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思わずウチもスマホを取り出すと時計を・・・あれ?メールが来てるやん。そうや、病院やしサイレントモードにしてたんや。ホンマは電源切っとかなあかんねんやろけど、小柄ちゃんも付けっぱやし、まあ良しとしよ。
ウチは素早くロック解除してメールをタップした。件名は無い。差出人は・・・あれ?差出人の欄も何も無い。これって、太一が前に来たメールと一緒ちゃうの?
なんか開くの怖いやん・・・。
「誰から?彼氏?」
「ちょ、ちょっといきなりビックリさせんといてや!」
「いつもの事やん。なんか見られたらマズいメールなん?まさか、太一君以外の男とか?」
スマホの明かりで反射してる詩音の顔がニヤニヤしてるんがわかった。
否定しようと思ったら、今度は沙織が画面も見ずにボソッと呟いた。
「名無しメールね。」
「え?なんでわかったん?」
「麻紀、この前の山小屋での出来事話してくれた時に言ってたから、もしかしたらと思ったんだけど、どうやら図星のようね。なんて書いてあるの?」
「まだ見てへんねん・・・だって気持ち悪し、開く前に削除しようかと思ってんけど・・・」
すると、詩音が他人事やと思ってか、
「あかんあかん!消すんやったらあたしが見たるわ。ちょっとスマホ貸してみ!」
と、ウチからスマホを取り上げた。
「呪われたらどうするんよ!詩音!」
「呪われるんやったら受信した時点で呪われてるやろ。ウイルスやった開かへんと感染せえへんやろけど、見た所添付ファイルも無いし、セキュリティ入れてんのやろ?」
「入れてるけど・・・。やっぱり怖いやん。沙織も見ん方がええと思うやろ?」
「詩音と違って興味本位じゃないけど、見たから呪われる訳じゃないわ。それは詩音と同じ意見よ。」
なんなん?二人して他人事やと思って楽しんでる?まあ、沙織はそう言うキャラちゃうけど。たしかに、呪われるんやったらすでに呪われるてるし、言うてる事は間違ってへん。
え?いつの間にか小柄ちゃんまで画面覗き込んでるし・・・。
「ちょっと、面白いそうじゃないの!アタイにも見せて頂戴。」
「そういう訳やから、麻紀、覚悟はええか?」
三人でウチを見てる・・・。この状況で断わるん無理やし・・・。
「わかったわ!見たらええよ!」
「行くで!」
詩音がタップした。沙織もなんやかんやで興味津々に見えるんは気のせいやろか?
「何?コレ!意味わからへんし!全然呪いとか関係無いやん!アンタ変なサイトとか見てるんちゃうの?」
どう言う事?何が書いてあったん?気になったウチは詩音からスマホを取り上げた。そして、恐る恐る画面を覗き込んだ。そこには、こう書かれてあった。
◆◇◆ 鯉人募集中 ◆◇◆
「漢字間違ってるやん!なんやねん!鯉人って!ちょっとウケるし!」
「それが、続き読んでみ!間違いちゃうみたいやねん。」
詩音に言われた通り、続きを読んでみた。
錦鯉をこよなく愛する鯉人募集中!錦鯉に限らず鯉を愛する人なら大歓迎☆鯉を語らいましょう♪koi-ni-koi-suru.bomまで
「・・・。なんや、このメール。って、そんなんメールで募集するな!それに、アドレスドットボムってなんや!絶対コムやろ・・・。」
「どうやら、今回は単なる勧誘メールだったようね。」
なんか、残念そうやな・・・。まあ、呪いとか沙織の得意分野やし、しょうもないメールやったから、当然の反応か・・・。一方で詩音は、自分のスマホ取り出して、なんかし始めた。
「何してんの?」
「こんなおもろいネタ無いで!せやからブログに投稿してんねん。めっちゃウケるし!そのメール消したらあかんで!っていうか転送して!そのサイトもめっちゃ見たいし!」
面倒くさいわ!って、ここで送っとけへんかったら、詩音しつこいから余計面倒くさいし・・・。結局詩音に転送して、これからどうするんか小柄ちゃんに聞こうとしたら、
「アタイにも送って頂戴!」
おまえもかいっ!でも、小柄ちゃんは全然笑ってへんし、何に使うんや?
「アタイこう見えて鯉にはうるさいのよ!」
そっちか!まあ、そういう訳で、小柄ちゃんと赤外線でアドレス交換した後、メール転送を終えると急に真剣な顔付きで小柄ちゃんが、
「問題は立入禁止側の階段を目指すか、それとも警備員が気付いてくれるのを待つかよ。アンタ達の意見を聞きたいわ。」
と、三人を見た。
ウチとしては、さっさとこのフロアから出られるんやったら何でもかまへん。ただ、警備員がホンマに一時間くらいしたら気付いてくれるんか疑問や。
一方で反対側の階段までは急いだら二、三分で着くやろ。ウチも怖いけど考え方としては、どっちか言うたら詩音に近い。あんまり霊の存在は信じてへんし、四人もおるんやからシチュエーション的にも幽霊が出るとかありえへん気がする。
つまり、
「ウチは早くここから出たいから、扉が開いてる事を願いつつ階段を目指す方を推すわ!」
すると詩音も、
「麻紀に同意や。ここは暗いし変になりそうや。独特の臭いするし、あたしには一時間も耐えれる自信無いわ。」
と、顔の前で手を降って臭いというジェスチャーをしてみせた。一方沙織は、
「私は反対よ。」
と、目を閉じて首を横に振った。




