第15話:『新装備実装。レナの回路を書き換える』
決戦前夜。
地下工房の作業台の上で、レナはこれ以上ないほど情けない姿を晒していた。
「……うぅ、信じらんない。これ、本当に必要なの?」
彼女は上半身は制服のままだが、下半身はスカートを捲り上げられ、下着ギリギリの際どいラインまで太腿を露出させていた。
M字に開かれたその脚の間に、俺が陣取っている。
「必要だ。お前の『焦熱核』は、放っておくと直情的に爆発する。エミリアの『模倣』をバグらせるには、もっとねちっこく、いやらしい魔力質に変える必要がある」
俺は特殊な魔導インクを含ませた筆を手に、レナの太腿の内側――鼠径部に近い、最も皮膚が薄く敏感なエリアを指し示した。
「ここだ。魔力の出口に、フィルタリング用の術式を直接刻印する」
「そ、そこって……ひゃうっ!?」
俺が筆先を当てた瞬間、レナが可愛らしい悲鳴を上げて身をよじった。
「うごくな。線が歪む」
「だって、くすぐったい! 冷たい筆で、そんな際どいところ……っ!」
「我慢しろ。これが終われば、お前の炎は『ただ熱いだけの炎』じゃなくなる」
俺はレナの足首を掴んで固定し、慎重に筆を走らせる。
白い肌に、赤紫色の幾何学模様が刻まれていく。
インクが染み込むたびに、レナの筋肉がピクピクと痙攣し、口元から甘い吐息が漏れる。
「んぅ、ぁ……なんか、熱くなってきた……変な感じ……」
「魔力回路の定義を書き換えているからな。今までの『瞬発力』を殺し、『粘度』と『残留性』を極限まで高めている」
俺がやろうとしているのは、魔法のナパーム弾化だ。
ただ燃えるだけじゃない。相手にまとわりつき、いつまでも消えず、神経に直接快楽信号を送り続ける「スライム状の炎」。
これをエミリアがコピーして体内に取り込めば、彼女の回路はネバネバとした魔力で目詰まりを起こし、機能不全に陥るはずだ。
「よし、左側完了。次は右だ」
「まだやるのぉ……? もう、腰が抜けそうで……」
「エミリアに勝つんだろう? ほら、もっと広げろ」
俺は無慈悲に作業を続行する。
筆だけでなく、仕上げは俺の指で直接魔力を流し込み、インクを定着させる。
「そこっ、指はだめぇ! おかしくなるぅっ!」
「いい反応だ。その『ゾクゾクする感覚』を覚えておけ。それがそのまま攻撃力になる」
一時間の及ぶ地獄(と快楽)の施術の末、レナの両太腿には淫靡な紋様が完成していた。
汗だくになったレナは、荒い息を吐きながら作業台に横たわっている。
「……終わったぞ。試運転だ」
「はぁ、はぁ……鬼畜……」
レナはふらつく足で立ち上がり、ターゲット用の鉄板に向け、手をかざした。
「い、いくわよ……」
いつものように魔力を練り上げる。
だが、現れたのは爆発的な紅蓮の炎ではなかった。
ボトッ、ジュワワ……。
彼女の手から滴り落ちたのは、ピンク色に発光する、ドロリとした粘液状の炎だった。
それは生き物のように鉄板にへばりつき、ゆっくりと、しかし確実に金属を溶かしていく。
「な、なにこれ!? 気持ち悪っ!」
「成功だ。名付けて『感度増幅粘着炎』」
「ネーミングセンス最悪!」
レナは叫ぶが、その威力は凄まじかった。
鉄板はドロドロに溶け落ちているのに、周囲への熱拡散はほとんどない。熱量を全て「対象への侵食」に全振りしている証拠だ。
「これをエミリアにぶっかける。……奴がこれを『模倣』した瞬間が勝負だ」
俺は満足げに頷いた。
レナは自分の手から出るいやらしい炎を見て、複雑そうな顔をしている。
「……私、本当にお嫁に行けない体になってない?」
「安心しろ。責任を持って俺が使い潰してやる」
「プロポーズみたいに言わないでよ!」
文句を言いながらも、レナの瞳には自信の色が戻っていた。
新装備、実装完了。
これなら、あの模倣の天才をバグらせることができる。




