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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
序章 新たな恐怖
3/36

0-3

「全員チャリか?」


俺が聞くと、心も順も頷いた。麻紀がチャリなんは知ってるから全員チャリっちゅう事か・・・。


「で、この後の予定は?俺は今日は一日オフや。明日と明後日は元々休みやから、三連休や。」


心がそう言うと今度は順が、


「それがしは今は職探し中で、仕事が決まるまではどこまでも休みや。」


順は呑気なもんやな・・・。で、俺と麻紀はというと同じカラオケ店でバイトしてるんやけど、ニュースにもなったっちゅう事で、店長が気を利かせてくれて、一週間の休みをくれたんや。ただ、店長はかなり大変なはずや・・・。


今は不況でシフトもギリギリの調整やのに、二人も休んだらその穴埋めは普通、他のバイトが入るんやけど、多分無理や・・・。そうなると店長が入る羽目になるんや。すまん、店長。


「結局、みんな休みっちゅう事やな。とは言うても俺は休むと直接給料に響くから、休んでええ言われてるけど、月曜日から入るかもしれへん。土日は休ませてもらうけどな。」


「それやったらウチも月曜から入るわ。ウチかて給料減るんはキツいもん。欲しいバッグあるし、頑張らんとなぁ。」


「ほな、これからどうする?せっかく皆休みなんやし、あんな出来事の後やから気晴らしにプチ旅行とかどないや?」


突然過ぎる心の提案に少々戸惑う俺を余所目に、麻紀は、


「心ちゃん、ええ事言うやん!田代館では中途半端な旅行気分でなんか不完全燃焼やったし、プチ旅行大賛成や!なあ、太一も順ちゃんもええやろ?なあって!」


ご、強引過ぎるぞ・・・。


「それがしは全然オッケーや!どうせ暇やし、プチ旅行でも海外旅行でもかまへんで!」


おい・・・おまえら、ちょっとは財布の事も考えろよ・・・。今、金欠やっちゅう話したばっかりやろ・・・。


「ちょっと太一!あんたまさか一人だけ止めとくとか言うんちゃうやろな?ええの?彼女を一人、野獣達とプチ旅行・・・それでもええの?」


野獣って・・・目の前にして言う事か?でも、順はともかく心はあかん・・・女癖の悪さは有名なんや。たとえ親友でも、これだけは信用出来へんで。


「わかったわ。行くわ。行ったらええんやろ?どうせ俺が運転になるんやろけどな・・・」


「よし決まりや!そこで麻紀ちゃん、女一人やったら心細いとは思えへんか?」


出た!これが狙いやったんや!プチ旅行と称して麻紀の女友達を抱き込む魂胆や!計画的犯行や・・・麻紀!太一と一緒やから大丈夫って言え!言うんや!


「たしかにちょっと寂しいな。」


「そやろ?そこで、どうやろ、麻紀ちゃんの友達も誘って六人でプチ旅行っちゅうのは?」


「オッケー!ちょっと連絡してみるわ!で、どこ行くん?」


「さすがに遠くは無理やし、淡路島に親戚が経営する温泉旅館があるんや。あそこやったら一泊二日でも十分楽しめるで!時期的にも空き部屋だらけのはずやし、親戚やから料金はタダ同然にしてもらえるから、実質交通費と食事代だけは出さなあかんと思うけど、一人一万円でお釣りがくるやろ。」


「それ、めっちゃええやん!露天風呂とかあるん?ご飯は美味しいの?」


「露天風呂もあるし、料理も格別や!刺身に天ぷら、但馬牛のサイコロステーキに車海老の茶わん蒸し、その他諸々や!」


「最高や!最高!もう心ちゃん最高!すぐに二人集めるわ!ちょっと待っててや!」


あほや・・・まんまと心の計画に乗せられよった・・・まあ、一万円くらいやったら、なんとかなるし、麻紀が友達呼んだところで、俺に実害はあらへんからええか・・・。


「太一!わかってると思うけど・・・」


「車やろ?いつもの事や。このまま行くんか?それやったら俺の家に来てチャリだけ置いて、そのまま行ったらええやろ。」


「それがしには準備が必要や・・・先に帰って準備してくるから、悪いけど皆乗せたら迎えに来てくれへんか?」


「それやったら、悪いねんけど、俺スマホの充電器だけ取りに帰りたいんやけど順やったら、持ってるやろ?ついでになんか俺のスマホ充電出来るやつも持って来てくれへんか?ほんなら俺はこのまま行けるし助かるねんけど・・・」


「心のスマホは・・・MONYのウスクペリアやな?オッケーや!ほな、一足先に戻ってるから、心に場所は聞いてくれ!」


それだけ言うと、順は高々と右足を上げてチャリに跨ろうとして転倒した。


「だ、大丈夫か?」


「足の角度に気を取られただけや!けにするな!」


今、たしかに「け」にするなって言うたよな?完全に動揺しとるがな・・・。順が行くと同時に麻紀が電話を終えて戻ってきた。


「オッケーや!二人手配完了!太一、悪いねんけど迎えに行ったってくれる?結構近所のコやねんけどな。二人共。一人は太一も知ってるわ!」


「はいはい、わかりました。とりあえず俺んち行くで!」


俺達三人は警察署を後にして俺の自宅へと向かった。

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