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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
第一章 神崎病院
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1-2

心はまず女性陣に対して、語り始めた。


「皆、ちょっと車がトラブったみたいやけど、安心してくれ。俺がおるから大丈夫や。普通の人やったら、このパターンは危険な展開へと導かれて行くんやけど、そう言うパターンを知り尽くしたエキスパートな俺が、危険な誘惑を全てかわすから任せてくれ!」


すると、詩音が不思議そうに聞き返す。


「パターンって何?ただ、車が故障しただけやろ?ちょっと歩いて民家か、通りすがり人とか、車に助け求めたらええんちゃうの?」


ええ感じや!詩音さすがや!しかし、心は、欧米人がとるような首をすぼめるジェスチャーをしながら、


「詩音ちゃん、それはあかんのや。まず、車は絶対に通れへんし、当然、人が歩いてるなんて事はありえへん!民家はあったとしても、危険過ぎる・・・。」


すると、詩音が心の後ろの方を指差して、


「人やったらあそこに歩いてるよ!」


「え?どこ?」


「心ちゃんの後ろの方。まだ遠いけどこっちに向かって歩いてくるみたいや。」


全員がその方向を見る。たしかに遠くから人が歩いてくるのが見える。二人おるように見える。心のパターンはいきなり崩された。俺は笑いを堪えるんに必死や・・・。


「それがしには、白衣を着てるように見えるんやけど、医者か看護師なんやろか・・・。右側を歩いてるんが女性で左側は男性や。」


相変わらず凄まじい視力や。俺には辛うじて人っちゅうのがわかる程度や。


「あの人達には近付かない方がいいと思う。」


小さな声で沙織が呟いた。なんで近付かん方がええんやろ・・・。白衣着た犯罪者なんて、聞いた事無いで。


「なんで近付いたらあかんの?さおりん知ってる人なん?」


麻紀が尋ねた。


「見た事の無い人。でも、あの人達に関わると多分、良くない事が起きると思う・・・。」


沙織は麻紀とは正反対の性格みたいや。話す声は小さいし、話の内容に根拠は見当たらへんけど、なんや妙に説得力があるというか・・・。とは言え、まだ顔さえはっきり見えへん距離やし、初対面の相手が危険やっちゅうのは、どういうこっちゃ?


「さおりんが言うんやったら、間違い無いわ!さおりんは昔から霊感も強いし、未来がなんとなく見えるらしいから、注意した方がいいよ!」


詩音がそう言い、隣で麻紀も頷いた。それでも俺には半信半疑・・・というより悪いけどそう言うオカルトは信じへんのや。


と、以前なら言うてる所なんやけど、田代館の一件で、ちょっとだけ考え方が変わった。せやから、多分沙織の予感は当たるような気がする・・・。


ただ、こっちに向かって歩いて来てるんや。どうする?二人組のいる方へ行かへんかったら、助けを求められへん。反対側には何があるのかもわからへんねん。


それなら、来た道を戻る方が確実や。それか、車の中へ戻り、二人組をやり過ごすか・・・。そんな風に悩んでいる間に二人組はこちらへと近付いてくる。


どうしたらええのか、決めかねてると、心が呟いた。


「ここはひとまず車内に戻った方が良さそうや!」


そう言いながら、車のドアを開けると、皆に乗り込むよう促した。


俺と麻紀も慌てて運転席と助手席に回り込んで乗り込むと、全員乗り込んだのを確認して、ドアロックボタンを押した。


車内はしばしの静寂に包まれた。俺はサイドミラー越しに二人組の姿を覗き込む。徐々にその姿が近づいてくるのがわかる。小声で心が背後から、


「警察でもない限り、停車してる車の中におる人に話しかけてくるなんて事はありえへんやろ。そもそも、この車が故障してるとは旗から見てわからへんやろし・・・。」


俺もそう思う。それでも沙織の言葉が気になって、妙な緊張感が車内に張りつめてるのがわかる。まあ、順だけは全然気にも留めてへんやろけど・・・。それでも珍しく空気を読んでか、大人しい。


やがて、二人組はサイドミラーから外れ、死角に入った。いよいよ通り過ぎる・・・。誰もがそう思ったはずや。皆の緊張感は、その息遣いからも感じ取ることが出来た。と、不意にドアを叩く音が車内に鳴り響いた・・・。

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