最強の敵
どうやら古代魔法と呼ばれるものは文献すらすでに消え去り未知の魔法として知識の一部となっているようだ
1000年も前の古代魔法、文字が出来始めたころにできた魔法。特徴は詠唱がなく単語だけという魔術と似たような所がある魔法
人々は知識で古代魔法とはありえない力を持った魔法として語り継いでいる
しかし古代魔法には適性が存在し、あたらしい魔法が誕生するとすぐにその存在が歴史に葬られた
それが古代魔法
『さぁて本日三回戦はなんと初の一年生進出、それもそのはず!!今は失われた魔法を使う者名前はカンナ=シュベルト選手!!さぁさぁこのまま彼女は優勝まで上りつめてしまうのか?』
その言葉と同時に闘技場の観客席から一斉にワーとのでかい声が響き渡った
『続きましては今や学園のアイドルとまで言われる存在、今回初参加の二年生彼女はミリア=パーティス!!剣と風をバランスよく使う魔法剣士だ!!さてさてカンナ選手はいままでの二回の戦いは魔法だけで切り抜けてきたが彼女は剣を使うどう戦うのか見ものです』
美人さんだ・・・
私よりは背が高いけどこの世界では多分小柄な体系
茶色の目と髪で目がクリクリしているのが特徴的
触ってはいないけど髪もなんだかふわふわしている感じだ
私の彼女に対する第一印象はそれだった
「えっと、カンナさんだったかしら?」
「はい!そうです」
やっば!!声もかわいいんですけど
「私もあなたと一緒で今回魔法大会なんて初めてだから緊張するわよね」
「そ、そうですね」
「でもこういう場ってやっぱり必要なのかな?自分を鍛えるためにも」
「確かにですね、実践はやっぱりないと知識だけでは向上しませんものね」
「お?いいこと言うね~」
「いえいえ」
この人性格悪くない!!普通の人だ、なるほど確かに彼女なら学園のアイドルにふさわしいかもしれないな
これまで美人さんにあったら50パーセントの確率ですこし性格が捻くれている人と会っていたからな
「さてもうソロソロですね」
美人先輩はそういうとどこからか昔侍が使っていたような刀の形をした武器を取り出した
「カンナさん?」
「はい?」
「自己紹介しますね、私はミリア=パーティス。主に剣を主力として戦います」
「はい、それは実況中継さんが大声でいってました」
天然もはいているのかそれともさっきの大声が聞こえなかったのか
「いえいえ、そうではなく先ほどの実況中継さんの言葉にすこし訂正があったので言っとこうと」
「訂正?」
『これより第三回魔法大会を始めます、これに勝ち抜いた選手が準決勝進出となります。開始は審判の旗が上がったらです』
「実は私・・・」
美人先輩の声と合わせて審判の開始を知らせる旗が上がった
「こんなことができるんですよ」
「へ?」
一瞬の事です、さっきまで私の20メートルは離れた地点にいたはずの美人先輩が突然私の背後に現れた
「あわわわ」
「ふふふ、私の魔法は風と転移ですから」
「転移?ってアブな!!」
突然の美人先輩の奇襲に驚いて振り返ると既に剣を私に向けて叩きつけてくる
というか、間一髪で免れたけど
「おっしいな~」
「危ないじゃないですか!!」
「だってカンナさん古代魔法使えるでしょ?危ないじゃないですか」
「いやいや、そっちも十分に危ないですって!!それになんで魔方陣すらなく詠唱もなしで転移出来るのよ!?」
私の言えた義理じゃないけどさぁ
「私は学園ではアイドルって言われているみたいですけどもう一つ別の呼ばれ方があるんですよ?」
「まさか転移の達人とか?」
「どんなですか、私は瞬殺のミリアって呼ばれる事があるんですよ」
「旬札?」
「瞬殺です、この前の校外実習では3時間でドラゴンを倒してきましたよ」
顔に似合わずかなりの実力者らしい
「さて話は終わりにしましょうか」
美人瞬殺先輩は剣をまたかまえた
先ほどの私の質問は完璧にスルーされたみたいだ
「じゃあ私も〈雷剣〉」
唱えると私の右手に神力が集中し剣を形勢した
「剣?あなた剣も使えるの?」
「・・・」「のりでやったのね」
「だ、大丈夫ですよ、私には魔法がありますから」
不敵に笑う先輩にようやく対抗意識が芽生えた私は自分で作り上げた剣をかまえる
「なら見せてもらいましょうか!!」
今渡こそ本気の目になった先輩は剣を鞘に収めると目にも止まらぬ早さで引き抜く
ただそれだけならば何やってんのこいつ?だろうけど先輩にはもう一つ魔法が存在している
「引き抜いただけで風の魔法が発動ですって!?」
突然立っていられないほどのものすごい強い風が私を襲った、同時に砂なども飛んできて地味に痛い攻撃になる
「いいのかなぁ?そんな無防備で」
「!?」
私は反射的に右へ飛ぶと先ほどまで私が場所は美人先輩の剣で粉々に吹き飛んでいる
「死んじゃいますって先輩!?」
「大丈夫よ、刃の部分で攻撃はしないわ」
いいえ刃の部分でなくとも当たったら骨折するだろう
「う~ん、一気に決めてもいいんだけど・・・」
「余裕ですね先輩」
のんびり口調に変わった美人先輩はなんだか余裕そうな感じがした
「カンナさんって魔法はすごいけど機動力ないよね?二回戦をみていたときに魔法に頼りっきりだなぁって思ってたけど」
当たっているので何も言えない
私はもともと運動神経は平凡だったし彼女みたいに剣も使えて魔法も出来るタイプではないし、今回初めてみる戦闘スタイルだったりもする
「魔法だけじゃ、どんなに強い魔法だとしても私には勝てないよ」
自身に満ちた表情をする美人先輩
「ホント初めての戦闘スタイルよね」
「ん?」
「先輩が瞬殺なら私は・・・ 〈瞬足〉」
私が神術の行使をした瞬間、足が光を出し虹色に輝く
「これは・・・」
呆然と私をみている美人先輩
そして先に動いたのは私で一瞬にして美人先輩の背後に動いて雷剣で切りにかかる
この時は勝ったと思っていたが私の剣は美人先輩の剣によって防がれていた
「駿足かぁでも・・・私には届かないよ」
「・・・初めてですよ、魔法には自身がありましたから」
「確かに魔法って便利だよね?だけどそれに頼りきりだと痛い目に合うわよ?」
そういって剣で私は吹き飛ばされた
美人先輩の剣と風の組み合わせは神術が使える私から見ても強すぎると思う
それにあの洞察力と機動性、素直に行こう。
絶体絶命だわ
「あら?降参するのですか?」
「・・・もうちょっと悪あがきしましょうかね」
このまま相手に余裕を持たせたまま終わりたくないし
「〈雷獣〉」
私の前に三体の雷をまとった狼が現れる
「一回戦で使った魔法ね」
「ええ、行きなさい雷獣」
私の指示で雷獣は全身に雷を放電しながら突撃していく
「ん~、無駄な殺生はあまり好きではないんですが」
相変わらずもう少しで電撃をまとった狼が体当たりしてくると言うのに美人先輩は余裕な表情だった
そして狼たちは彼女に体当たりする寸前で何故か四方八方にバラバラに砕けていく
「・・・あの先輩?」
「なぁに?」
「先輩剣で攻撃しませんでしたよね?」
「そうね、しなかったわ。・・・・だってする必要がないもの」
「私一瞬雷獣が先輩にぶつかるときに風か何かで吹き飛ぶように見えたんですけど」
出来れば見間違えであってほしいけど
「見えたんだカンナさん、そうねぇ私の周りには微弱な風魔法がいつもかかっているのよ。その微弱な風魔法は私の意志で強力な風のシールドに作り替えることが出きるの。それか一定範囲内にだれかの攻撃がきた場合には自動的にシールドが張られるわ」
「なんですかその便利魔法は」
「カンナさんだってそうでしょ?」
そうなんですけどさぁ
「まぁいいや、カンナさん悪いけど負けてもらいますね」
「いえいえ、まだ私だって負けませんよ」
私には神術があるんだから!!
「・・・やっぱりまだ子供か」
「え?」
その瞬間だった、たった一瞬だったと思う。私は知らないうちに闘技場の一番端に風の魔法で叩きつけられていた
一瞬なにが起こったのかわからなかったけど3秒位すると痛みが一気に全身に周りもう少しで気絶する所だった
「カンナさん?あなたはまだ自身の力をコントロール出来ていない。あなたはまだ弱いのよ?」
いつの間にか私のそばにきていた美人先輩はそっと私の耳に小声で喋る
その言葉を聞いたあと私は気絶してしまった
「それにしても久しぶりだったわ、まさか5年前に卒業した学園にまたくる事になるとは」
「おつかれさまでした、セリア=パーティスさん」
「あ!?サンナ王女さま」
休憩所で休んでいたセリアは突然部屋に入ってきた彼女に驚きつつも失礼の内容に姿勢をかえる
「畏まらないでください、ここにいる私は王族ではなくどこかの貴族の娘ですよ」
「そういうわけには・・・」
「お姉ちゃんって頑固だから仕方ありませんよサンナ」
そんな二人に突然また扉が開きセリアと瓜二つな美人な女の人が入ってくる
「ミリア!!サンナ様になんたる無礼な!!」
「いいんですよセリアさん、それに今回セリアさんは私のわがままで大会に出てもらったわけですし」
セリアは妹のサンナに対する態度を注意すると逆にサンナが擁護する
「いえ、私はサンナ様の護衛部隊のリーダーですのでサンナ様の願いを聞くのは当然です」
「ふふふ、セリアってホントに頑固者ね」
「そうそう、お姉ちゃんは石頭でいけないわ」
「コホン、・・・でもアレでよかったのですか?」
「ええ、今回大会でカンナが優勝することだけは絶対に阻止したかったのでアレでよかったんです」
「でもお姉ちゃんも大変だったね、なんせ21にもなって16の私と偽って大会に出なきゃいけなかったんだから」
「ああ、私もその点が心配だったんだが何故か誰にも疑われなくってね」
遠い目で空を見上げるセリア
「そ、それは若く見えるって事でないでしょうか」
「でも16って私からしたらガキンチョですよ、ということは私の体系がガキンチョってことですか?」
「いえそんなことは」
「そうなんじゃないの?」
「な、なん「だって私より背が低いじゃない?それに胸だって私より小さいし」・・・」
「イジケないでくださいセリアさん」
「・・・カンナって子」
「え?」
突然カンナの名前をだしたセリアは
「カンナって子、今回はまだ力のコントロールが上手くできてなかっただけで弱いわけではないですよ?彼女は多分かなり強くなると思います」
「・・・そうですか」
「はい、できれば来年も戦いたいと思いましたね」