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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
序章 新たな恐怖
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0-4

家に着くと、心と麻紀を玄関で待たせ、ダッシュで二階に駆け上がった。


「あんた!何度言うたらわかるんや!階段は静かに上がるもんやで!・・・あら、麻紀ちゃんに心君、来てたん?もう、ウチの子はそそっかしいから、ホンマに。ええから上がってよ!」


「こんにちわ!すぐ出掛けるから、ええねん。有難う!オバちゃん。」


「どっか行くの?」


「うん!心ちゃんの親戚が淡路島で旅館してるから、泊めてもらうねん!」


「オバちゃんも行きたいわ!」


「どさくさに紛れて何言うとんねん!あかんに決まってるやろ!そう言う訳で今日は帰れへんから、飯はええわ。まあ、どうせソース抜きやったからちょうど良かったわ。」


「心配せんでも帰って来たら、ソース抜きや!麻紀ちゃん、ちゃんと親に言うてから行くんやで。心君も!」


「はい、連絡しときます!」


「ウチもメールしとくわ。って、家寄るからその時言うわ。ほな、お土産買ってくるからね!」


「皆、気をつけるんやで!太一、安全運転するんやで!他人様の命預かるんやから、疲れたらちゃんと休憩・・・」


あかん、ここからがおかん長いねん・・・。


「わかった!わかったから!他にも待たせてるんや!」


「他?誰やのん?まさか、悪い子達と・・・」


「おい、心、麻紀、行くで!いちいち聞いてたら日が暮れてまう!」


ヒートし始めるおかんのマシンガントークを尻目に俺らは車に飛び乗った。まずは麻紀の家やな。車やったら十分くらいや。


麻紀の家に着くと、心が親戚に連絡して部屋を頼んだ。


「大丈夫やったわ。二組しか予約無いそうや。海水浴にはまだ早いし、その旅館ちょっと場所が悪いから、この時期は客足少ないねん・・・。その代わり夏と冬はかなり繁盛してるんやけどな。雑誌にも何回か取り上げられてるんやで!」


「旅館してるんは前にも聞いたけど、雑誌にも載ったんわ初耳や。それは期待出来るな!」


しばらくすると麻紀が少し大きめのカバンを担いで乗り込んできた。


「一泊やしこれくらいで大丈夫やろ?心ちゃんなんか、手ぶらやもんな。とりあえず、道言うから、迎えに行って!二人合流してくれてるみたいやから!」


麻紀の言う通りに車を走らせる事数分・・・。近い・・・こんなに近いんやったら、麻紀んちで待ち合わせたら良かったんちゃうんか?


二人の内の一人は、何回か麻紀と三人でカラオケ行った事あるんや。もう一人のコは初めて見るコやな・・・。


とりあえず俺ら三人は挨拶のために車を降りた。なんか忘れてる気がする・・・そうや、順や。先に迎えに行った方が良かった気がする・・・。って、もう遅いか。自己紹介二度手間になるやん・・・。


「紹介するわ!ウチの彼氏の太一とその友達の心ちゃんや!あと一人おるけど、後で合流するから、とりあえずええわ。」


俺も知ってるコは田渕 詩音(タブチ シオン)、麻紀は彼女の事をカバーンって呼んでるんや。そのままやけどカバン集めるんが好きって事らしい。


もう一人は、牧村 沙織(マキムラ サオリ)と名乗った。どちらも麻紀の高校の同級生で親友や。


詩音は、小柄でショートカット。テンションはいつも高めで人見知りもせえへん。一方の沙織は、初対面やから、性格はわからへんけど、背は女子にしては高い方やろ。


160センチ以上あると思う。それにヒール履いてるから、175センチの俺とあまり差が無い。


髪はロングで巻きを作ってて、今風や。格好は、Tシャツにジーンズやけど、腰に上着巻いてたり、帽子もお洒落な感じや。心は早速沙織に目を付けたみたいや。


「初めまして!詩音です!麻紀からはカバーンって呼ばれてるから、皆もカバーンって呼んでくれたらええよ。ヨロシクね!太一君とは、何回か遊んでるもんね!」


「初めまして。沙織です。よろしく。」


詩音は相変わらずテンション高めなのに大して沙織は照れてるんか、めっちゃ控え目や。


「ココロって書いて心です。よろしく!」


「太一です。よろしく頼みます!」


一通り挨拶を済ませた俺達は順を迎えに行く為、車に乗り込んだ。と、後ろでカバーンが沙織に何か話してるのが聞こえた。


「沙織、奥に詰めてよ!」


「え?誰か座ってるのに無理やけど・・・。」


「誰もおらへんで?」


「あれ?ホンマやね?たしかさっきは女の人が・・・。ごめん、アタシの勘違い勘違い。気にせんといて!」


おいおい、やめてくれよ・・・。そう言うのはもう勘弁や。気を取り直して、アクセルを踏む俺。嫌な予感がする・・・。ふと、ルームミラーで後部座席を確認する。


俺が運転する車は八人乗りのミニバンや。結構広いけど、燃費は悪い。二列目には心が座り、三列目に詩音と沙織が座ってる。


取り越し苦労やったわ。特に変わった様子は無い。心と、詩音と沙織がミラーには映ってるだけやった。


やがて、心の指示通りに車を進める事約十五分、閑静な住宅街に一際大きな豪邸が目に飛び込んだ。


「デカい家やな!」


思わず声を上げる俺に心が呟いた。


「順の家や。」


「え、えええええ!」


俺と麻紀が同時に叫んだ。


「ちょ、ちょっと待って!順ちゃんって金持ちなん?」


たしかに親父さんは警察の偉いさんや言うてたけど、それだけで、こんな豪邸は無理やろ。正直田代館より広いで!確実に広い・・・。


「この豪邸建てたんは、実は順なんや・・・。アイツ、FXやら、株やらで、相当儲けたみたいやねん。」


おいおい、マジか・・・。ただの筋肉馬鹿や思ってたけど、この豪邸、家とか土地に詳しく無い俺が見ても数億円はするってわかるで・・・。


ぐるっと外壁を回り、立派過ぎる門の前に着くと、順がどう考えても俺の大きいワゴンタイプの車にも載らへん量の荷物地面に並べて待っていた。


詩音と沙織は順に自己紹介する為、車から降りた。


俺はウインドーを下ろして、自己紹介を終えた順に、


「一泊やぞ!荷物多過ぎるやろ!厳選してくれ。絶対にそんなに載れへんわ!」


「厳選してこれや。先日は軽装備やったせいで痛い目に遭うたから、今回は万全や!」


すると、横で麻紀が、


「もう順ちゃんごと置いていったら?」


と、さすがに可哀想過ぎる発言をする。


「とにかく積めんもんは積めんから、せめて五分の一にしてくれ。」


「アンビリーバボー!それは殺生や・・・。抱き枕だけでも八個必要やねん。」


このままでは埒があかへんから、俺と心、それに麻紀の三人で強引に荷物を減らし、なんとか最低限の物にまとめた。


「手間取らせやがって!行く前から疲れたわ・・・。」


心が順に、文句を言う。そんなやりとりを聞きながらようやく淡路島に向けて出発した。

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