62 お義兄さまの葛藤
「え?スーちゃんと兄妹なんでしょ?」
兄妹と言われれば、名を失ったとしても関係が途絶える訳ではない。
「いかにも、我とひいは兄妹ではあるな、じゃが、主に義兄と呼ばれるのは、どういう事じゃ?」
真っ直ぐに京平を見据え、神さまは尋ねる。くねくね、モジモジと京平が身体を捻って悶えている。
「京平兄ちゃんは、どうして気持ち悪い動きをするんだ?」
「アレは、照れ隠しという状態でござりまするぞ。人間は、嬉しい時、自慢したい時、だけど、自分から言うのは恥ずかしいと思った時、あのように気持ち悪い行動をするのでございまする」
気持ち悪いと言われ、京平は、ポカポカと浅葱を叩く。
「アレも照れ隠しか?」
「作用でございまするぞ。朱丸さまは、聡明でいらっしゃいまする」
神さまは、京平の顔の前に移動すると、両手で鼻をぎゅっと摘んだ。
「いて!あ……ごめん」
「うむ。して、我をなぜ義兄と呼ぶのじゃ?」
京平は、ゴチンと卓におでこをぶつけた。大きな音がしたが、姿勢を戻す事はない。佐久夜たちから見ると神さまに向かってお辞儀をしているように見えた。
「俺、俺、俺とスーちゃんは、お付き合いをする事になりました」
大きな声で言い切った京平。神さまは、佐久夜の方にくるりと向きを変える。
「お付き合いとは、どう言う意味じゃ」
「なぜ、それを俺に尋ねる」
可愛らしい見た目の神さまが、招き猫のお面越しに負のオーラを出しているような気がするのは、気のせいなのだろうか。
「我には、説明をしてもらう義務があると思うのじゃが?」
「だから、なぜ、それを俺に尋ねる」
いつもと雰囲気が異なる神さまを見て、朱丸は、浅葱と一緒にそっと後ろの方に下がって気配を消していた。
「なぜ、ひいと京平が、お付き合いとやらをする事になったのじゃ?お付き合いとは、所謂、恋人という関係と我は認識しているのじゃが、たった半日でどうしてこうなるのじゃ?」
「やだなぁ、それは、俺がスーちゃんに告白したからで合って、お互いにお話しをして、気持ちを確かめ合って付き合う事になったんだよ」
京平が、神さまの後ろ姿に向かって、嬉しそうに馴れ初めを報告する。神さまの両手にグッと力が込められている。
神さま怒っていらっしゃいますね。大事な妹さんですもんね。俺も、京平を殴って止めたんですよ。だけど、このバカップルは、お花畑満開で、誰にも止められませんでした。
佐久夜は、そっと神さまから視線を逸らす。
「二人とも、良い感じに幸せそうだったかなぁ。あはは、ははは、ははははは」
佐久夜は、笑って誤魔化すしかなかった。
「俺、スーちゃんと幸せになります。お義兄さん、ふつつか者の俺ですが、大好きって言う気持ちだけは、誰にも負けません」
グッと堪え忍ぶ神さまをみて、今晩は、神さまの大好きなおにぎりをいっぱい作ろうと決意した佐久夜だった。
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