわ。」


何故が標準語で話す沙織のその内容とは裏腹に落ち着いた口調が尚更恐怖感を煽った。今度は詩音が会話に参戦してきた。


「何?何?何話してんのん?まさか沙織と抜け駆けしようとか企んでへん?」


「そんなん、詩音ちゃん差し置いてするはずあらへんやん!沙織ちゃんの霊感で今後を予知してもろてたんや。」


相変わらず抜かりの無い言い回しをしよる・・・。それからは心の口説き混じりの会話を中心に、病院へと歩き続けた。十分もかかってへんやろか?やがて右側に逸れる道が見えてきた。


「この先に病院と村があるんですわ。人口三百人程の村です。ただ神崎病院は、心臓外科の権威、神崎カンザキ ヒトシ先生が医院長を務めており、全国各地から患者さんが来られる有名な病院です。」


と、山方は誇らしげに説明してくれた。せやけど残念ながら俺には今の所無縁な事やし、神崎病院の存在は今まで知らんかった。と、前方右手が急に明るくなり、夜でも建物の外壁の白さがわかるくらいのライトで神崎病院は照らされてた。


「お、思ってた以上にデカい・・・。失礼やけど、田代館の経験から、古ぼけた小さい病院を想像してたけど、立派過ぎるで。」


「ちょっと、これってホテルみたいやんか!病院とは思われへんで!」


麻紀の目が輝いてるんが、見えへんけど想像出来た。たしかに、ホテルみたいや・・・。きっと入院費用も高いんやろな。そんな事を考えてると山方が立ち止まり、


「ちょっと皆さんここで待ってて貰えますか?一応医院長に事情を説明して来ますんで。」


そう言うと、葵と共に院内に姿を消した。

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