表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
第二章 神崎病院 麻紀編
18/36

2-1

ウチらは男子どもに手を振って扉の開いたエレベーターに乗り込んだ。エレベーターの中は病院だけあって壁には手すりが付いてて、全面鏡張りやった。


ふと、正面の鏡越しに扉が閉まるのが見えた。と、閉まる寸前に誰かが乗り込んで来るのが見えた。けど、そんなん普通やし何も考えへんと正面に向き直って、


「あれ?」


と、声を上げてもうた。すかさず詩音が、


「どないしたん?凄い顔してるで!」


と、聞いてきた。あの一瞬で乗るの諦めたん?いや、たしかに体を滑り込ませるように完全にエレベーターの中に入ってきてた。振り返るまで一秒足らず・・・外に出たとは考えられへん。


「ちゃんといるよ。私の隣に。麻紀にも見えたんだね。」


沙織が誰も居ない空間に視線を向けてそう呟いた。何も知らへん詩音はポカンとした顔で、


「ちょっと何の話?意味わかるように説明して・・・」


―――チーン


話の途中でエレベーターは二階に到着して扉が開いた。一瞬めっちゃ足が重く感じて動けへんかったけど、なんとか気合で一歩踏み出しそのまま外に出た。詩音がイライラした様子で、


「ちゃんと答えてや!なんか仲間外れされたみたいで気持ち悪いやん。」


と、ウチと沙織を交互に見た。


「気のせいやと思うねんけど、扉閉まる瞬間に女の人が乗り込んできたんが見えてんけど、振り返ったらウチら以外誰もおらへんかってん。」


すると、沙織が、


「詩音には見えなかっただけよ。私達と一緒に二階で降りたもの。麻紀は気付かなかったの?やっぱり霊感が弱いから鏡を通してしか見えなかったのかもしれないわね。」


「沙織だけならまだしも、麻紀までそんな事言い始めてどしたん?何度も言うけどあたしは霊の存在は居たらええとは思うけど、間違いなくおらへんと思ってんねん。だってホンマにおるんやったら先祖とか守ってくれるはずやん!病気とかやったらしゃあないけど、ニュースとか見てたら毎日のように殺人事件とか起こってるやん!普通先祖の霊とかおったら被害者守ったり、加害者止めたりせえへん?あたしが霊やったら絶対するし!せやから霊はおらへんねん。」


詩音の言うてる事は一理あるわ。ウチかてそう思う。けど、皆が皆ええ霊とは限らへんし、霊も忙しくて常に監視は出来へんのかもしれへん。まあ正直死んでみんとわからへんねんけど。ここで沙織が食い下がった・・・こうなると長くなるから勘弁して欲しいねんけど・・・。


「わかってないわね。いい?霊には霊の世界のルールが存在するの。私達が生きる世界に干渉してはいけないってルール・・・いえ、そういう法律があるのよ。」


普段から感情を表に出さへん沙織。結構付き合い長いけど一度も感情をあらわにしてるん見た事あらへん。今も至って冷静・・・いや、実際目は真剣なんやけど。それに引き換え詩音は真逆ですぐムキになる。そんな詩音が沙織に食ってかかる。


「はぁ?あの世の法律?誰に聞いたん?沙織まだ生きてるのに、なんでそんなんわかるん?ほな、あたしら生まれ変わりって事なん?前世の記憶とか無いねんけど。それって意味無いやん!記憶が無いんやったら生まれ変わったとは言わへんし・・・」


また、この展開や。こうなるとホンマに長いねん。ウチどうしたらええんや・・・。


「生まれ変われるなんて一言も言ってないわよ。だけど生まれ変わる事は出来るの。前世の記憶はこの世界では無いんですもの何故ならこの世界に生を受けるのが私達の誕生であり、この世界で死ぬと俗世での行いなどを審査されて、次の世界へと送り出されるの。次に生まれ変わる世界は遠い宇宙の果てかもしれないし、全く異なる世界かもしれない。少なくとも地球でもう一度暮らす事は無いの。ここが生へ入り口、スタート地点。だからここにいる人間を含めた生物全てにおいて前世は存在しないのよ。」


沙織、なんかの本読み過ぎちゃうか?仮にそれがホンマとしてもほとんどの人が信じへんし、そもそもなんでそれを沙織が知ってるのか不思議なんやけど・・・。


「だから、沙織まだ生きてるんのになんでそんな事知ってんの?沙織も前世存在せえへんねやろ?」


「私には霊の姿が見えるし、会話だって出来るの。だからそう言う情報は入ってくるの。」


「でも、法律がどうとかで、この世と干渉出来へんって言うてたやん。矛盾してるし!」


「そうね。だけど日本にだって法律が存在するのに、それを守らない人はたくさんいるわ。ここで死んだ後、生まれ変わるまでの間過ごす世界でも法律を守らない人はいるのよ。それは自己満足の為だったり、愛すべき人を守る為だったりと動機は様々だけどね。」


あかん!まだ詩音が食ってかかる前にストップかけんと、ウチらシャワー浴びられへん!


「ストップや!ストップ!アンタらそのやり取り、もう何年も前から何百回すれば気が済むんや。しかも毎回二人共一緒の事しか言うてへんし・・・。なんでどっちか引けへんの?ウチ体中気持ち悪くてさっさとシャワー浴びたいねん。続きは後にしてくれる?」


そう・・・実はこの内容のやり取りは今日が初めてちゃうねん。肝試しとか霊が絡みそうなイベントの時には必ず言い合いになるんや。で、毎回止めるんはウチなんや。まあ、沙織と詩音は、家も三軒隣で幼馴染みやから、言い合ってもすぐ仲直りするんやけど・・・。


「私とした事がまた熱くなっちゃったみたいね。ごめんなさい。シャワー行きましょう。」


「あたしこそごめんね。行こ行こ、さっさとサッパリしよ!」


詩音がカウンターの方へさっさと歩いて行くと、近くにいた看護師に話しかけた。ウチらも行こうとすると、ちょうどエレベーターが開いて太一と心ちゃんが降りてくるとこやった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ