表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/101

第74話:『無痛と快楽。相容れない二つの強さ』

ドゴォォォォンッ!!


空中要塞『ヘイムダル』の広大な甲板が、6色の魔力の爆発によって揺れ動いた。


「ハァッ、ハァッ……! なんなのよ、こいつら……!」


レナが荒い息を吐きながら、炎の壁を展開して後退する。


彼女の視線の先には、同じ顔、同じ炎を操る『オメガ・スリー』が立っていた。


だが、その姿は異様だった。


先ほどのレナの攻撃で左腕が炭化し、皮膚が焼け落ちているにもかかわらず、オメガは眉一つ動かさず、機械的に次弾を装填していたのだ。


「ターゲット捕捉。焼却を開始スル」


「っ、自分の腕が焼けてるのよ!? 熱くないの!?」


レナが叫ぶが、オメガは無表情に首を傾げただけだった。


痛覚信号エラーハ遮断済ミ。戦闘継続ニ支障ナシ」


躊躇がない。


肉体が破壊されることを「損失」ではなく単なる「消耗」と捉えている。


自らの腕を囮にしてでも、確実に相手の喉笛を食いちぎる。そんな狂気の戦法に、レナたちはじりじりと追い詰められていた。


一方、リズもまた、自分より速い「銀色の影」に翻弄されていた。


「くっ、速い……っ!」


「回避行動ハ不要。最短距離デ処理スル」


リズが紫電の斬撃を放つ。オメガ・ツーはそれを「避けなかった」。


あえて肩で斬撃を受け止め、肉に食い込んだリズの剣を筋肉で固定し、至近距離からカウンターを放ってきたのだ。


「うぐっ……!?」


リズが吹き飛ばされる。


オメガ・ツーの肩からは大量の血が噴き出しているが、彼女のスピードは落ちない。


リミッター解除による筋肉断裂も、骨折も、全て無視して加速し続ける暴走列車。


「あいつら、イカれてる……! 壊れることになんの躊躇もないなんて!」


6人のヒロインたちは、中央のシキを守るように円陣を組んだ。


個々の出力では負けていない。だが、相手の「死を恐れない効率性」が、精神的な圧力となってのしかかる。


そこへ、統率機であるオメガ・ワンが、氷の鎌を携えて歩み寄ってきた。


かつてのエレオノーラを模した、銀髪の死神。


理解不能アンダスタンド。……ナゼ、非効率ナ動キヲ繰リ返ス?」


オメガ・ワンの虚ろな瞳が、傷ついたレナたちを見回した。


「貴様ラハ、防衛対象シキヲ守ルタメニ、自ラノ回避ルートヲ限定シテイル。恐怖心ガ判断ヲ鈍ラセ、生存本能ガ特攻ヲ躊躇サセテイル」


彼女は冷徹に断言した。


「ソレラハ全テ、戦闘ニ不要ナ『ノイズ』ダ。……ナゼ、回路ニ『愛』ナドトイウ不純物ヲ混ゼル?」


純粋な兵器としての問いかけ。


愛ゆえに守り、愛ゆえに死にたくないと思う心は、兵器としては欠陥でしかない。


「……黙りなさい、鉄屑」


答えたのは、エレオノーラだった。


彼女は口元の血を拭い、錫杖を突き立てて立ち上がった。


エレオノーラの背後に、レナ、リズ、エミリア、ソフィア、クレアが並ぶ。


彼女たちは傷だらけだったが、その瞳はオメガたちとは対照的に、熱く、強く燃え上がっていた。


「痛みを知らぬ拳など、何百発受けようと軽く重みがない。……我々が強いのは、痛みを知っているからだ」


エレオノーラは背後のシキを振り返り、艶やかに微笑んだ。


「そして、この痛みを癒やしてくれる『極上の快楽ごほうび』が待っていると知っているからこそ……我々は限界を超えられるのだ!」


シキがニヤリと笑い、工具を構えた。


「その通りだ。……おい、ポンコツども。効率重視の安っぽい回路と、愛と欲望でギチギチにチューンナップされた回路……どっちが『熱い』か、教えてやるよ」


無痛の兵器対、快楽を知る人間。


相容れない二つの強さが、決着の時を迎えようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ