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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
第一章 神崎病院
12/36

1-7

心を見ると目で合図を送ってた。多分、心には見えへんかったけど、俺の言うた事は信じてくれてるという合図や。


結局、俺の話は置いといて、山方は再び階段を上がりはじめた。外から建物を見た限りは二階建てに見えた。踊り場をクルっと回り、残りの階段を上がり終えると思った通りそれより上への階段は無かった。


廃館と言うても山方の話ではついこの前まで営業してたという事もあって、周囲には病院特有の消毒液のような臭いが立ち込めてて、何故かその匂いが注射を連想してしまう・・・。


子供頃は大人になったら注射は痛くなくなるもんやと思ってたんやけど、大人になっても痛いもんは痛い。せやから、この匂いは個人的には苦手や・・・。そんな事思ってる矢先から巻が横で、


「たまらんわ!この匂い。ウチめっちゃこの匂い好きやねん。」


それに詩音が乗っかる・・・。


「わかるわ!麻紀!あたしもこの匂い好きや。香水にしてくれへんやろか!」


すると、麻紀が爆笑して、そのまま二人この匂いの話題で盛り上がり始めた。そこへ順が参戦して妙な盛り上がりを見せる。まあ、そんな光景を見てると恐怖心も薄れるから有難いこっちゃ。


建物自体横長の構造で奥行きはそれほど無いと思う。階段を上がると、右は行き止まりで左側には長い廊下が伸びてる。


二階は意外にも切れてる蛍光灯は少なく、一階より全然明るかった。それでも、やっぱり不気味な事に変わりはない。


廊下は真っ直ぐと、すぐ先に左にも分かれてた。多分建物をグルっと一周廊下が続いて、その廊下の両端に病室とか治療室なんかがあるみたいや。


「皆さん、二階の好きな部屋を使って下さい。治療室など、関係者以外立入禁止の部屋には鍵がかかってますから、鍵のかかってない部屋ならお好きにご利用下さい。先程も申しましたが、医院長が極度の綺麗好きなんで、清掃だけは行き届いてますのでご安心下さい。後程食事の準備が出来ましたら本館へお呼びします。内線が鳴りましたら、近くの子機で応対お願いします。修理の方はこちらで手配しておきますので、お任せ下さい。それでは失礼致します。」


山方はそれだけ言うと小走りに階段の方へと姿を消した。さて、好きに使ってええ言われても、正直困るで・・・。島国育ちの日本人の性質なんか、広くても狭い空間に集まる習性があるねん・・・。いや、単に俺が貧乏性なだけかもしれへんけど。


「さてと、またこんな展開になってもうたけど、これからどうする?とりあえず食事の支度はしてくれてるみたいやし、有難く頂くとして、問題はその後や。」


心が廊下をウロウロしながら、誰にと言う訳でも呟いた。


「それがしには、何が問題なんかようわからへんけど・・・。廃館言う割には患者さんも何人かおるみたいやし。」


はぁ?患者さん?何人か?どこに?・・・そうや、忘れとったわ!こいつ、自分で気付いてへんだけで、めっちゃ霊感強いんやったわ・・・。


つまり、すでに何人かの現世外生命体・・・そう、ゆ、ゆ、ゆう・・・いや、やっぱり俺にはその存在を認める事に抵抗があるねん。けど、それを否定出来へん出来事が起こったんも事実やし・・・。


いや、深く考えるのはやめとこ。


「あれ?思ってた以上に綺麗やわ!医院長綺麗好きってホンマなんや!」


一番近くにあった扉を開けて中を覗き込んだ麻紀が叫ぶ。詩音も覗き込むと、


「でも、枕とか無いやん。あたし枕無いと寝れない派やねんけど・・・。」


それを聞いた順が、片っ端から扉を開けて枕を探し始めた。しばらく色々覗き込んでは物色してるようやったけど、突然大声で、


「あったで!ここが倉庫みたいや。持って行くけど、皆何個いるんや?」


何個って、普通人数分でええんちゃうの?


「それがしは二個や!」


そんなもん順だけやっちゅうねん!


「あっ!俺も二個頼むわ!」


え?


「あたしは三つ!」


「私も三つお願いするわ。」


お、おまえら・・・そないに枕高くして、肩凝るで。


「二個と三個と三個で、俺も二個。麻紀ちちゃんと太地君は一個でええみたいやから・・・ポータル十四個でええか?」


トータルや!それに計算間違っとる!ホンマにデイトレードで儲けたんか?ただの足し算やないか・・・。いや、順の事やから、俺には見えへん何者かの数も含めてる可能性がある。でも、ポータルは無いと思います。


「所で順ちゃん、今から枕だけ渡されても困るねんけど!」


麻紀が噛み付いた。たしかに部屋割とか決めてへん・・・。まあ、どうでもええけど。


と、突然プルプルと鳴り響いて、全員が驚いた。


「なんや!いきなり!ビックリするがな!」


と、言いつつ山方の話を思い出して受話器を探す為音の鳴ってる方へと視線を向ける。それにしても音がデカ過ぎるで・・・。どうやら全部の部屋から鳴ってるみたいや。とりあえず一番近くの部屋に入ると受話器を取った。


―――もしもし?食事の支度が出来ましたんで、申し訳無いですけど、新館のロビーまで来てもらえますか?食堂に案内しますんで・・・


山方の声やった。俺は了承の旨を伝えると受話器を戻し、皆を新館へ向かうように促した。

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