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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
第四章 神崎病院 太一編
30/36

4-1

俺らは麻紀らと別れるとシャワー室に入った。これと言って変わった所の無い普通のシャワー室や。


「順は大人しく待ってるんやろか?」


脱衣所で服を脱ぎながら心に問い掛けた。


「まあ、アイツの事や、その辺ウロウロ探索してるやろ。それがしが皆のために!とか言いながら・・・」


苦笑しながら心が応えた。その後、隣通しの個室に入るとさっさとシャワーを済ませた。女子は多分長いやろから、ゆっくりしてもええんやけど、順待たせてるし、そもそもシャワーに時間をかける方が無理っちゅうもんや。


「順待たせても悪いしちゃっちゃと戻ろか!」


心も同じ考えらしく、すでに着替え終えて、タオルで頭を拭いてた。俺より早いとはなかなかやるな。


「オッケーや!行こか!」


多分七分くらいやろ。足早にシャワー室を後にしてエレベーターに向かう。心がボタンを押すと、すぐにエレベーターが到着した。それに乗り込み一階のボタンを押した。


「多分順を探さなあかんわ。確実にロビーにはおらへんで。」


心がタオルでまだ頭を拭きながら、そう言うと、エレベーターは一階につき、扉が開いた。


「心の言うとおりや。順の姿が見えへん。スマホで呼び出してみるか?」


「そやな。・・・いや、ここは病院やし、いざという時にしよ。あまり動き回るのは良くないけど、静かに探してみよ。山方さんにも逢ったら聞いてみたらええやろし、そもそも、その辺でウロウロしてるはずやからすぐに見つかるやろ。」


「ほな、どっちから探す?新館?旧館?まさか外には出てへんやろ・・・。」


「見た所、目の前のロビーから旧館方向と、反対へ廊下は伸びてる。横長の構造や。外を探すんやったら、電話した方がええやろし、取り敢えず旧館の方へ行ってみよか。」


俺と心は取り敢えず旧館方向へ歩き出した。人の姿は無く、院内は静まり返ってる。反対側には、売店がまだ営業してる。結構遅くまで開いてるんやな。外来なんかは終わってるし、見舞いもこんな時間やと基本的にはあかんやろ。


まあ、入院患者が利用するんやろけど、今はこのフロアには人気は無い。


「いくら病院や言うても、静かやな。来た時は結構患者さんや外来やらで賑わってたのに、シャワー終えた途端人の姿どころか気配すらあらへん。」


「たしかに、これで電気消えたら怖いくらいや。売店は営業してるから人はおるんやろけど、客の姿も無いな。従業員の姿もこの角度からやと見えへんし・・・。まあ、たまたまおらへんだけやろ。とにかく順を見つけへんと、麻紀ちゃん達とも逸れてもうたら、ややこしなる!」


心の言うとおり、俺らが探してる間に麻紀達がロビーに下りて来たら、今度は麻紀達が俺らを探し出して無茶苦茶になってまう。むしろ、ロビーで待ってるのもありかもしれへん。


「俺らロビーで待ってた方がええんちゃうやろか?順も待ってたら戻ってくるんちゃうか?」


「それもそうや。外から戻って来てもエレベーターで下りて来ても、どこからでもロビーを通るんやし、待ってるのが一番や。」


「ほな、喉も乾いたし売店で飲み物買ってくるから、その辺で座って待っといて!」


「わかった。って、すぐ目の前やけどな。」


心がロビーの椅子に腰を下ろしのを確認した俺は目の前の売店に向かった。しかしここで問題が発生した。麻紀の連れが何を飲むかわからへん。


飲み物は大きく分けるとコーヒー紅茶系、果汁系、お茶系、これに加えて炭酸系や健康飲料系、さらには紙パック、ペットボトル、缶とある。大雑把に分類してもこれだけあるし、コーヒーだけでも、ブラック、微糖、カフェオレ、エスプレッソ・・・あかん、キリが無い。


まあ、妥当な所でペットボトルのお茶。ただ、お茶も種類が多い。烏龍茶、麦茶、焙じ茶、煎茶、なんちゃら茶・・・。人によっては麦茶無理〜とか、煎茶しか無理〜とか、好みが分かれる。


何故、おごる方が気を遣わなあかんのかわからへん。しかし、そこはおもてなしの精神や!いつか倍返し・・・いや、見返りを期待したらあかん!


そんな事を考えながら売店に入ると、さすがにそんなに種類は無く、思ってた程悩む必要も無さそうやった。


そんな中、一際気になるジュースが目に飛び込んで来た。


『たぎる血潮』


なんちゅうネーミングや!でも、気になる・・・。俺はそのジュースを手に取り印刷された原材料などを見た。


無果汁、無意識・・・無果汁はわかる。無意識ってなんや!で、原材料の欄には気合、気力、血潮、楽観的思考、客観的洞察力、オレンジ、レモン、とうころもし、着火剤・・・ツッコミ所満載や。中でもとうころもしには手が出そうになるのを堪えるだけで大変やった。


しかも、コーヒー飲料って書いてある・・・よく商品として販売出来たもんや・・・一切コーヒー関係無いやん!


取り敢えず『四茶』、『午後も紅茶』、『バーニングナンダ』、『ミリンレモン』、『オモラシンD』、お茶は二本で計六本買う事にした。


レジには、おばちゃんが眠そうに座っていて、俺に気付いて、


「いっらっしゃいまて〜」


と、最後噛みながらも微笑んで来た。


「ついでに聞きたいんやけど、さっき、俺と同い年くらいの男見んかった?」


「そう言えば、五分くらい前に独り言叫びながら走って行くのを見たような・・・夢やったかもしれへん。おばちゃんウトウトしてたからなぁ・・・840円になります。」


寝てたんかいっ!でも叫びながらとか、順っぽい・・・。俺は財布から千円を取り出すとおばちゃんに渡しながら、


「夢でもええねんけど、そいつどっちに行ったかわかる?」


おばちゃんは千円を受け取るとレジから小銭を取り出し、俺に手渡すと、


「行ったり来たりやったから、最終的にどっち行ったかまで見てへんわ。ごみんごみん!」


ごみんごみん?よくわからへんけど、早い話わからへんっちゅうことやろ。仕方無く商品を受け取ると、ロビーに引き返した。


「心はこれや!」


ミリンレモンを手渡した。


「ナンボや?」


「今日は、出しとくわ。」


「おおきに!頂くわ!」


「売店のおばちゃんに順の事聞いてみたら、おばちゃんウトウトしてたらしく、はっきり覚えてへんけど、どうやら順は独り言叫びながら行ったり来たりしてたみたいや。」


「独り言?まあいつもの事や。何の手掛かりにもならへんな・・・。」


「まあ、病院やし順もすぐ戻って来るやろ。」


しばらくは、二人でジュースを飲みながら他愛も無い話をした。ふと、椅子に座りながらエレベーターの方を見てると、エレベーターが上に移動するのが目に飛び込んだ。麻紀達かな?そんな事を思いながらエレベーターのランプを見ていると、エレベーターは一階には止まらずB2Fで停止したのが確認できた。


地下二階って何があるんやろ。そんな事を考えながら、ボーッと眺めてると、階を示すランプが突然消えた。故障?と、思いつつも特に深く考えず、エレベーターから視線を外した。


「そろそろ麻紀達も下りて来てもええんちゃうやろか?それに順も戻ってけえへんし・・・。」


「女子はなんや色々と時間かかるやろ。問題は順や。アイツは一体何してんねん。すぐに戻るって言うたのに・・・。」


相変わらず行動が読みにくい・・・。読みにくい行動をするのはわかってんねんけど、それをわかってても、意味が無い。多分本人でさえ、わかってへんはずやから・・・。

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