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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
第五章 細川村
34/36

5-3

それを見た麻紀達はなんか言うてたけど、うるさくて聞こえへんから、取り敢えず俺もコガッチに続いてハシゴを上り始めた。


その後に女子達が続いた。多分、心と順が気を利かせて後ろに回ったんやろ。


そのまま、どんどん登ると、やがて地上へと出た。ここは何事も無く全員が無事に地上に降り立った。


「ここは?真っ直ぐ登っただけやから病院の敷地内っちゅうことはわかるねんけど・・・。」


俺がコガッチに尋ねた。ちょうど建物の陰になってるんか、周囲は真っ暗でほとんど何も見えへんかったからや。


「おかしいわね・・・。ゴミ置き場の辺りに出るはずなんだけど・・・ゴミ置き場付近だったら建物からの明かりや、ゴミ置き場にも外灯が点いてるはずなんだけど、ここは真っ暗よ。確かに一本道だったはずなんだけど。」


すると、順が多分リュックをガソゴソしてるんやろ。何かを取り出す物音が聞こえ、周囲が明るく照らし出された。


「こんな事もあろうかと、ライト類は抜かり無いで!」


そう言うと、LED懐中電灯を皆に手渡した。ナンボ程懐中電灯持ってるんや!と、思いつつも有難いこっちゃ。それにかなり明るく、直視したら目が眩むレベルや。


各自、思い思いの方向を照らす。


「ここ、病院の敷地ちゃうで!」


心が叫ぶ。皆の照らす光で周囲の状況が見えた。確かに心の言う通り病院の敷地とは思えんへん。何より病院の建物が見当たらへん。


「ちょっと!ウチらの通って来た通気口はどこ?」


沙織が地面を上下左右に何度も何度も照らしながら言う。言われて初めて俺らが登ってきた通気口が無い事に気付いた。


「たしか、地面に降り立ってそんなに歩いてへんよな?いや、むしろ数歩程度、上がってくる人の邪魔にならへん程度に避けただけや・・・。なんで無いんや?やっぱ俺の不安が的中してもうたんか!」


心が、不安げなのか得意げなのかは暗くて確認出来へんかったけど、多分得意げな顔してるはずや・・・。


それはええとして、全員が地面にライト当ててキョロキョロしてるけど、そこには地面しか無く、地面は土というより砂っぽかった。いや、そもそも土と砂の違いを厳密には説明出来へん。


土はなんとなく、独特の香りがあって茶色で湿っぽいイメージや。一方砂は石を砕いたようなサラサラで乾燥してるイメージがある。また、それはゆっくり調べるとして、一体ここはどこなんや?沈黙のまま黙々と通気口を探す俺たち・・・と、順が叫んだ。


「わかったで!これは過去や!それがし達は過去に来てもうたんや!あの、通気口はタイムマシーンなんや!つまり、それがし達は、タイムスリッパしたんや!」


「タイムスリップや!」


久々にテンポよく麻紀が突っこむ。そもそも現状では、時代を示すようなもんは見当たらへんし、タイムスリップは言い過ぎや。せめてワープやろ。


「タイムスリップかどうかはわからないけれど、何か不可思議な現象が起こっているのは事実のようね。よく見るとここは高台になっているみたいよ。眼下に微かに灯りが見えるわ。」


コガッチがそう言いながら、指さした。確かにコガッチの言う通り、点々と灯りが見える。


「っていうか、この景色・・・多分、細川村ね。病院の裏手の集落よ。と言っても少しばかり離れているから、病院の通気口を抜けてこの場所にいる事自体信じられないんだけど、アタイも勤務してから、もう八年以上経つから、この辺の地理にもかなり詳しいわ。間違いなく細川村よ!」


細川村?この辺りには土地勘の無い俺らには初めて耳にする地名やった。イマイチ病院との位置関係もわからへん。そもそもこういうありえへん展開っちゅうのは夢なんや。そうや!これは夢なんや!・・・問題は、どこから夢かっちゅう事や。


まさか、田代館から夢?いや、長過ぎる・・・。あれから一週間は経過してるんや。さすがにそんな長い夢は見た事あらへん。絶対に無いとは言い切られへんけど、それは寝過ぎやわ。って、夢で一週間過ぎたから一週間寝てるとは限らへんけどな。


取り敢えず古典的過ぎるけど麻紀に頼む事にした。


「麻紀!これは夢や!せやから殴ってみてくれ!・・・痛っ!っていうか早っ!殴り過ぎや!なんか言うてから、手加減して殴れよ・・・。」


「殴れ言うから殴ったんや!感謝される事はあっても文句言われる筋合いはあらへん!」


たしかにそやけど、心の準備っちゅうもんがあるやろ・・・。しかも痛い。いや、痛いからって夢じゃないとは限らへん。・・・ほんならなんで俺は殴らせたんや・・・。

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